奥利根横断 大白沢クロウ沢キノクラ沢~水長沢銅ノ沢下降~小穂口沢北沢右俣~十字峡 2023/8/11-14

沢登り

【日程】2023/8/11~14
【メンバー】Lヤマ(記)、K村、MSO、ムラ
【行程】
8/11 晴れ
 7:30砂子平→10:00クロウ沢出合→12:20キノクラ沢出合→16:00Co1500付近C1
8/12 晴れ
 5:00C1→7:10~8:00国境稜線→13:30水鉛ノ沢出合→15:30井戸沢出合先Co1190付近C2
8/13 晴れのち夜雨
 5:00C2→7:10魚止滝下→9:25利根川横断→10:05小穂口沢出合→13:00南沢出合→15:00北沢出合C3
8/14 曇りのち晴れ
 5:00C3→6:20二俣→9:40国境稜線→11:30小穂口の頭→15:30十字峡

【報告】
 昨年に続いて奥利根での沢合宿。奥利根にどっぷり浸かるなら横断しかない。ぶなでは10年前の横断(https://www.bunanokai.jp/archives/6503)の話をよく聞いていたし、会の大先輩によるスキー初横断の金字塔以来、冬も横断の計画が出ているのもあり、いつかは自分もと思っていた。
 夏は現実的なラインを引くと水長沢下降と中尾ツルネ下降がほぼ確定で入ってくるので、①只見側から国境稜線までの遡行、②利根川横断から中尾ツルネまでの遡行でバリエーションが出てくる。天気とメンバー構成の都合で、遡行時間・難度を抑えつつも、記録少なめのラインで多少独自色を出したかったので、①は大白沢キノクラ沢(大ハゲ沢は大滝が楽しそうだが10年前の真似NG、平ヶ岳先ノ沢は物足りなさそう)、②はほとんどの滝が登れるらしい北沢右俣(本沢は記録多い・詰め悪そう、北沢左俣は大滝巻き、越後沢は山越えでいつでも行ける)をチョイスした。

 そして本番、4日間とも好転した天気、雪渓の少なさ、先人の記録、そして何より仲間、全ての条件に恵まれて完登することができた。極端に難しいポイントこそないものの玄人好みのビッグルート、平均年齢28歳(!)の若手パーティーで完登できたのがうれしい。世間一般では山岳会という組織形態が斜陽とも言われている昨今、アクティブな若手が多いぶなの底力を示すことができたと思う。

<1日目>
 台風直撃が懸念されたが、4日間は耐えられそうな天気予報になった。計画の5日+予備日1日の後半2日をつなげて4日で抜けるつもりで予定通り突撃。
 最初の関門である只見川の渡渉は、ここ最近まともに雨が降っておらず楽勝。気になっていた籠渡しは見当たらなかった。大白沢に入るとクロウ沢出合まで河原歩きが続くが、透き通る水が美しい。釣り師3人と水浴び中のクマ1匹と遭遇した。


 キノクラ沢に入るとすぐにゴルジュで登れる小滝が続く。V字状の側壁も出てきて、やっと雪国の沢に入ったと感じる。12m滝はロープを出して登る。上部で右壁からナメ状の水流に乗り上げるワンポイント(Ⅳ程度)だけだが、小さいカムが決まって助かった。


 キノクラ沢に幕営適地は少なく、1380m付近の右岸が幕営できそうだったものの、天気が持つうちに可能な限り進みたかったので、「その空の下で」弘田氏が紹介している1500m付近の右岸で幕営。盛大な焚き火に線香花火も出てきて入山を祝った。

<2日目>
 幕営地にケルンを積み上げ、大白沢Pへの置き手紙を残して出発。登山大系にある80m大滝は多段の滝が階段状に続いていて、大滝と称するのは無理がある。登れる小滝が小気味よく続き、藪漕ぎ10分で国境稜線(白沢山と1936mピークの間のコル)に詰め上げた。


 1936ピーク付近の草原(幕営可能)でdocomoが矢木沢ダムの電波を拾い(他のキャリアは圏外)、台風は西に逸れて、14日どころか17日まで天気が持ちそうなことを確認。安心して計画続行を決めた。結果的には、ここで電波が入ったことが山行成功の上で大きかった。


 国境稜線を越えると藪漕ぎ数分で沢地形になり、すぐに小滝の連瀑帯に入る。ひたすら小滝が続くので数を数えるのはやめた。ぎりぎりクライムダウンできるかできないかの小滝が続き、内容のある沢下降になった。15m滝と20m滝の懸垂下降はマシな方で、CSや灌木にお助け紐をかけてゴボウで無理やり下降する小滝が2箇所あった。


 銅ノ沢はその名の通り、銅イオンっぽい少し青白い水に赤茶けた岩の印象だったが、水鉛ノ沢が交わると水の透明度が上がった。ゴルジュの連瀑帯を右岸から枝沢へとロープなしで巻き下ると、白沢、井戸沢を交えて河原に出た。この辺りは両岸がツルハシやダイナマイトで削られているように見えて、旧鉱山跡なのかもしれない。井戸沢出合から少し先の1190m付近の右岸で幕営。


