L Ⅰ原S志(記)、M中K哉
L S山W、S津A子

今年の寡雪、ここのところの普通の冷え込みから、例年にはない氷雪壁ルートへのチャンスかも知れない、と考えていた。

■3/7(土) 曇りときどき雪、風強い
東所沢駅10:00~ロープウェー駐車場13:30~偵察出発14:00~一ノ倉沢出合14:40~尾根上15:20-15:40~ロープウェー16:40

M中車は優秀で燃費15キロのうえ、しっかり150キロ以上で走るので素敵だ。お世話になっています。
土曜のお昼に到着し、さっそく偵察に出かける。事前に、S山さんから、一ノ倉尾根を越えてアプローチするサイトを紹介されていたため、私の内心はそれにしようと考えていた。

一ノ倉沢出合いから、想像以上に積雪は少なく、一ノ倉尾根斜面はすでに雪崩落ち、「ここからお登りください」とばかりにデブリの階段が用意されている。三スラ下部は見事につながって見える。この尾根によるアプローチと偵察にはWさんとすぐに意見が一致。

尾根上に到達すると幽ノ沢の全貌が見えた。βルンゼも確認できた。ノコ沢、中央ルンゼのつららも。稜線はガスっている。何より不安定そうな雪には見えない。風雪にけむり神秘的に見える三ルンゼは、私たちを吸い込むような錯覚さえ与える。そんなに難しいルートではないにしても、大げさにも「これはいただきだ」と思った。

■3/8(日) 高曇りのち晴れ、ほぼ無風
ロープウェー発3:40~一ノ倉沢出合4:20~尾根上4:50~トラバース開始5:30~大滝下06:40~登攀開始7:00~大滝上8:30~一ノ倉岳11:00(大休止)~谷川岳(オキの耳)12:10(大休止)~肩の小屋通過12:50~西黒沢下降
~ロープウェー着15:00

少し寝坊。S津さんが起こしにきてくれた。若者2人は夕べ結構やったらしい。年寄の私はすぐに寝て無事だ。
アイスアックスを持ったパーティがこの建物やセンターから出てきて、ともに真っ暗な林道を歩く。きのう予習したとおり、尾根上へ。休憩。
そこからトラバース地点のコルまでは多少ブッシュがうるさい。明るくなる。

トラバース開始はS山さんが先行してくれた。幽ノ沢出合から来たであろう2人パーティが、中央ルンゼへ向けて登行していく。のっぺりした起伏の僅かな尾根を越え、三ルンゼに入り、クレバスを左から回り込むと60メートル大滝の下に到着。幽ノ沢は言われるとおり開放的で明るく素晴らしい。

○1ピッチ目
S山さんに先に行ってもらう。滝は幅が広く待つ必要もないので、Ⅰ原もすぐに登り始める。ほとんど同じラインとなった。スカ氷、スカ雪、比較的青氷と変化に富んでいる。が、そんなに難しくはない。傾斜もない。傾斜の緩くなったところで、クラスト雪にデットマンで確保。「ロープが交差しちゃってるじゃないのー!」とフォローするS津さんの歓喜歓声が聞こえる。

○2ピッチ目
S津さん、M中さんリード。ただの雪斜面かと思ったら、下が凍っていて確保は正しい。デットマンで確保。

○3ピッチ目
S山さん、Ⅰ原リード。さすがにただの雪斜面。ザイルを目いっぱい伸ばす。確保解除。

そこからスカイラインまではすぐそこにも見える。

「4人でラッセルを回せばすぐでしょう」とS山さん。一巡したところでS山さん、S津さんのパワー大噴火。 最後の私が着いていけないのだ。サイトにあった地図によると、フィナーレは一ノ倉尾根と寄り添うよう、それに吸収されるように登ったと読めたが、そのままルンゼを詰め、右に寄り、スカイラインと書いた、堅炭尾根に飛び出した。展望抜群。歓喜の4人は抱き締めあう。


βルンゼへの下降もできるが、すぐ目の前に見える一ノ倉岳を目指さないワケがない。それでも私は結構大変だった。だだっ広い、おおきなおおきな頂きに着いた。大休止。ここからは春うらら稜線漫歩である(ウソ、これも辛かった)。スキーやボードを担いだ人たちがこちらに登ってくるのが見える。鞍部でも大勢のボーダーが。「ここはもうシティー」を感じた。(山屋なのかも知れないが)

