西上州 昇天の氷柱、相沢の氷柱、カブコロン、ナメネコフォール 2015/3/14-15

アイスクライミング

メンバー:S口、S藤

3/14 晴 0300発
・0430登山道入り口~0630昇天の氷柱取付~1030荒船山山頂~1150下山
・1430相沢の氷柱~1800下山

3/15 晴 0700発
・0800沢沿い林道脇駐車~0900カブコロン取付~1130登攀終了
・1200ナメネコ取付~1400登攀終了~1450カブコロンより下山開始~1520下山

<3/14>
◯昇天の氷柱
以前から笠氷の話を聞いていて興味を持っていた昇天の氷柱。
S口さんもなかなか片付けられていない課題という事で、気合いの朝3時発。
荒船山の登山道を登り一杯水の看板から岩壁沿いのトラバースに入りちょっと歩くと下が切れた氷柱が見えて来る。さらに進むと下部が広がった滝、昇天の氷柱のF1が見えて来た。

この時間だと誰も取り付いていない。簡単なF1とF2はサクっと登る。
F3は両岸に岩壁のある細いルート。氷は割と薄い箇所がある。
右側にペツルが2つ。S口さんは岩に身体を預けレストしながら岩と氷を上手く使い抜ける。自分はザックを背負っているのでヌンチャクを回収後左寄りのルートを取り、登り切る。スクリューでビレイ。

そしてこのルート最大の特徴である笠氷のあるF4が見える。
このF4は年によって笠の発達具合、氷の付き具合が全然違うようだが、この日は見事な笠氷が張り出していた。
下から見ると笠が2段になっていて上段の笠が透けて空の色が見えている。
こちらもS口さんがリード。笠の下まで順調に登り笠は二段の間に入りスクリューをセット。笠から出てきたら上段の笠の左側からそのまま上に抜け、F1~F4まで無事オンサイト。登っていいよーの声と共にF4に取り付く。
下から見るとこんな所登れるのか?という見た目だが登って見ると意外にあっさりとノーテンで登れてしまった。
張り出した笠は見た目より丈夫で乗っても崩れる感じは全くしない安定した氷だった。笠の中に入ると貝の中に居るような不思議な感じがする。
このルートは短いながらも変化があり、形状の変わった氷を登ることも出来る楽しいルートだ。

ポカポカ陽気の荒船山を下山し、車に戻るとまだ正午前。
あっさり終わり過ぎてしまったので、S口さんとなんか物足りないねという会話をしてH明さんの居る相沢の氷柱に転進する事に。

◯相沢の氷柱
相沢の集落、H明さんの車を発見し登山道に入る。
途中左にトラバースする道があり入るが途中で踏跡程度に薄くなり最後に踏跡すら無くなる。
「なんか違くね?」と言ってS口さんが持って来た地形図にあるトラックとGPSを見比べるが合っている。
そのまま沢に降りて汗だくになりながら冬靴を履いての沢登り。
この日2本目の滝のアプローチ。暑くてバテる。

沢を詰めて行くとエイプリルフールと呼ばれる滝が出てきて、そちらにはお初のWさんと高坂さんのパーティが登っていた。我々はH明さん達のいる相沢の氷柱に取り付く。
こちらもS口さんがリードで登りリード&フォローで自分がスクリューを回収。
それほど難しくなく自分の登りを確認しながら登るのに丁度いいグレードだった。
帰りは尾根を一本乗越すとすぐに登山道が・・・
来る時の苦労はなんだったんだってくらい楽に下山出来た。

◯宴会
その日は某所に戻り、H明さんP、WさんP、我々Pの計6人でラムのカシミールカレーとキムチ鍋で外宴会。美味しかった。
寒くなってきたので6人でテントに入って続き飲みしていると、M藤さんとN野さんがやって来た。
4テンに8人ギューギュー詰めでいつもの大盛り上がり。
WさんP、我々Pのアイス組は今日は登り疲れて明日も7時発という事で0時くらいに解散。その後酒豪4人は2時だか3時だかまで盛り上がっていた模様。相変わらず元気だ。

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<3/15>
◯カブコロン
お初の高坂さんがまだ行ったこと無いというので、アプローチを知るWさんの案内で一緒に行く事になった。
沢伝いを歩き尾根に乗ってカブコロンの前に出るというWさんが発見したオリジナルルートを辿り1時間くらいで到着。
我々はカブコロン、WさんPはナメネコから登り、カブコロンはトップロープを張ったまま交代するという段取りで登ることにした。

カブコロンは下部が凹角になっていたり途中が切れていてハングしている所もあり、難しそう。自分の実力じゃトップロープでも厳しいかも?という気がした。
登る準備をしている所に年配の男女2人組のパーティがやって来る。こちらは回りこんで上からトップロープをかけるそうだ。
カブコロンは広くなく、2パーティ同時登攀は難しそうなのでまず我々が取り付く。
S口さんは左側凹角から取付きハング部分を右上にトラバースして垂直部分を登りオンサイト。腕を休めながら苦労して登っていた。

