中ア 空木岳(敗退) 2014/12/29-30

積雪期登山

中央アルプス 空木岳(敗退)12/29-30

メンバー:LA久、Y本、H口

日程  :12/29-31 予備日1/1

ルート :伊奈川ダム ~ うさぎ平 ~ 東川岳 ~ 木曽殿越 ~ 空木岳 ~ 往路下山

結果  :2250付近から引き返し 12/30下山

 

(A久記)

1概念図

2014年はケガからの復帰にかけた一年だった。2013年9月、沢で左足を骨折。1月からリハビリをスタート。思えば年初は高尾山ハイキングがやっとだったのを思い出す。お盆には何とか泊まりの沢も行けるようになったけど、9月に抜釘手術を受け再度リハビリハイキングに逆戻り。それでも雪のシーズンまでには復活したい一心でトレーニングを重ね、丹沢ボッカである程度の感触を得て、年末は歩き主体の雪山であれば不安なく行ける目処がたった。

11月末に募集をかけたところ、新人のH口さん、Y本君が手を挙げてくれた。行先をいろいろ考えた末、比較的天候の安定している中央アルプスで、静かな山行が出来るエリアとして、木曽側から空木岳を狙ったけど、そう簡単にいかないのが冬山だった。

 

  • 12/29(雨のち晴れ)

5:00 起床 ~ 11:00 伊奈川ダム(1040m)出発 ~ 15:50 6合目(1640m)にて幕

前夜、木更津から来るH口さんに車を出してもらい東京を離れる。甲府付近から降り始めた雨は小淵沢付近で雪に変わる。あっという間に高速道路にも雪が積もり始め、八ヶ岳SA以降は雪道走行となった。権兵衛トンネルを抜け木曽側に抜けると更に積雪は増している。今年は雪が多いという事前情報だったが、あたらためて今回の山行の困難さが予想された。上松で前泊。終夜降り続いた雪は朝起きたら20cmほど上積みされていて、5時前には上松の駅前は除雪車がバリバリと働いていた。

これでは伊奈川ダムへの林道も侵入は無理かと思ったが、上松から少し標高を下げると雪はすぐに雨に変わり、心配された林道も余裕で通行できた。ここまでは良かったのだが、雨で濡れると冬山は後が面倒くさい。車の中でじっと待機し、雨が上がったのは10時半頃。寝不足は解消できたけど初日から出遅れてしまった。当初予定の8合目はとても無理そうなので、今日は渡渉点の6合目を目標とする。

アプローチの林道6Kmはペースを飛ばしてエアリアタイムより早く歩けた。途中にある避難小屋は半分傾いていて、ここに避難するほうが危なそう。

2林道

うさぎ平からいよいよ登山道となる。ここでワカンを付けいざ山に突入。夏タイムであればここから1時間半程度で6合目。しかしそうは甘くない。のっけからフカフカ雪の急登ラッセルとなる。雪が緩くてステップが崩れてしまい体力を消耗してしまうのだ。短めに切って先頭をドンドン変わる。

1652mのピークからは先は標高をほとんど変えずに尾根をトラバースしていくのだが、夏道は当然雪の下。赤テープ等も疎らでルーファイに時間を食う。沢にぶつかるあたりで赤テープを見失い、地形図と睨めっこしながら吊橋を探すがなかなか見当たらない。適当に沢幅が狭まったところで雪の乗った飛び石伝いに渡渉。渡った上流のほど近いところに吊橋を発見するが、雪が1mほど乗っかっていて、渡れる状態ではなかった。

ここで16時前となり、時間的にも丁度良い時間。最低限の仕事は出来た。全体の行程を2日目に木曽殿山荘冬期小屋までC2を上げ、3日目に空木のピークを踏んで一気に下山という作戦に修正する。そのためには明日の行動が肝になるので、テント設営と水汲みをH口さんにお願いし、Y本君と2人空荷でトレース付けに行く。小1時間ほど急登をラッセルし200m標高をあげておいた。

 

  • 12/30(雪)

2:30 起床 ~ 4:40 出発 ~ 9:50 8合目(2250m) ~ 往路下山 ~ 11:20 6合目

~ 13:00 うさぎ平 ~ 14:50 伊奈川ダム

 (Y本記)3ラッセル

今日は勝負の日。昨日の遅れを取り戻すには木曽殿山荘まで必ず行かなければならない。2650mの東川岳を経由するので標高差は1000mあまり。昨日、空身でつけて置いたトレースがあるので、800mラッセルで上げる計算。森林限界を越えれば、ラッセルも楽になると思われるが何mあたりだろうか?