<3日目>
 いよいよ利根川を横断する日。魚止滝の巻きさえこなせば長い歩きが中心でプレッシャーはない。文珠沢出合を過ぎて短い淵を2箇所泳ぐと三段の魚止滝が現れた。過去の記録ではロープを出して左岸を巻いているが、右岸から旧鉱山道らしき踏み跡を辿って高度を下げ、懸垂7mで沢床に復帰できた。魚止滝から下はゴーロ歩きになってしまうが、釣り師も入るだけあって澄んだ水に魚影が踊る。
 両岸から幾重に重なる尾根の先に利根川本流を挟んだ小穂口尾根が見えてきて、やがて利根川本流に飛び込んだ。まだ終わっていないが、奥利根の内院のど真ん中までやって来たうれしさが湧き上がってきて、自然に「ありがとう」と声が出た。


 利根川を横断しても距離的には半分しか進んでいない。小穂口沢への入渓も核心の一つで、奥利根湖の貯水量が多いと遠泳になってしまうので小穂口尾根の山越えも考えていたが、貯水率35%でカリカリに乾ききった河原をスタコラ歩くことができた。というかニュースになるほどのひどい渇水で心配になった。陽炎も立っていて暑すぎる。


 小穂口沢は各支流の大滝の印象が強いが、想像以上に下部のゴーロ歩きが長い。暑さとゴーロ歩きの単調さで気分が悪くなり、南沢出合の壮観と魚止滝の巨大イワナを見てようやく回復した。


 魚止滝の巻き道にある左岸台地は増水時のシェルターとして考えていたが、水場が遠いし増水もなさそうなのでスルーして進む。北沢・本沢の二俣の本沢側の左岸河原で幕営。泊まろうと思っていた本沢を少し入った先の広い河原の前にはクライムダウン困難な小滝が控えているし、増水には全く耐えられないが仕方ない。本山行で初の雨となる夕立もすぐに収まった。増水時には右岸リッジから北沢・本沢の中間尾根にエスケープすることを確認して就寝。

<4日目>
 日付が変わる頃から断続的に雨が降り続けて目が覚めたが、タープを打つ音で強い雨に感じる程度で増水には影響しないので二度寝を決め込む。3時頃に雨が上がって焚き火もできた。
 最終日はメインディッシュの小穂口沢北沢だ。今回チョイスした北沢右俣は2008年9月のわらじの仲間くらいしか記録を見つけられなかった。大滝を巻く北沢左俣と違って、ほとんどの滝が登れそうなことはもちろん、記録が少ないことにも惹かれた。
 すぐにV字状のゴルジュとなり、最初の6m滝は左壁をフリーソロ(Ⅲ+程度だが高度感あり)、続く10m滝は右壁の上段をお助け紐ビレイでハーケンを打って突破した(Ⅳ程度)。10m滝は登山大系では左岸から巻いているが、巻きも悪そうなので直登した方がいい。次の登れない3m滝の右岸ガレからの巻きや草付きトラバースもそこそこ悪く、記録の少ない雪国の沢を堪能させてもらった。


 いかにもありそうな屈曲部にも雪渓は小さなブロック程度で、最後までないのかと思いきや二俣に10mほどの割と安定したブリッジが残っていた。ブリッジを潜って崩壊したブロックを乗り移ると右俣の大滝に取り付けて一安心。右俣と左俣の大滝に左壁の枝沢の細い大滝も合わせると三俣とも言える神秘的な場所だ。


 右俣の大滝は傾斜の強くない多段の大滝で、各自思い思いのラインをフリーソロで登っていく(一部お助け紐)。10m滝を巻いた先の4段15m滝は少し悪い下部2段をお助け紐で確保した。登れる小滝を小気味よくこなした先に3段15m滝、左壁にロープを伸ばして登った(Ⅲ+程度)。


 これで大物は終了し、小滝でぐいぐい標高を上げると1430m付近に広い幕営適地も見られた。早々に水枯れしたものの最後まで沢形が続き、藪漕ぎ5分で国境稜線のコルに飛び出した。太平洋に注ぐ大河を横断して辿り着いた夏空の先には、銅倉沢から魚沼の街まで日本海側の景色が広がっていた。遡行してきた小穂口沢から吹き上げる爽やかな風が心地いい。
 最後の鬼門が国境稜線の藪漕ぎで、昨年は小沢四番手沢を遡行して6時間フルラッセルしたが、今回は藪好きのメンバーに先頭を託した。2時間かかると踏んでいたが1時間10分で踏破。中尾ツルネの下山で身の危険を感じる暑さに耐えた後、クールダウンで入った内膳沢の水は最高だった。
 小穂口の頭で呼んでいたタクシーで十字峡から下山し、魚沼ローカルの焼肉屋でプチ贅沢な打上げをして沢合宿を締めくくった。

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