錫杖岳 見張り塔からずっと&左方カンテ 2016/6/11-12

アルパイン(夏)

メンバー:N村L、T橋

2016.6.11(土)  晴れ時々曇り
見張り塔からずっと

5:45 槍見温泉登山口
7:00 錫杖沢/北沢出合岩小屋(デポ) 7:30
8:10 見張り塔からずっと取りつき
8:50 登攀開始
12:20 大洞穴対岸の岩場で小休止 12:55
13:30 登攀開始
17:30 登攀終了(本峰を目指してうろうろ)
18:00 下山開始
18:50 2000mコル
19:50 岩小屋(泊)

槍見温泉より登山道に入る。

思ったより天気が良いからか、錫杖沢/北沢出合沿いのテンバ適地につくと、先行2Pがすでにテントを張り始めていた。私たちは更に上にあるという岩小屋を探すことにして北沢を登ると、わずか50mくらい上がった左手に、ちょうど二人用テントが張れるくらいの半岩小屋があった。天井にはギアを吊るしておけるリングボルト2か所、目の前にはいい感じに深さのある専用水場付き!素敵だ。

飲み物を冷やしておき、ウキウキ出発。
北沢大滝につくと、今日、見張り塔に登るPはいないようだった。

DSCN5589

1P(N村) 50m
トポ1-2Pをつなぐ形でロープを伸ばす。岩がつるりとしていて、5.6という割には悪い。最初は行こうかと思ったけど、やらなくてよかった~。

2P(T橋)  40m
トポ通り、階段状と分かりやすいザレ場を越えて、沢型に挟まれ中洲のように盛り上がった岩の手前で切る。途中、1か所ハーケンと謎のお助けがあった。

3P(N村) 60m
直登と悩んでから左の沢型を行くが、藪交じりの岩場でルートがよくわからない。ロープいっぱいとなり、かなり迷ってから無理やり切るが、残置ハーケンはおろかカムを入れる場所もろくにない。

4P(T橋) 60m
引き続き、藪交じりの沢型を迷いながら上がり、突き当りの壁に頼りないハーケンを見つけて登るが、意外に悪くて怖い。抜けた先はだだっ広く開けた草付きの岩場で、緩やかに上がった上部には錫杖の岩峰群がそびえている。

DSCN5599

足元の草付きの岩場にはピナクルはおろか、カムが入る隙間もない。右へ右へと60m伸ばしきって、ようやくカムで支点を取れた。振り返ると、もう少し右手から登ればずっと簡単だったようだ・・・。前のピッチを右の沢型から行けばまっすぐ上がることができたのかも。

ここでいったんロープを畳み、100メートルほど右上する。適当なところから上部岩峰を目指してさらに100メートルくらいはあったか、薄いバンドまで上がる。目印となる大洞穴が見当たらないので周りを見回すと、目の前に中央稜らしき台地が・・・ちゃんとトポを読まなかったら、どうやら右に出過ぎたようだ。
小休止を取ってから少々藪を漕ぎ、トポにあるルンゼを越えて大洞穴前へ。

5P(N村) 30m
核心ピッチ、何かどす黒い大洞穴の横のクラックを左上する。

6P(T橋) 55m
チムニーを上がって右上気味にトラバース。確かに5.9くらいだろうが、(どこでも同じ感じで)ルートがわかりにくく悪い。プロテクションがあまり取れず、ホールドが甘く、カムの重さで怯えて登る。トポでは25mになっているが、またもや切れる場所がなく、壁面を乗り上げた上部の緩やかな草付きを登り切ったところにある立木で切る。

7P(N村) 55m
だだっ広い、緩やかな草付きスラブを右手に歩いてトラバースしてから、岩峰に向かう草付きを20mほど直登。カムで頼りない支点を取って、ピッチを切る。

DSCN5606

8P(T橋) 30m
トポから計算した通り、30mほど登ったところで草付きが終わり、最後の岩峰直下へ。

9P(N村) 20m
クラックとフェース混じりで快適に登ると、岩峰てっぺんに抜ける。

DSCN5633

18:00 トップアウト。本峰に行ってみようとうろうろと探すが、イマイチ道が分かりにくく、ほとんど行く人もなさそうな道なき道の様子。

18:30、霧が深くなってきたので諦めて下山することにし、南の2000mのコルに向かう途中の岩峰に、お目当てのピッケルと錫2本を見つけて大喜びする。こんなところにあったのねー!!!