朝2:30に起きて、暗い中トレースを

頼りに終点までは30分ほどで登る。トレースがあるとなんて楽なんだろうか! その後急激にスピードダウン。真っ暗な中ヘッデン頼りに黙々とラッセルで上を目指す。ヒザから腰ラッセルで雪も少し緩い。3人で早めに交代を回すが時間が掛かってしょうがない。

A久さんのラッセルスピードは速いのに、H口さん、Y本になるとかなりペースダウンしてしまう。そのうちA久さんが先頭でラッセルしているにもかかわらず、2、3番手がついていけなくなって来る。2番手も雪が緩くステップが固まらず崩れてしまうので、楽なペースで登れず消耗が激しい。

8時半過ぎで2150m。1時間で標高差100m位のペース。朝食を鱈腹食べたのに、もうヘロヘロでお腹が空いてくる。ラッセルを交代し風も強くなってきたので、バラクラバを取り出して水分補給と行動食を取る間に先頭はだいぶ先に・・。やっと追いつくと、ペースが遅く雪も降っていて天気も良くないとの事で敗退を決定。

A久さんからラッセルのコツを教えてもらい、少し早く登れるようになったので8合目まで目指すことにする。しかしその先の樹林帯で落とし穴ばかりにはまり全然進まない。8合目まで来たところで今回の最終到達点として本当に敗退決定。あとは来た道を戻るだけ。下りは早く、あっという間に昨夜のテンバを過ぎ、うさぎ平、伊奈川ダムへ下山。

 

<感想 Y本>

昨年1シーズン雪山を経験して、すこしは体力にも自信が付いてきて今年こそは完登しようと思っていたのですが・・

ラッセルが下手くそではかどらず、ルーファイも下手で雪溜りにはまったりと雪山経験の足りなさが浮き彫りになる山行となった。これに懲りず経験を積んで雪の扱いになれていければと思いました。

 

<感想 H口>

久しぶりの雪山山行です。ぶなの会に入会してからテントを担いでの雪山縦走も、空木岳に挑戦することも初めて。ですから、出発する前から少しワクワク。ただ、天気予報が良くなくって、そのまま的中しちゃいました。今から考えると、これが一番効いたかな。

【前夜】

新宿駅20:00集合、西口ロータリーにジャストイン! 滑り込む。「お世話になります、よろしくお願い致します」、出発前の挨拶から。高速は、順調と思いきや、調布の手前で事故渋滞。渋滞を通りこすと、快適なドライブとなる。しかし、小淵沢手前から雪が激しく降り出してあっという間に白銀の世界へ。中央本線上松駅の構内待合室で仮眠することに。木曽福島地方は大雪警報が発令されたとのことで、気にかかる。でも睡魔に負けてそのまま就寝。

 

【初日】

5時に目覚める、というか駅員の除雪音で起こされた、という感じか。駅前の道路上にも結構な積雪量、止みそうにありません。セブンイレブンで温かい朝食をとり、伊那川ダムへ。私の車でたどり着けるだろうか? 恐る恐る、突き進む。今回の降雪の前に除雪されたようで、救われた。伊那川ダムまで入れた。雪が雨に変わり、雨が止むまで車で待機となる。またまた仮眠となる。

11時前位雨が小降りとなり、いよいよ出発。A久Lのザックがコンパクトであるのに対いて、私のザックは結構大きい。A久Lが林道歩きを突っ走る。あっというまに伊那川避難小屋に辿り着く。うさぎ平から5合目を目指す。林道から登山道に入るところで、ワカンを装着。おー、ワカンの効果を感じることができる。積雪量が増えてきた。この先は15~20分間隔で先頭を入れ替わり、距離を延ばす。

