剱岳 八峰縦走 2007/5/2-5

アルパイン(雪山)

北ア 剱岳 八峰縦走
メンバー:T城(L),A久(SL),M尾,S津(チームT8!)

ゴールデンウィークに、剱・八ツ峰に行ってきました。天候に恵まれ、例年以上の積雪で一面白銀の八ツ峰で充実の山行ができました。素晴らしいメンバーに感謝!なお、当初計画の剱尾根上半部は、初日の行程遅れにより今回は割愛しました。

行程
5月1日
上野発「急行・能登」

5月2日
富山=室堂(10:00発)-雷鳥沢(11:00)-剱御前小屋(13:00着)

5月3日
剱御前小屋(3:00発)-剱沢長次郎谷出合-八ツ峰1.5峰(7:10)-3峰(10:00)-4峰(12:00)-5峰(13:40)-5・6コル(15:00着)

5月4日
5・6コル(4:30発)- 5峰(5:45)-  6峰(6:30)-8峰(10:00)-八ッ峰の頭(10:30)-池ノ谷乗越(11:30)-剱本峰(13:00)-早月小屋(17:05着)

5月5日
早月小屋(7:15発)-馬場島(10:05着) 富山の寿司屋経由帰京

■プロローグ
◎T城
きっかけは昨年夏の北方稜線縦走でした。壁・尾根含め剱をやってみたいな、という思いで偵察がてら剱へでかけ、池の平小屋からの裏剱、なかでも八ツ峰の存在感に圧倒され、さらに熊の岩からの風景に気持ちは固まり、積雪期でもGWならと思い帰宅後A久さんに「GW八ツ峰どうですか!」とメールしたものです。A久さんがそれに応えてくれ、その後、S津・M尾さんが加わり晴れて「チームT8」(命名・A久:TSURUGI 8ツ峰の意)を結成。トレーニングを経て本山行となりました。

【八つ峰トレーニングメニュー】
①3/10-11…日光女峰山(ポッカ)……………L,A久、T城(M村瀬、I原)
②3/17-18…赤岳東稜 (雪稜)………………L,A久、T城、S津(H間)
③4/07-08…不帰3峰 (雪稜) ………………L,A久、S津(I藤)
④4/14-15…阿弥陀南稜(雪稜)…………….L,T城、M尾
⑤4/28………越沢バットレス(アイゼントレ)…L,T城、A久、M尾、S津
⑥4/28………立川飲み屋(壮行会ハシゴ)
★5/02-05…八ツ峰(本番!)…………………..L,T城、A久、M尾、S津
★5/5……….富山すし屋(打ち上げ!)

■5月2日(霰~雨、強風)  *M尾*
急行「能登」から立山・黒部アルペンルートを乗り継ぎ室堂へ。初めて見る車窓からの「雪の大谷」も眠くてどうでも良い!室堂ターミナルで準備をしていたら下山してきたH原君にバッタリ!「GW前半は八つ峰入山者無し」、との情報をもらう。今年の剣は雪が多く、彼らも源次郎尾根、途中敗退だったらしい。その場で剣尾根は諦め、「八つ峰縦走」1本に絞ることにする。

ターミナルを出るといきなりの霰と強風!“往復ビンタ”以上に顔が痛い。たまらず、目出帽(私は持ってない)とサングラスをするが何の役にも立たない!ガスで視界7-8m。竹竿に沿って雷鳥沢を目指すが行き過ぎて「ロッジ立山連峰」まで行ってしまう。引き返し、コンパスとトレースを頼りに雷鳥坂を登る。次第に雨がひどくなり、前を行く高城リーダーの雨具からもザックからも雨の雫がポタリポタリ。登りの遅い松尾はすぐに前の背中が見えなくなる。でもみんな、少し行ってはチャーンと待っていてくれる。後ろの天久さんにはゆっくり過ぎて申し訳ないなー、と思いながらもバテないようにマイペースで登る。ザックが雨を吸ってドンドン重くなる。

まったくのホワイトアウトなのでガスの中にボォーッと旗竿が見えるとホッとする。ルートは先日雪崩があった為か稜線近くまで直登している。もう少しで剣御前、と言うところでクラストしてきたのでアイゼンを着ける。この先が本日一番の核心!強風に必死で耐えながら剣御前小屋に転がり込む。あっらら~っ!ドアを開けてビックリ! そこに立っていたのはなんと、「S山」だった!
この天気にグショ濡れの身体と装備ではモチベーションも大下降、剣沢にテントを張る気にもなれず、軟弱4人組は“ヌクヌク小屋でビール!ビール!”と相成ったのです。M浦(大)さんも避難していて、談話室での“無線機無し、ビール付き”の、“ぶなの会3P、交信会”となる。(M浦さんは16時、真砂沢BCに戻った)偶然にもT城さん、A久さんの九州時代の知り合い(62歳の三原さん)が同宿、昔話に花が咲いていた。 明日の天気は快晴の予報。今日の遅れを取り戻し、五・六のコルまでは行きたい。1時起床、3時出発となる。で、6時就寝・・・のはずが、7時に夢の中の人となる。