トップロープを張るという事でビレイ解除の後ロープアップを待っていたら上から「回収面倒だからリード&フォローで登って来て!」の声が・・
マジ!?と思ったけど、バイルを持って取り付く。
ここをスクリュー回収しながらか。。今回フィフィ忘れて来たしなーと思いながらなんとか登っていく。
ハングで氷柱を乗り移る場所に設置してあるスクリューはさすがに取れずメインロープにテンションして回収した。
途中、ビレイしているS口さんに向かって「難しいーー!!」と叫ぶ。
その後2~3回テンションしながら多目に打ってあるスクリューを回収してなんとか登り切る。

この一登で結構お腹いっぱい。終了点でトップロープ支点を構築してから懸垂下降し、隣のナメネコに移動する。

◯ナメネコフォール
見た目は簡単そう。
リードしてみたらと言われたが、カブコロンでヨレヨレになっていたのでフォローで登った感じで决める事にした。
ナメネコは左と右ルートがあり、左の氷は厚いが右は薄いベルグラになっている部分が多い。
またS口さんにリードしてもらう。ルートは左だが思ったほど楽そうには登っていなかった。

次にフォローで登る。なるほど。見た目より難しい。安定して立てない所もあるし、落ち口付近の嫌な所に倒木があるし、雪が積もっていてアックスが決まらない感じが嫌らしい。リードはやめておく事にした。

2日で4本目の滝を登ってS口さんも自分も一通り満足という事でカブコロンで回収便を出していたWさんPに合流。

下山はちょっ早で30分もかからず車に戻れた。
その後、荒船の湯に行き汗を流し、きよしや食堂でカツ丼を食べ、道の駅で下仁田ネギを書い解散。
少々渋滞していた関越を通って東京に。

今回は2日間で4つの滝に登れ、思わずアイス充した週末となった。
計画を立て、リードをしてくれたS口さん、美味しいカレーを準備してくれたH明さん、ありがとうございました。
(S藤)

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■S口さんコメント
・14日
①昇天の氷柱
何度も計画しながらなかなか行く機会のなかった荒船山艫岩(ともいわ)にある昇天の氷柱。近くて遠いこのアイスをさとけんと登ってきた。
心配していた氷結状態は、水氷でもなくばっちり。昇天の氷柱は全4ピッチ。F1、F2は易しい。
チムニー状のF3では岩と氷の間に身体を預けてレスト可。右側壁にペツルのボルトが2本あり。
笠氷のF4も見た目以上にしっかりしているが、笠そのものにスクリューを刺すのは避ける。傘の下に入り込み奥の氷にセットする。
そんなふうに左に右に笠を乗り越えると、荒船山の山頂台地にひょっこり出る。ここのところ大きな滝ばかり登っていたので、昇天の各滝が小さく感じる。グレードも想像していたより難しくない。下から3級、2級、4級、4級といったところ。
暗いうちから行動を開始したので、正午前に内山峠に帰着。

②相沢の氷柱
昇天があっさり片付いたので、午後の時間が丸々空いた。物足りなそうな顔をしているさとけんを相沢の氷柱に誘う。
7年前に訪れているのだがアプローチは覚えていない。相沢の登山口から登山道へ。
途中から沢床に降り詰めて行くとエイプリルフールが現れた。H明さんPが登っていた。Wさん達も来ていた。
今回エイプリルはお預けして、相沢の氷柱へ。前回トップロープで登った記憶のあるこの滝。寝不足に加え昇天とここまでのアプローチの疲れの中で登った。
ロープは50m以上延ばしたと思う。グレードは易しめの4級といったところ。4級マイナス。

・15日
③カブコロン
WさんPにアプローチを案内してもらって佐久側にあるカブコロンへ。
アプローチは谷筋を詰めるのではなく、左岸尾根を行くのがミソ。
見上げるカブコロンは見事な氷柱。左側の高さ10mほどの柱状を登りその柱頭へ。
そこから右上トラバース、さらに直上するところがいちおうの核心。13㎝のスクリューを刺しながら突破する。
アックスを何度も持ち替えながら前腕をシェイク。そうしてカブコロンをオンサイトできた。
4級というにはカラいと思うので、易しめの5級といったところ。層雲峡のバニシングムーンと同じか少し難しいくらいかと。

④ナメネコフォール
WさんPと入れ替わるようにナメネコへ。カブコロンの後だと傾斜が緩いように見える。
しかし、疲れた身体には気が抜けない滝だった。4級だが相沢の氷柱よりは難しい。4級プラスかな。

比較として犬殺しの滝は3級、あるいは多めに見積もって易しめの4級。
大谷不動左岩壁の各滝(左F1、中央F2、右F1)は5級だと思う。蔵王仙人沢の大氷柱も。
それらはカブコロンよりもずっと難しい。

アイスのグレードは氷結状態に寄るところが大きいし、ライン取りで何とでも変わる。
ラインはその滝の中で最も登り易そうと思われるところを登ったつもり。
今期私が登ったアイスを比較してのグレーディングだが、それはあくまでも大まかな目安。
登って楽しければグレードはあまり気にしなくてよいかと。

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