5合目を過ぎてからしばらく平坦な歩きとなるが、疲れが出てきた。荷物が重いせいだろう。東川本谷の北沢に下降し北沢の吊り橋を渡るのだが、どこら辺で下ればよいのか迷ってしまう。わかりにくい地形となり、少し手前で北沢に下ってしまった、しかし、北沢を詰めると吊り橋が現れた。6合目に到着、本日の最低限のノルマ達成。くたびれました。北沢へのルートファインディングはA久Lに任せっきり、とにかく、こまめに地形図を見て観察しています。当たり前のことなんですが、体力に余裕がないと、億劫になります、今の私はそれに当てはまるかな。最後のラッセルも任せてしまい、申し訳ありません。ラッセル突進力の差があることを痛感しました。

16時に6合目に着いた。A久Lの素早い決断に感動、テント設営班と翌日の空身トレース偵察班に役割分担。暗くなるまで残り1時間ですから、確かにそうするしかない。私は整地して、テントを張る。そして、水汲みをする。A久LとY本さんはへッ電を持参し空身でトレースを付けに。水が豊富なのでとても助かる、初日の夕食はY本さんの食当です、松坂牛のすき焼きです。山で体を動かした後の夕食はとても美味しい。体が素直というか本能的に美味しく受け付けてくれるようだ。明日の行程を確認する。7合目先の見晴場から8合目までのトラバースというか緩やかな平坦な尾根の昇りのラッセルが

大変になるだろうと予測、Webの過去の記事にもあった。初日はガスとお酒が減っただけで、ほとんどザックの重さが変わらないことに翌日の山場を越えられるのか不安を感じた。

 

【二日目】

5腰

朝2時半おき、の4時40分出発。私が身支度にもたついた。へッ電を付けて出発。真っ暗だけど昨日付けたトレースが大いに役立つ。高速道路のようだ。

しかし、トレースがなくなると本格的なラッセルとの闘いとなる。順繰り順繰りに先頭を交替し前進する。3巡回まではなんとかいけたが、その先で急登かつ乾雪の深いラッセルとなり2歩進んで1歩後退するような、苦しい戦いとなる。予想通り、7合目・仙人の水の先から、ルートファインディングも重要となる。

しばらくして、A久Lが私たちのペースと翌日の行動距離をみて、撤退判断を下した。でも、悔しさのこるY本さんは、前進できるところまで行こうと頑張る。ここで、A久Lのラッセル指導が始まった。A久Lの指導の下、ラッセルを学び、距離を延ばすも、積雪量が増えてきて、またまた前進力が鈍くなる。8合目に到達したところで小休止、引き返した。私はこれにて、心が折れてしまい、緊張の糸が切れてしまったかな。下山ですがペースが遅れだす。こんなにも昇ったのだろうか?と思うぐらい下ってゆく。残念でなりませんが、短期間での山行なので仕方がありませんね。

 

【課題・反省点・個人的な感想】

なんといっても、ザックが重たい。主原因は二日目の食当が私であったので、食料を担いだが、酒のつまみ用と夕食のメニューを2つ用意したことが私個人の敗因である。酒の量も多かったかな。ベースキャンプ並みの献立としたことを反省です。さらに個人装備面でシュラフを更新し、重量を減らしたい。

共同面では、フライシートは持たず、テント本体+内張りか、あるいはテント本体だけでよいのではないかと思う。(私は冬のテントは本体のみ持参で、内張り・外張り・フライシートも持参しないことが基本スタイルです。)その代わり、ガス缶を少し多めに持って行きます。外張りやフライシーはテント張りや撤収に時間がかかると思う。内張りはあってもなくてもテントを張る時間に関係ないです。テントマットも1枚のみでよかったかなと思いました。ジェットボイルを利用したので、ガス缶は中三缶で。または、食料計画を簡素化し、コッフェル1つに直火加熱可能な食器を持参し、鍋・食器を減らす、

6合目にテント泊するならガス缶中三缶で足りると思う。ですが、重荷でのラッセル訓練になりましたので私は満足です。

6橋

最後に、新人の私にとって手ごろな雪山山行を企画下さいましたA久Lに感謝します。中央アルプスの魅力も発見、教わりました。またリピートしたい気持ち

になりました。また、今の私にふさわしい山行あれば、参加させてください。今回見つけた課題を是非織り込みたいです。Y本さん、ぶなの山行スタイルを習得されているので、見て学びました。パワフルなので心強い存在です、今後も是非ご一緒できればと思います。お世話になりました。

以上、うさぎ平経由空木岳雪山山行の報告(兼、感想&課題)でした。



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