ぽかぽかのオキの耳で再び大休止。浅間山の噴煙が見え、硫黄の匂いがここまで漂う?とだれか。(今、あの発言は消化不良を隠すものと考える。芳香からすると、消化に悪い冷凍枝豆+紙パック焼酎の組み合わせが原因である。
また、ゆで卵4個喰い説や鳥テリヤキ弁当一気喰い説も有力だ。コテコテ系カップメンは?。みんな怪しい。さて…。)

肩の小屋は素通りし、西黒尾根への下降に入る。ぽかぽか天神尾根や西黒沢上部を滑降する人たちの気持ちよさそうな光景。そこで我々も便乗という魔物への誘惑にとらわれた。西黒沢を尻セードで下ればすぐかも…と。
この沢はもろに午後の陽を浴び、パウダーはすでに粘着力を増していたのだ。アイゼンは1歩で高下駄に変わり、滑落の恐怖に襲われた。
その都度シャフトで雪を落とすより、バックステップの方が早かった。

沢が合流するところにデブリがあり、スキー場あたりからダイレクトに降りてくるボーダーが大勢いた。シティーに会うとやはりどこか安心する。ここでアイゼンを外し、テクテクと行くと車道へ。駐車場に着くころには4人の間に純愛が芽生え始めていいい、たたた?、のだった。

■メンバーコメント
○S津A子
今回の谷川は、氷を楽しんだっと言うよりも山を楽しんだ!一ノ倉を登ってみると右に幽ノ沢、左に一の倉沢、暗いうちはヘッドランプが所々に見え、何処を登るのだろうかなーんて考えるのも楽しい。明るくなってくると両方の景色が楽しめるのも嬉しい。今回下山は、谷川岳頂上を踏んでいないM中さんと、私の為に一の倉岳から谷川岳に縦走ヽ(^。^)ノ。高曇りなので景色を堪能しながらゆっくり歩く(途中ラッセルなんかも有って疲れ気味)。

谷川岳には、山ボーダーと山スキーヤーがたくさんいて驚いた!登山者の何十倍か?ロープウェイを使うと比較的簡単に来られるからだとW君が言っていた。そうか・・・私も上達したら滑りに来て見ようかな。
今回一番疲れた西黒沢の下山。油断すると滑って恐いので、一歩ずつ雪を落としながら歩くのでなかなか進まない。少し疲れるがバックステップになって降りると雪が付いても気にならなかったです。

○S山W
天気、コンディションに恵まれ、お買い得の楽しいルートでした。純粋なアイスクライミングを楽しみたい人にとっては物足りないでしょうが、尾根越えのアプローチ、ヤブコギ、氷登り、ラッセル、最後に縦走という、雪山登山のエッセンスが短い行程に凝縮されていて、自分はこういうルートが好きですね。最後にルンゼを詰めて稜線に出るときの感覚は沢登り似てますね。来年は、左方ルンゼを狙いましょう。

○M中K哉
偵察の際の上部にガスをまとった谷川冬壁の圧倒的威圧感。ロープワーク習得中のわたしは恐怖か緊張か、ドキドキして落ち着かない。 当日はショートカットで一の倉尾根を乗越してゆく。朝ぼらけの主稜線。それがだんだんと輝きを増す。 ルンゼ下部まで慎重にトラバース。核心の氷爆。 リードするⅠ原さんの登攀は積極的だ。
大滝を越えて、ラッセルのさなか見上げるとルンゼの果てにはコルと青空。一番好きな風景。オキの耳でみんなと山座同定をしながらボンヤリと過ごす。そして名残惜しくトボトボと下山する。あれっ、もう一日が終わっちゃうの?そんな~!

○Ⅰ原S志
意気軒昂のM中K哉さん。私が幽ノ沢左方ルンゼに行きましょう、とお誘いしたら、OKという。そこで、ぶなのみなさんから貴重なアドバイスをたくさんいただき、さすがにビビッタ。実のところアイスリードは15年ぶりで、これはみんなに黙っていたのだ。取ってつきスクリュー使うの初めて、フィフィテンション初めて、ふくらはぎ痛すぎ。M中さん、騙してしまいすいません。久々にアルパイン然としたクライムができて充実。2日間は夢のように過ぎ去った。翌日心地よい筋肉疲労のおまけつき。次は鹿島へ!