■5月3日(快晴) *T城*昨日の遅れを取り戻すべく、夜も明けぬうちからの早朝出発とする。1時に起床して小屋の外を覗くと、満点の星空。よし、これなら行ける!期待に胸が高鳴る。3時に出発。満月が我らの行く手を優しく照らす。剱沢の大雪原はほのかな月明かりに照らされ、その先には目指す八ツ峰がくっきり浮かんで闘志をかき立てる。

予定通りのタイムで長次郎谷から1・2ルンゼ出合へ。ようやく空も白み、長次郎谷から見上げる1・2ルンゼは一直線にはるか頭上の稜線上へ伸びている。H原氏・M浦氏のアドバイスどおり、早朝のため雪は安定し快調に登高、予定通り4時間で1・2コルへ到達、小ピークに立つ。おやおやここは2峰ではなく、H原氏の言っていた1.5峰ピークか?

ピークから見上げる八ツ峰稜線は・・・すごい雪!ガイドブックでは見たことないくらいに岩峰上に雪が。おまけに、いたるところがナイフリッジになっており、ビックリする。そこへ三ノ窓谷側から現れた二人組みが、何事も無いかのようにすごい勢いで細いナイフリッジを越えて、我々の視界から消えていった。ここまで我らが最先行していたが、彼ら他2パーティにここで先行された。今日の八ツ峰は貸切!ぐらいに考えていたので悔しくもあったが実はこの先彼らのトレースに相当救われた。というのも、極細ナイフリッジに不慣れな我ら(聞くだけでビビッてしまう)、トレースなしでは相当苦戦しただろうから。

さて、そんなトレースに導かれて1.5峰?を出発。彼らがリッジの1段下をまるでリッジの穂先を手すりのようにしてシューッと抜けていったところを、我々はオッカナビックリ、エッチラオッチラと越えていく。朝だって言うのに、日なたの雪はもうクサリ初めて苦戦してしまった。ちなみに1・2コルは、テント適地のはずだがナイフリッジを相当掘り起こさないと平らにはなりそうもなかった。

2峰頂上、本来は長次郎側へ懸垂だがあまりの雪に支点掘り出しは不可能、スタンディングアックスビレイでロープをFIXして下降。先行者達はみなノーロープで下降して行ったが、俺達の実力はこんなもんなのさ、いいんだよ八ツ峰の胸借りるつもりで登ってるんだから、大体安全第一じゃんか!と負け犬的な遠吠えをしたかは、定かではない。続く3峰も同様にFIXで越える。

4峰、先行者は懸垂で下降したようだが支点は・・・フム、土嚢か!その先行者の土嚢、なんとフツーの大ビニ。よくぞこんなもんで懸垂したもんだ、我々は恐怖を感じオニューの土嚢で支点を再構築。天久親方がテキパキと土嚢をセット、これって環境破壊やね、と言い残して先行で降りていった。このとき時刻は12時、他パーティとの定時交信を試みるが応答はなし。「イヤッホ~ッ!」ム、何処から雄叫びが?見廻すと剱本峰直下長次郎谷左俣上部にスキーヤーあり。もしかしてM浦さん?頂上直下から激細ルンゼを下降してきたみたいだ。えー、あそこ!?みんなド肝を冷やす。今度会ったら聞いてみよう。

本日最後の山場の5峰、ここも長次郎側へ40m×2ピッチの懸垂地点。ガイドブックでおなじみのピナクルが聳えているが、ムム、なにかが違う。そうか、本では雪なんかついてないんだな!今年の雪はピナクルにも厚く堆積して風景を一変させていた。そして、先行者はきっと相当苦心の上、1メートル四方の雪を掻き分け支点となる岩の突起を見事掘り当てていた。ありがたく支点を使い、高城が先頭で下降。1ピッチ目15m下の左に、ハーケン3本懸垂支点アリ。2ピッチ目は50m一杯の下降、30m水平トラバースで、5・6コルに到達。長い一日お疲れさーん!変化にとんだ充実の一日だった。

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