頸城・戸隠 西岳P5尾根 2022/2/11-13

アルパイン(雪山)

[メンバー] Lビックワン(記)、みっつん、オロ

[行動経過(天候・タイム)]

2/11(金) 曇り・小雪

07:00 品沢高原ー07:50 大沢堤防ー09:50 PⅥ基部ー14:45 1770mC1

2/12(土) 晴れ

05:10 BCー06:40 PⅦ基部ー10:30 PⅦ・PⅧのコルー16:30 稜線ー18:30 BC

2/13(日) 晴れ

07:30 BCー08:15 大沢堤防ー08:50 品沢高原

[ルート概要・特記事項]

■2/11(金)

出発日。首都圏は大雪の予報で、一時は都内から脱出が核心であった。杞憂に過ぎず難なく甲府でみっつんと合流。

品沢高原近くの展望台で3:00仮眠を取る。品沢高原は除雪のお陰で1番奥の給水タンクまで車で入れた。明くるなったと同時に林道を歩き出す。

雪前日降雪で10cm程積もっているものの、先月来たときより締っていてラッセルが苦でない。1時間もしない内に大沢堤防に辿り着く。

PⅠPⅡのコルから上がらず、大沢に入りPⅤから延びる尾根から取りつく事にした。

沢には側面からのデプリが散見される。足早に尾根を目指す。P3・P4間の沢へ入りかけたので修正。トラバースして目的の尾根に取り付く。

尾根は膝上程度のラッセル。みっつん、オロは寝不足で頭痛が気になる。テンポよくラッセルを回していきあっという間にPⅤ先のプラトー。少し進むと記録でよく見るPⅥ基部に出た。 ノーロープでも行けそうに見えるが、念のためロープを出す。

PⅥの雪壁。シュルンドの乗越あり

1P:25m(ビックワン)

正面の小岩壁を右から回り込む様に登る。上部は思いのほか立った雪壁。

ランナーはスノーバーとデットマンを使用。

気がつけば後ろから大阪のパーティがやってきた。

2P:40m(ビックワン)

少し進むと複雑にシュルンドが入り込んだ場所に着く。

正面の小さいキノコ越えを越えて5m辺りで一度FIX。その先シュルンドを何カ所越えた所でピッチを切る。

PⅥ上のプラトーまでみっつんがラッセル。とても気持ち良さそう。PⅦの基部下のなだらかな所でテントを張る。設営中にビックワンはトレース付け&偵察。小岩壁右の雪壁の上まで伸ばし、FIXを張っておいた。

正面のキノコ雪から突破

■2/11(金)

3:00起床5:00出。暗い内にPⅦ基部を目指して昨日のトレースを進む。日帰り装備でザックは2つにまとめた。スタートからアイゼンを選択。

FIXを上がり先の小さなキノコにみっつんが取り着く。すると右から巻ける事が判明し、難なくPⅦ基部まで歩いていけた。

丁度朝日が登り明るくなってきた。無風・快晴いよいよ始まる。

ルンゼを快適に登る

1P:45m(ビックワン)

出だしにデッドマンを埋めてから2mクライムダウン。PⅦの左に回り込む様に5m程トラバース。ルンゼに侵入して直上する。アックスの刃が良く決まって快適に登って行く。

ルンゼを抜けると小さなテラスに出てそこでピッチ切った。

2P:20m(ビックワン)

目と鼻の先にPⅦ・PⅧのコルが見える。斜上しながらブッシュを支点に雪壁を崩して上がるか、トラバースしてコル辺りの雪庇を崩しながら這い出るか。後者は足下も大きな雪庇の様でもしかしたら崩れるかもしれない。脇は谷に向かって切れ落ちていており、恐る恐るロープを伸ばす。

イボイボを草付きに1本魂を込めて決める。そこから2m先の薄そうな雪壁を崩しに入る。足下はシュルンドが口を開き、露出した岩に足を据える。スコップで作業していた矢先、落とした雪の衝撃で足下が崩壊しフォール。2m下で止まる。アドレナリンが脳内に噴出しているのが分かる。

登り返し当初考えていたラインで再トライ。脆い岩を2m直上。アックスを草付きに叩き込んで1手ずつ丁寧に進み、頭上にブッシュにランナーを取る。枝をかき分けながら、スコップで除雪し這い上がる様に上体を起こす。やっとこさ抜けてコルの灌木でピッチを切る。フォローも大変そうだ。

PⅦの展望抜群なキノコ雪の上に出る

3P:20m(みっつん)

PⅧ基部までロープを伸ばす。視界が抜けて山麓の景色が素晴らしい。

4P:15m(ビックワン)

核心ピッチ。正面の岩壁から左にトラバースしていくラインが唯一登れそうに見えるが、

草付き垂直で5m先の灌木まで取れそうなプロテクションが見当たらない。

息を吐き、呼吸を整えて取り付く。

小指ほどの枯れた萌木に気持ちばかりのランナーを取る。雪の付いた部分は弱点に見えてアックスが空を切ってしまう程脆い。一旦クライムダウンして垂直草付きに活路を求める。

アックス・アイゼンの刃先に神経を集中させ慎重に進んでいく。途中残置とスリングや針金、華奢な女の子の脚位の氷柱にランナーを取るが恐らく全て飛ぶだろう。頼みの綱である灌木に手を伸ばしホットしたのも束の間。見た目より脆弱そうであまり良いとは言えない。

そっと体重を預け、リッジに向かう登路を切り崩す。スコップをアックス代わりにして立ち上がり、リッジに跨がる。ようやく安定した場所で一息つけた。

そこからルンゼを5mあがり、しっかりした木でピッチを切る。

垂直草付きトラバースからリッジの乗越し

5P:25m(みっつん)

ルンゼをそのまま進み、突き当たりの灌木を右に回り込んでキノコ雪を越える。

ビレイしているとルンゼに崩した雪が流れ落ちていく。

ここで登攀パートは終了し、ご褒美の美しい雪稜にでる。噛み締めながら歩みを進めて、稜線直下の雪庇でロープを出した。

雪庇を乗り越えた瞬間、今まで抑えられてきた視界が一気に開け夕日に輝く後立山連峰、戸隠の山稜が目に入る。

思わず雪面に倒れ込み喜びを噛み締める。「やった。遂に登れた。」

遂に辿り着いた戸隠の稜線

写真を撮って早々にに下山を開始する。1ピッチ懸垂してPⅧの基部へ。

PⅦ・PⅧのコルから大沢側のルンゼ沿いに懸垂して朝のトレースに復帰。月が綺麗に見える頃BCに戻った。

■2/11(金)

最終日。下山だけなのでゆっくり撤収。

要塞の岩壁に囲まれた戸隠独特の景色に別れを告げる。

10時間以上掛けて登攀したのに、目視だと近く感じる不思議

下降は雪が安定していたので、1700m辺りから大沢を降りた。大阪パーティのトレースを辿る。

あんなにも登る為に時間を要したのに帰りは本当一瞬だ。次は何処を登ろうかと話をしている内に駐車場に着く。

定番になりつつある開店直後の朝風呂で疲れを癒す。戸隠そばを堪能してから帰路についた。

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