古賀志山クライミング詣 2021/1/2-3

スポートクライミング

[メンバー]エビさん(L)、M咲さん、K村氏、トジー(記)

 ピチピチ20代メンバーでフリーに行ってみた。

個人的にぴえんな話、金銭的問題の解決の為1ヶ月以上ろくにクライミングをしていなかった訳だが、ク○日雇い肉体労働のおかげで再起を果たすことが出来た。そんな折、『メンタリスト』『サイコパス』と一部クライマー間からの呼び声高い鬼才エビさんにフリーに誘って頂いたので物理的に重たい腰を上げて僕は古賀志山へと向かったのであった。

 1月2日朝6:00。

「ファッキン」(ク○ッシー風)

長らく拘束を強いてきた下界にささやかな暴言を吐き捨てゴーイングエビー号に乗船。

他2人の待ち合わせ時間は1分単位で指定されていたが、僕は幸運にも切りのいい時間を引き当てることができた。たとえ指定時間が1分単位でも船長の言うことは絶対である。守れない人間はオーバーハングしたルートで3日間宙吊りだ。それが暗黙のルールである。

 古賀志山の岩質はチャートのようだ。チャートを触るのは初めてだが僕の登攀能力でどれだけ太刀打ち出来るだろうか。

OS力強化を掲げて5.8のルートから着手するのだが、登っていない期間が長かったために登攀力の低下が激しい。

いやー、ここまで登れなくなっていると相当落ち込む。こりゃやばい。左フェイスで2本、右フェイスで1本易しいOS。

 続いて今月1日入会のK村氏も登る。しかし、クウ(5.8)トップロープで1本(しかもA0)のみで心身ともに力尽きてしまう。

「体重の増加を感じた。餅を食い過ぎた。」

との証言。そういえばK村氏が漁るそのザックからは行動食が次々と出てくる。K村氏は腹ペコキャラなのかもしれない。

昨今の山岳誌は超人的なロッククライミングとオシャンティなコンペティションのグラビアばかりが巻頭を飾り、現代クライマーといえば皆食事制限と『いいね』の数にピリピリしている。そんな中、K村氏のような腹ペコキャラはむしろ安心感を与えてくれる重要人物と言えるのではないだろうか。

と、配慮に欠ける辛辣な表現は冗談として。かく言う僕も不摂生が祟り、数ヶ月前と比べてかなりぶよぶよしている。

時代はフリー全盛だ。アルパインクライマーを目指していながらフリーに傾倒し過ぎるのも考えものだが、脂肪は少ないに越したことはない。

というか、クライマー間の視線もどことなく辛い。ヤケ食いという言葉があるように、重量級で、それでいて気にしいなクライマーは負の連鎖に陥りやすいのだ。だから、皆んなの周りに重たそうなクライマーがいても温かい目で見守って欲しいものだ。

お互いダイエットを頑張りましょう。

 「今季は磐石な登攀力を獲得したいから一つのルートに執着せず、限界よりも優しいグレードを沢山触るんや!」

とか言っておきながらも、羚羊ハング(11a)のラインに魅入ってしまう。

11aは僕の最高グレードだが、そのラインがかっこいいと自ずと食指が動く。何度かトライをするが、ハングを越えられない。

 ボコボコグロッキー状態にされ放心していると、ベンチに腰掛けていたおばあちゃん(70余)が今からハングを登るからビレイをしてくれと言ってくる。K村氏が驚きながらも応じると、なんとラクラクRP!

どうやら、激強おばあちゃんの正体はストーンローカルズのようである。しかも、話によると古賀志の70〜80代には12・13クライマーがうじゃうじゃいるらしい。一瞬都市伝説かと思ったが、多分本当だろう。

僕には武道の経験があるから分かるのだ。百戦錬磨のシニアは水の如き手つき・足取りで相手をいなし、重厚な間合い・空気感を放つ。説得力ある言葉からは豊富な人生経験を想像させ、無意識のうちに畏敬の念を抱かせる。柔道家で言えば名人三船久蔵十段、スターウォーズで言えばマスターヨーダと言えばイメージしやすいだろう。おばあちゃんからはそういう『凄み』を感じたのだ。

にわかに信じがたい話を聞いたとこで僕ももう1トライ。1手進むが、やっぱり登れず。

 一方、エビさんは次々とルートを落としていく。その登攀意欲は絶倫と呼ぶに相応しいだろう。エビさんがMOSトライ、パートナーのM咲さんが回収を兼ねたトライといった感じだ。

『2トライ以上はしない。登れても登れなくても。』という誓約と制約を自らに課すエビさんはOSにめっぽう強い。僕はこれを[エビさんスタイル]と勝手に命名して尊敬しているのだが、エビさんのパートナーであるM咲さんは彼のペースに合わせてレストを一切挟まないのである。

