【メンバー】 L クロスケ(記)、えびちゃん、さわえもん(会員外)
【タイムスタンプ】
12/23 9:00 尾白川渓谷駐車場 ~14:15 七丈小屋(小屋泊)
12/24 5:30 七丈小屋 ~ 7:00 坊主の滝 黄蓮谷右俣 ~ 13:00 甲斐駒ヶ岳山頂 ~ 15:00 七丈小屋(泊)
12/25 5:00 七丈小屋 ~ 6:30 坊主の滝 黄蓮谷左俣 ~ 13:45 8合目 ~ 14:00 七丈小屋 ~ 18:15 尾白川渓谷駐車場
3年前からずっと計画していた黄蓮谷。
毎年雪で埋まってしまい断念していた憧れのアルパインアイスルートの1つ。
毎年計画を1週ずつ早めていて、今年に至っては12/9から毎週末狙っていました。もう埋まってしまったから来年か…と諦めたら12月の異常な夏日。まさかの雨で雪が溶け最高のコンディションに様変わり!
これは行くしか!ということで、パーティー解散3日後、即再結成して突撃してきました。
初日はアプローチだけなので朝集合してゆっくり出発。アプローチ遠いから何度も通いたくないし、右と左は一気にやろう。意見が合致したので、体力も鑑みて優雅に小屋泊を選択。
初めての七丈小屋は、全国から集まった顔見知りだらけ。昨年は五丈のテン場でも雪が多かったのに、今年は七丈小屋でもほとんど雪がない。これはアイスクライマー的には期待が高まる。
夕飯は食べ放題のカレーライス。明日のハードな遡行に備えてたくさんおかわり。クリスマスも近いということで、特別にデザートも頂いちゃいました。
さて24日クリスマスイブ。
夜22時に右俣から戻ってきた人もいる。と脅されながらも、暗闇アプローチは余計時間がかかるだというという判断で5時半出発。
年中沢に行くえびちゃんの完璧な道読みで、そんなに迷わず坊主の滝へ到着。雪があれば明瞭なトレースを辿れそうだけど、薄闇の中薄い踏み跡と時折ある赤テープを繋ぐのには難儀した(えびちゃん談)
日の出30分後の坊主の滝は登ってる人はいたものの、待ってる人はいなかったので渋滞せずに登攀開始。坊主の滝はⅢ級程度で、ロープは一応出したものの必要ないかもというレベル。
その後はどれが何の滝なのかもよくわからないナメ滝のパレード。どっちを見ても氷瀑。あまりの美しさに「うおー!!」「すげー!!」とはしゃぐはしゃぐ。
奥千丈の滝とか、瀑流帯とか、全て繋がってる気がしてどれがどれか特定できないが、終始60度前後の氷瀑をとにかく登る登る。いちいちロープを出す時間はないので坊主の滝以外はオールフリーソロで。1歩でも足を滑らせたらどこまでも滑り落ちるであろうナメ滝は、美しいだけではない。美しい氷瀑は、地獄への入り口にもなりうるのだ。
最上部に位置する奥の滝は雪が少ないからか、坊主の滝よりも難しい気がした。Ⅲ級+はあると思う。40m前後ありそうな滝を越えたら、あとは山頂まで単調な詰め。
と思っていたら、最後の最後の20mほどのちょっとした氷瀑でクロスケ滑落。30m下の雪の斜面へ滑り転がって、止まりました。
死ぬかと思った。怪我1つしてない自分、よくないけど、よく無事やった。ふぅ。
気を取り直して脛程度のラッセルで山頂へ。山頂だけ猛烈な強風でそそくさと下山。やっぱり山頂に抜けられるアルパインルートはいいな!お初の甲斐駒ヶ岳山頂でした。
最終日は黄蓮谷左俣へ。下山もしないといけないので、5時に出発。昨日も通ったアプローチで坊主の滝へ。迂回できるはずだけど、よく分からなかったので坊主の滝下へ。
左俣は右俣よりも全体的に傾斜も強く、1つ1つの氷瀑の中に休めるポイントが少ないから、ふくらはぎが辛い…もしここで落ちたら坊主の滝の下まで止まらないかもなぁ。と思いながらフリーでぐんぐん登ります。
左俣の大目玉はやっぱり大滝。下部は85度、上部は傾斜が緩く全部で90mほど。Vはないくらいの難易度。1Pをクロスケ、2P目をえびちゃんが担当。
大滝を抜けると、あれ?もう1個大きい滝あるぞ?
近づいてみると、30m弱の立派な氷瀑が。こちらはえびちゃんリードで突破。Ⅳ級35mくらい。
この滝を終えるとあとは標高差300mほどの詰め。前日のトレースが薄いものの、終始脛程度のラッセルでぐんぐん標高を稼ぐ。薄い雪を被った氷も随所にあるので気は抜けないし、ふくらはぎが連日の氷瀑帯で悲鳴をあげてる。が、それで気を抜くと滑り落ちてどこかに消えちゃうので、懸命に耐えて耐えて雪のオアシスへ抜ける。前日のこともあるので、結構緊張しました。
8合目の尾根に出たら、あとは怒涛の降り。
3日間で約3900mの累計標高を稼いで、心身ともに満身創痍。やりきりました。
疲れたけど、3年越しの憧れのアルパインアイスルートを最高のコンディションで、右俣も左俣も同時に行けて、大、大、大満足です。サンタさん、超素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました!
【感想】(えびちゃん)
3年前から狙っていた黄蓮谷右俣と左俣の連続遡行。待った甲斐があった。今年は暖冬なので駄目かと思っていたが、暖冬のおかげで降っても雨で、こんな遅い時期に最高のタイミングが来るとは。幸運すぎる。
沢登りでもナメと快適に登れる滝の連続が大好きだが、今回の黄蓮谷はまさにそれを氷にしたようなもので、好みにドンピシャ。その素晴らしい景観に何度溜め息が漏れたことか。こんな素晴らしいところに初めて行く感動をもう味わえないのが寂しくなるほどである。そもそも、状態の良い時の黄蓮谷より素晴らしいアルパインアイスルートなんて、日本にあるのだろうか。
今年は沢もアイスも狙っていたところに数多く行け、これ以上満足できる一年は今後経験できないのではないかと思うほどである。怪我もなくパートナーにも天候にも恵まれ超充実した1年を送れたことに感謝しつつ、今年を締めくくりたい。
コメント