メンバー YT川(L)、Wさん(他会)




米子不動アイスクライミング





2年ぶりの米子。一度米子の氷瀑を見てしまうと、それに圧倒され、まだ戦う気力が残っていれば、再訪をしたくなる魅惑のエリアだ。

 米子はアプローチの林道歩きが長い。積雪が多いとワカンで5、6時間くらいかかる。スノーシューで3,4時間。アプローチが長いことが問題だ。それで今回はいいアイデアと思って、アプローチの林道に橇を使うことを思いついた。

市販の大きな雪掻きケースを改良して、それに穴をあけて、紐で引っ張るようにした。結果は散々で、荷物を背負って歩く方が全然早く楽だと分かった。今年は雪が少なく、林道にはトレースが残り、ワカンなしで歩ける状態で、スノーシューなど心配する必要や橇使用の心配などなかった。帰りは橇のために、遠回りすることになり、時間もかかり、ヨレヨレに疲れた。もう橇は懲り懲り。

  初日9日、我々を入れて、5パーティーが入った。早く着いたパーティーは、近場を登っていたようだ。我々はテントを設営して、12時を回っていたので、明日の黒滝登攀のため偵察に行くことにした。米子川の川沿い、途中までトレースあり。滝山館に向かう川沿いの道から、トレースなし。それでも、積雪が少ない所為か、遊歩道が何となくわかる。橋の架かるところから、正露丸の氷瀑が見える。凄い。100mの高さの白い大氷柱がまっすぐ立っている。これノーテンで登れるのかと思う。この大氷柱でも5級下のランク。
米子にはそれ以上のランクの氷瀑で、コブラ、味とも、夜叉、阿修羅、ドジョウの詩など難ルートの氷瀑がゴロゴロある。胃が痛くなる。

 滝山館の手前の橋から、不動滝、黒滝が見える。不動滝は巨大クラゲが積み重なったような幅広の見たことのない大氷瀑。御神体として、登攀は禁止されている。登攀対象と見ても、今年の不動滝はどう登っていいのか分からない。
黒滝もほとんど直瀑で、これノーテンで行けるのか心配になって来た。さらに滝山館まで登ると権現滝が見える。この氷瀑も御神体として、登攀は自粛されている。とにかく初めて滝山館まで入り不動滝を見ることもでき、有意義な偵察だった。


 10日(日曜日)6時出発。吹雪。2時間弱歩いて黒滝の取り付きに着く。登攀前の雑用を済ませ、たぶん8時半くらい登攀開始。観察すると、左側から取り付くのが良さそう。左寄りの直登ラインと読む。氷瀑は所々、足が乗るステップみたいなのがあるので、簡単そうに見えた。バージンアイスは、相当気を付けても、自分の壊したアイスを顔に当て易い。また、バーティカルアイスは氷柱の集合帯みたいなものが多く、時々空洞になってるので、氷が割れやすいこと、つまり落氷しやすいことがある。アックスが引っかかる利点にもなるが、外れ易い欠点にもなるので要注意する。

 登り易いのではないかと思った氷壁はやはりⅥ-のピッチだった。ノミックは非常に信頼できるアックスで、アイゼンのモノポイントを効かせて、足とアックスのピックを頼りに体を上げていく。バーティカルの氷壁では何本もスクリュウーを打つのはしんどいので、核心は5mに1本くらいしか打ってない。

易しくなると10mくらい打たない。たぶん、この核心のピッチ50mは6、7本くらいだったか?下から後10mのコールを聞く。緩斜面まで10mくらいで行けそうな気がするが。。迷ったが、壁の中でピッチを切ることにする。フォローのW女子、アイス2年目だが、確実に登って来る。米子の黒滝である。

私がアイスクライミングをやり始めた時、バーティカルが登れなくて、ぶら下がったものだ。昔のクライミングではバーティカルは人工登攀だった。ここで帰りの懸垂用にアバラコフの支点を2つ作る。私は一つでいいと思うのだが、W女子が怖いから2つを要求する。

 次のピッチで落ち口まで行けそうだったのでそのつもりだった。ところが、ハーネスの付け方が悪いのか、下にズレて来る。どうにも、このまま登れないので、25m程登り、右に回り込んで氷瀑の下の空洞でピッチを切ることにした。ここでハーネスを付け直す。こんな氷壁のなかでハーネスを付け直すなんて、ぞっとする。

 ここから3ピッチ目、洞窟上の垂壁を登り、左に回り込んで正面のアイスを登り、30m弱で滝の落ち口横の灌木に着いた。落ち口の上に、懸垂用の木も見えないので、ここから懸垂して下ることにした。時間を見たら3時半を過ぎていた。結局、取り付きに戻ったのが5時になってしまった。思った以上に時間がかかってしまった。ハーネスのドジを反省。

 チョコレートとお茶だけ飲んで、急いで下山する。
 テントに戻った時はお腹が空いて、フラフラ。熱い鍋料理が美味かった。


11日
 夜叉か阿修羅を考えていたが、H明氏の偵察によると氷結は悪いと言うことで、不動戻しに行くことにした。不動戻しは一度登っていて、そのときは登り易かった。今回再登してみて、意外と急に感じ、こんなに難しかったのかと思った。また、この滝の奥にも30mほどのⅤ-の滝が2つあるのを知った。

 今日下山なので、H明氏たちを後にして下った。フラフラになって橇を引いて下り、とうとう真っ暗な林道のど真ん中で座り込んでしまった。ヘッデンを点けお茶を飲んでいるとW女子が近づいて来た。車まで100m手前で座り込んでしまっていたらしい。
 帰りは温泉に入り、食事をする時間もなく、W女子が電車に間に合うよう高速を飛ばして帰った。