宮城蔵王 濁川 不帰ノ滝 左壁 ブルーファング 2017/3/4-5

アイスクライミング

メンバー:M藤L、H田

氷壁から引き離されたH田さんが宙を舞う。引き千切れたバイルが更に高く宙を舞い、滝壺に吸い込まれていく。これは悪夢か現か幻か。
そして、翌週のリベンジ山行。
緊張感は極限にある。
 

 

3/4(土)
先週と同じテン場に13時着。明るいうちから宴会。

3/5(日)
ルンゼを懸垂3回で取付きへ。
見上げるブルーファングは、より一層の迫力で我々を見下ろす。
氷瀑の中間部には鈍い光を放つ残置スクリュー。夢でも幻でも無い、これは現だ。
ロープを裁くH田さんの顔色は、ドーム西壁以来、半年振りのチアノーゼ。
以下、グレードはM藤体感。

1ピッチ(Ⅵ)45m M藤
垂直ピラーは中間部で折れていて威圧的だ。スカート部を軽く登り、スクリューを決めてから、左テラスでレストと精神集中。カンテラインに戻り一気に登るがバイルが抜けてフォール! アイスで初のマジ落ち。スタートから思いやられる。

見上げるスクリューは氷が跳んで、半分剥き出し。氷結は悪くない筈。これはあり得ない。。あと50センチ登っていたらグランドか。。

仕切り直しでテラスからリスタート。今日は何としてもトップアウトしたいのでスカート部は割愛したが、まあ、スカートなのでチョンボ認定無しで良いだろう。

綺麗な氷柱状で体重の逃がす凹角やステップが無く、フィジカル勝負となる。

先週と比して更に厳しく感じ、強烈なパンプに襲われる。上腕の感覚が無く突っ込めない。レストの合間にスクリューをセット。雄叫び全開の気合い勝負に持ち込み、何とかノーテンション。

この一週間は気負って、4日間連続ジムトレ&筋トレをこなし、万全の体調の筈だが。。ダメダメ、完全にオーバーワークだ。。

2ピッチ(Ⅵ-)40m H田
氷の形状が複雑でテクニカルなピッチ。凹角、カンテ、ツララ、薄氷、スカ氷とバリエーション豊富。先週は、この悪い氷に対して、スクリュー4メートル間隔で、超攻撃的な登攀をしていたH田さん。今週は、「各駅停車」で1メートル間隔でスクリュー連打だ。まあ、10メートルも墜落した翌週じゃ仕方あるまい。パンプの抜けない上腕を庇いムーブ全開でテンションを回避しつつ、残置2本を加えたスクリュー15本を回収。これまでの1ピッチ回収数の最高記録だ。もはやリードと大差ないか。。

アイゼン、バイルを撃ち込める箇所が限定される難しい氷。1ピッチ目より技術的には上。オーソドックスな正体ムーブ系のアイスクライマーだと、フォローでもテン山に陥りそうなピッチだ。

3ピッチ(Ⅴ)25m M藤
トポにはⅣ級とある。見た目階段状。どっこい、辛目のⅤ級。薄&スカ氷をトラバースし、バイル持ち替え多用。抜けの氷は崩落し、黒い口を開けている。

慎重に滝上へ抜け、安定した上部の灌木までロープを延ばし終了。

【コメント】
2年前、アプローチに時間を費やして敗退した際に、初めて見上げたブルーファング。その威容に息をのみ、理想とするスタイルで登攀したいと思った。行けるところまで頑張って無理ならテンション。これは簡単である。いつも通りやればいい話。「何がなんでもテンションしない」となると、実力との距離感を見極めて、何かを削らなければならない。要は、安全マージンを削る判断、作業を登攀中に行わなければならない。そういう意味で、先週の敗退により、削るマージンが殆ど無いことが分かっている状況下での、今回のトライは精神的にタフであった。
「何とかノーテンション」。もし、次回があれば、「余裕でノーテン」といきたいものだ。
 

 

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