【メンバー】
F原(L、記) MSO、K坂
【行程】
3/20 快晴 14時ごろから曇り
4;30三国川ダム~9:30桑ノ木山~11:00ネコブ山~(上銅倉沢滑走)~11:30上銅倉沢出合~16:00小穂口ノ頭
3/21 快晴
5:30小穂口ノ頭~6:00本谷山~(十分沢滑走)~9:30ヒトマタギ~15:00剱ヶ倉山~17:00平ヶ岳~17:20幕営地
3/22 快晴
6:00幕営地~7:50大白沢山の肩~10:30山ノ鼻~11:40鳩待峠~14:10鳩待入口
【報告】
1/18に上銅倉沢まで偵察して準備した奥利根横断。今年は雪が多いが、週末の天気が安定しないシーズンだった。2回の延期を経て、ようやくチャンスを掴んだ。
21日
三国川ダムの駐車場に行くと、なんと既に2台の車が停まっており、出発済の模様。車をジロジロ観察すると、1台は中澤氏のものであると判明。いやー、先を越されてしまった。ネコブ往復だったらいいなあと思いながら出発。
ネコブ山まで(ラインがチョー上手いので、不本意ながらも)トレースを使い、楽に上銅倉沢のドロップポイントに到達。1週間ほど前のアイスバーンの上に2回降雪があり気になっていたが、思ったほど風の影響を受けていないようで、結合は良いと判断。先行者2名はネコブ山山頂近くからドロップしたようだったが、我々は偵察時と同じように肩からエントリー(ちょっと悔しい…)。視界が良いので、クラックに気をつけながら1ピッチで1つ目の滝まで一気に滑り、あとはパーティーラン。ちょっと雪が重めだったが、上銅倉沢は雲上の世界のような素晴らしい空間。滑走としてはここがハイライトだったかもしれない。
もともとの予定ではネコブ山で幕営のはずだったが、ここまで来たらなるべく進んでおくのが定石。え~、ここでテント張ろうよ~とMSOが言っていた気がするが、聞かなかったふりをして、暑さに喘ぎながらまたもやトレースを利用して登り返し。小穂口ノ頭手前で幕営していた先行者2人に挨拶し、プライドを保つためになるべく先行しようとしたのだが、アイゼントラブルにより、小穂口ノ頭で泊。

22日
ほぼ日の出と同時に行動開始。ぐずぐずしていたら、昨日意地でも抜かした例の2人にうっかり抜かされてしまったが、この際気にしない。本谷山では雪庇の向こうの地形がよく分からなかったので、山頂北寄りの、雪庇がなさそうな場所でロープを出して偵察。山頂すぐ南の雪庇が小さいことが見て取れたので、そちらへ移動。
ピットを掘ると、案の定30センチくらいのスラブがある。結合はそこそこ良く、ほぼ大丈夫だと思うが、なんだか嫌な感じ。二度来るかわからない越後沢左俣。先行者はそこを滑った。しかしそんなの関係ない。私はかなり逡巡したが、冷静なメンバーの意見を取り入れて、斜度の緩い十分沢を下降することに決めた。日帰り山行で同じコンディションだったら越後沢左俣を滑っていたような気もするが、なんとなく嫌な予感がしたのは、奥利根の迫力に圧倒されたのかもしれない。まあ、こんなもんでしょう。

少し尾根筋を滑り、十分沢にエントリー。最初に少し高度を落とすと、後は沢をだらだら降りて、難なく利根川本流に合流。右岸をトラバースして「ヒトマタギ」でついに奥利根横断。ここから先はコンディションに左右されにくいはずなので、気を引き締めて行くのみ。歩き尾根取り付きの急斜面をシートラで突破、ミスター雪稜であるK坂のシートラは速い。すこし先のギャップは懸垂下降。そこからは快適なシール登高。


事前情報通り、剱ガ倉山の雪庇がかなり大きく、どこから尾根に降りられるのか分からないため、こりゃロープが要るな、と思ったら、平ガ岳から滝が倉山に向かうワカントレースを発見。簡単に突破できてしまった。本当にこの週末は人が多い。ワカントレースに助けられながら平ガ岳へ。平ガ岳では気象計測用アンテナがソーラーパネルぎりぎりまで埋まっており驚いた。
今晩から風が強い予報なので、できれば樹林帯まで降りたかったが、いい加減疲れたので、平ガ岳の少し先で幕営。ここまで来れば勝利は貰ったも同然なので、ワインを空ける。2日目でここまで進むとは思わざりけり。

23日
景鶴山経由で下る選択肢も僅かに念頭にあったが、2日連続の高温により南面の雪質には期待できない。というより疲れました。最短経路で鳩待峠から下山することにした。山ノ鼻では偶然ぶなの会のパーティ、というより三浦さん達に遭遇。横断成功をともに祝った。
鳩待峠からはスキーで一気に滑れると期待したのだが、思ったより早く除雪が始まっている。靴擦れに耐えながら鳩待入口バス停まで歩いて、ちょうどバスに乗れた。公共交通機関に乗ると一気に安心する。終わってみれば、長かったような短かったような山行だった。
【感想】
F原:最近横移動の山スキーをやっていなかったので、歳の近い2人を誘って、偵察して、準備山行もたくさんやって、行ってみました。山行中はトレースのせいでかなり不機嫌だったのですが、三浦さんの20年前の記録を真似してコスパよく冒険気分を味わおうとしている甘さの裏返しだったのかな、と今になって思います。ようやく自分の中で整理がついて、目標を立てて、準備して、ベストな日を選んで首尾よく完遂できたことを素直に喜べるようになった。そして、奥利根は本当に素晴らしかった。巨人の肩の存在によって奥利根が秘境ではなくなりつつある今、このフィールドで何ができるか考えて、より面白いことをやりたいです。
K坂:偵察もやってシーズンの目標山行でもあった奥利根横断。
初日の朝、トレースあるのを見てマジかーっていう感情はあった。自分達にとっては初奥利根横断ということもあり、ありきたりなルート取り、しかもシーズンに何度もないような好条件だったから、他パーティーと被るのは当たり前といえば当たり前なんだけど。
まあ他人のことを気にしても無駄なので、ずっとぶつぶついってるリーダーを横目に、自分は切り替えてすごく楽しめた笑。要所で自分達でしっかり判断して動いたのもよかったと思う。
条件が良すぎてあっさり2泊で終わってしまったけど、朝日を浴びてから夕日が沈むまで、純白の稜線から谷へと縦横無尽に移動できるスキー縦走のよさを改めて認識できた。
奥利根以外にも横移動系のスキーで行きたいところはたくさんあるけれど、次に奥利根に行くとしたらより面白いルート取りを考えたい。
MSO:1月の偵察までは順調だったものの、その後なかなか天気に恵まれず、せっかく多雪の年なのにともどかしく思っていましたが、正真正銘ラストチャンスにこれ以上無いような好天を引き当てることができました。
あまりにも絶好のコンディションだったせいで同じことを考える人は他にもいて、行程の大部分がトレースを辿ることになってしまったのは残念でしたが、そんな事どうでも良くなるくらい純白の奥利根奥院は美しかったです。
今回の山行で奥利根への解像度が一気に上げれられたと思います。道中いくつか気になる斜面も見つかったので、次はもっとオリジナリティのあるルートで再訪したいです。