本峰に行く道があのケモノ道なので、登山道から来る人向けのゴールをここに設定したのだろうか???残念ながら、木の「錫杖岳」看板は見つけることができなかったけれど。

日が長いおかげもあり、あまり迷わず牧南沢経由で下山し、20:00テンバ着。

6.12(日) 快晴
左方カンテ

6:00 岩小屋
6:30 左方カンテ取り付き
7:00 登攀開始
12:00 登攀終了(懸垂3ピッチ)
13:00 取り付き
13:30 岩小屋 14:30
15:30 槍見温泉登山口

早出のPに起こされて見てみると、昨日の入りらしいPが2つほど増え、下方のテンバがにぎやかになっていた。若干出遅れ気味に出発すると、左方カンテは先行2パーティー、後続なし。

IMG_7858

1P(N村) 30m
先行Pは下部をノーロープで飛ばしてスタート。こちらはのんびり準備して、一番下の地面からスタートした。ゴロゴロと波打つような大岩の間を縫うように上がっていくと、しっかりした支点がある。

2P(T橋) 25m
大岩登りの続き。前ピッチに続いてトポの距離が10メートル以上長く書いてあるので戸惑うが、岩峰の端まで出ると、小さなピナクルで終了。ランナーのをとるような支点はないが、ビレイ点にはまたまた立派なペツルの支点がある。

3P(N村) 40m
スラブを右上して、バンドを歩き、トポ2ピッチ分をつなぐ。

4P(T橋) 30m
草付きチムニーを上がる。

5P(T橋) 40m
チムニー横のフェースを上がり、大テラスまで。途中数か所リングボルト有り。注文の多い料理店を登って来たパーティーが、テラス真横のルンゼ沿いに上がって来るのが見える。

DSCN5685

6P(N村) 40m
リーチがないと厳しい、出だし核心のクラック&チムニー登り。チムニーを抜けた先に見えている複数のクラックが走る壁を直上し、リッジに乗り上げたところで終了。高度感が楽しいピッチ。

7P(N村) 40m
ところどころ立木のあるざらざらしたフェース。注文を上がるとこのピッチから合流する。

8P(T橋)  25m
易しい岩場をひと上がりすると、開けた台地手前で終了。大木に懸垂支点がある。

8-7ピッチをつなぎ、懸垂3ピッチで注文取り付き付近に降りる。いい具合に前後のパーティーがばらけ、あまり待ち時間もなく、すんなり流れて快適な登攀だった。

DSCN5705

【感想】
去年の注文に引き続き、今回でやっと錫杖入門3部作?を愉しむことができました。
今年ならもしかしたらこの時期でも行けるんじゃないか?と思いつつも情報少なく躊躇していましたが、梅雨の合間をぬって思い切って行ってみたら大正解!!

「見張り塔」については途中ルートミスって全然違うところいっちゃいましたが、それも含めてアルパイン。
クライミングシューズを履きながらの薮漕ぎトラバースは、あしが滑っておっかなかった。。。(薮漕ぎ3級?)

まぁしかし、登攀終了後に北側にある、2168m地点を追って行ってみたけど、完全に道がなくて行く手を阻まれてしまい、時間切れ断念!そこから肩を落として帰ると、その先は踏み跡バッチリ、かつその先には例のピッケルが。。。
偽ピーク?にはご注意を!(ピッケルは帰り道(南側)にあります。北側は行くのが大変だから別ピークを設けたものと感じました。)
下りは、迷い道に騙されることが多いので気を付けて!コルから沢沿いに沿って降りていけば大丈夫です。

「左方カンテ」は、アルパインというよりはフリーマルチのルートに近い印象。スラブ、クラック、フェース、トラバースと一連のムーブをそれなりに楽しめるということで大人気ルートなのはうなずけました。。。
ハーケンが全くないものと思ったけど、適度に残っているのが、棘っぽくみえて、ちょっと痛々しく心残りか。
でも錫杖いい所だ! (N村)

2日間で10パーティー弱がエリアに入っていたと思いますが、登攀ルートもそこそこばらけ、去年登りたいと思った2本をたっぷり堪能できました。注文はひたすら縦に登るザ・フリーマルチという感じでしたが、左方カンテは右に左にうろうろし、内容もバラエティがあって面白く、支点はピカピカで迷わない、と、大きなマルチピッチという感じ。見張り塔はトポのよくわからない説明通り、支点もなくルートもよくわからず、山!!!のオリエンテーリングのような趣でした。個人的にはやっぱり「山」を感じられるルートが好きです。

今年は寡雪だからでしょうか、雪の気配もない錫杖は、すでに暑いくらいの初夏の日差しでした。元気いっぱいの虫たちには大小合わせて70か所くらい食われ、季節の始まりを感じる山行となりました・・・。かゆい。 (T橋)

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