このハイスピードなローテーションにM咲さんは疲れないのだろうか。その問いについて聞こうと思ったが「イヤ-、そんなこと無いっスよ」といつもの感じで否定されそうだと思い口を閉じた。

世の中には言わない方が良いことが沢山ある。長生きしたければ特にだ。喉チンコのあたりまで込み上げていた空を僕は飲み込み、蒼い空を見上げた。

いや、全て妄想です。ごめんなさい。お許しください本当に。

 そんなこんなで日も暮れて、初日の夕飯は地元の定食屋 金太。『何を食べても当たり外れがない素朴な味付けです』とさりげなく失礼なレビューを発見するが、すかさずK村氏がフォロー。

「コンスタントに平均点以上を叩き出してくれる良心店」

と名言を放つ。さすがは腹ペコK村氏。コッテリでありがたい哲学を説いて頂いた。

食後は幕営適地でテントを張り就寝。

・初日のジムトレNG野塾門下生の成果

-M咲

水漏れ申介(10a)RP

新人クラック(5.8)OS

-トジー

クウ(5.8)OS

新人クラックOS

沙羅ちゃん(5.8)OS

塾長「ジムトレの成果はそんなものか!!

全員出直し!」バシ‼︎

 1月3日。たっぷり10時間の眠りにつき、僕を取り巻く全ての負債を返済したところで一行は再び古賀志山へ。

 ラジオ体操で体を温めて昨日敗退したレイン(10c)に取り付く。なんだかRPできそうだぞ。本日2便目でRP!かと思いきや隣に居たストーンローカルズから衝撃の一言。

「その課題は限定有りでめんどくさいんですよね。ほら、彼の立っているあそこもダメなんですよ」

トジー青ざめる。なんか吠えながらデッドしたりして…恥ずかしい//

赤く塗った部分は使っちゃダメとか…

逃げる様にマラ岩エリアへ。途中エビさんが羚羊ハングをRPしているところを目撃した。いや、何も見ていないさ。たぶん見間違いだ。

 マラ岩エリアは終日日当たりが良い。一桁台のグレードがいくつかあるので、なんとかなるさと足を運べる。

この日もリハビリ的登攀につきたので特に思い入れもない。必然的に書くこともなくなってくる。本当に特筆することがなかった。トジーはレストも兼ねて山頂までハイクしに行ってしまった。

 単に登攀能力が落ちたせいかもしれないが、チャートは苦手な気がする。僕はリーチ&パワー系なので、かぶったガバばかりやっていたせいかカチが苦手過ぎるのかな。短期間で登攀能力を飛躍的に向上させることは出来ないと(あくまで僕は)痛感したのだが、この苦手傾向の自覚は今後のジムトレにも繋げていきたいと思うのだ。

・2日目のNG野塾門下生の成果

-M咲

ベイビーフェイス(5.9)MOS

-トジー

レイン(10c)RP  かと思いきや限定ありだったようだ。トジー、思い上がるな!

スリーナイン(5.9)OS

新人フェイス(5.9)OS

溝ルート(5.8)OS

塾長「コラ!もっとガンバれ!」

 エビさん、M咲さんはもう1日登るようだが、僕とK村氏は仕事や学業があるので鹿沼駅から電車で帰路に着いた。かくして僕の新年山行は幕を閉じたのであったとさ。

 PS:なんでもないフリー山行を文章にするのは思っていたよりも難しい。しかし、出来事を感情と絡めて文字に起こすのは自分を客観的に見させてくれる事に繋がるし、怪奇な表現を思いついた時の興奮は普通の生活では得られないだろう。

僕が密かに敬愛する先輩ク○ッシーがメーリングリストで「フリーの山行報告をあげる人がいない」と嘆いていたので特に思い入れのないクライミングだが、筆をとってみた次第である。

病んだ勢いでFacebookを封印したので執筆意欲の矛先が無くなり、iPhoneメモアプリが爆発寸前だ。それはさながら地獄絵図である。

 さて、暦はまた一つ皺を刻み、キリストが生まれて2021年も経ってしまった。10代最後の夏がこの間の出来事のように感じるのはこれから流れる時間の早さを暗に示しているのだろうか。

今年の抱負は『ぶなのホームページを怪文章で埋め尽くす』としよう。蛍光灯の切れた風呂無し共同和式トイレボロアパートの一室でCJばかり読んでいると頭がおかしくなってくるのだ。だから、沢山文章を書いて発散しなくてはならない。

ぶな各位、阻止したければ山行報告を書くのです。いや、その前にこんな文章はライティングポリスに削除されるかもしれない。

[怪人トジーより]

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