剱岳 源次郎尾根~早月尾根 2014/5/10-11

アルパイン(雪山)

メンバー:F田

5/9
仕事終了後そのまま新宿から富山行きの夜行バスに乗り込む。KB LINERというバス会社だったが、値段が4000円弱と低めなわりに車内が広く、消灯時はケータイ電話の操作も禁止という徹底ぶりだったので珍しくよく眠れた。

5/10
【室堂9:15-剱御前小舎10:40-発11:15-剣山荘付近11:50-源次郎尾根取り付き12:45-源次郎尾根上13:10-Ⅰ峰16:00-Ⅱ峰後のコブ17:30】

中国人の観光客にまざり室堂まで移動。当然のごとくスキーヤーで賑わっているが、劔方面に登るのは数えるほどしかいなかった。

剱御前小舎に近づくと強風。風速は体感で10m前後。みな小屋で計画を見直しているようだった。小屋から別山尾根を見ると、尾根を境に雲が巻き上がっていてかなりの強風であることが窺える。日本海側を通過している低気圧の影響で北西の風。空模様はすこぶるよく、時間的な余裕はあるため、本日中に剣岳を踏むことはおそらく可能だが、尾根で突風に当たるリスクと幕営がままならない恐れがあるためこの時点で別山尾根は断念。

ひとまず剱沢に下りてみると沢内部はかなり穏やか。前日の荒天と降雪、当日の晴天による雪崩のリスクは低そうだが、雪が緩みグズグズで足を取られやすい状態だった。前進は可能だが露骨に体力だけ消耗するのが目に見えて気が進まない。

明日を待つことも視野に入れたが、遠方から見る源次郎尾根は取り付きのルンゼの状態もよさそうで、稜線も風は吹いていないように見える。むしろこの雪質でステップがしっかり切れるのなら好都合と判断して源次郎尾根に取り付くことにする。

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取り付けば思っていた以上に雪が愚図つき息が切れる。こんな遅々としたペースで歩くのも久しぶりと思いながら高度を上げる。
Ⅰ峰に向けて大きく登り出す箇所が特にしんどかった。細いリッジが連続するがこれは確実にステップが切れるため特に問題はなし。ロープの長さが足りるかどうか少し心配していたⅡ峰の懸垂下降もギリギリ足りた。
Ⅱ峰を登り返したところに調度よいコブがあり、時間も17:30といい塩梅だったので幕営する。劔本峰を目前とするがこの辺りから徐々に風が強く吹くようで、山頂での幕営は臨めそうになかった。

幕営地からは八ツ峰や剱沢ほか北アルプス北部がくまなく見渡せる高ポイントで、風は吹くもガスはなく視界良好。スカイラインに紫や橙の靄が走る素敵な景色を見ることができた
21時頃から風は止む予報だったが、この標高でそれは叶わず一晩中騒々しかった。

5/11
【起床4:15-発5:45-剣岳6:25-早月小屋9:15-馬場島11:45】

幕営地から劔山頂は目の前だが、冷え込んだこともあって雪にアイゼンが効きにくい。加えて雪面のすぐ下の層に岩があることが多くやや難儀するが、ラインを見極めつつブッシュに頼りながら攀じ登る。あまり山頂はありがたがらないタチだが、単独で冒険じみたところがあった分、今回は達成感も一入だった。誰もいない静かな剱沢に目をやりしてやったりという気分。

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早月尾根はルンゼの雪のつきが悪く、歩を緩めながら確実に下った。懸垂下降を繰り返したほか、早月小屋に近づくほど雪が流れるように緩んでいたため、安易な足取りはできず、昨日よりも集中力を要した。

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小屋以降はまったくの無風で日差しが強く、残雪期特有の寒暖差に音を上げながら馬場島へ向かう。グリセードにドンピシャな雪面なのでかなり早く下りることができた。
しかし下山した馬場島ではお風呂のボイラーが故障していると嘘かホントか宣告されてしまい、頼みの富山の観音湯も先日店仕舞いしてしまったとのことで、虚しく臭い体できときと寿司を食べて帰京した。

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(F田)

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