岩木山 後長根沢左俣滑降 2024/3/8

山スキー

【日程】2024/3/8
【メンバー】skialpinist(L)、ヤマ(記)
【天気】晴れ
【タイムスタンプ】
6:30弥生いこいの広場~10:45岩木山~11:05滑降開始~11:30核心終了~12:40車道~13:30弥生いこいの広場

<滑走ライン全景>

<後長根沢左俣>

【報告】
・参加までの経緯
 仕事で徳を積んで9連休を確保して挑んだ単独スキー山行が悪天敗退に終わり、翌日たまたま拾ってもらってロッテアライスキー場で失意のパウダーを滑っていたところ、山スキー界の御大からお誘いが届いていた。何やら天気のいい平日に東北のレアなラインを狙う模様。休暇を持て余しているのがバレて、平日のパートナーとして白羽の矢が立ったようだ。技術も経験も足りていないのは明白だが、悪天敗退の消化不良もあり、二つ返事で参加させていただいた。

・前日(3/7)
 9時間(!)のドライブで遠路はるばる津軽へ。東北道の車窓から見える屏風岳や岩手山のスティープ滑降の解説を聞けてなかなか贅沢だった。Lは運転中も雪の様子を観察されていて流石。弘前駅前のホステルに前泊し、一杯しながら滑走ラインやタクティクスの作戦会議。後長根沢は地形図からみて3本のラインが引けるが、方角的に雪質がよさそうな左俣を狙うことに決めた。もしかしたら初滑降。

・当日(3/8)
 麓のスキー場で5日前から3日前にかけて30cm、前日に10cmの降雪があり、当日は快晴無風と低温で絶好のコンディション。まさにThe Dayだ。


 冬らしく冷え込んだ弥生登山口からスタート。スキー向きの尾根でさくさく標高を上げていく。六合目1100mの森林限界から上部のオープン斜面は雪崩注意。こまめに簡易的なピットチェックを行ったところ、雪の結合は悪くない。お目当ての沢筋に入れるだろうと期待が高まる。巌鬼山から上部は火山らしい少々複雑な地形で、北側に回り込んで何とかスキーで歩ける斜度をこなして山頂へ。山頂からは陸奥湾を挟んで下北半島まで見渡せて素晴らしい。


 心ゆくまで景色を満喫して山頂から滑走開始。まずは左俣のエントリーポイントにある目印の木まで400mほど落とす。30度くらいの適度な斜度にドライパウダーのオープンバーンで最高!


 いよいよスティープセクションへ。トラバース気味に入ったLが沢筋に吸い込まれていくとあっという間に見えなくなった。笛の音も全く聞こえないので時間差でいざドロップ。沢筋に入ると天然のハーフパイプで斜度40度ほど。雪は柔らかいし斜面の幅があってターンはできるので、プレッシャーはそれほどない。結構スラフが出て、スラフ処理を楽しむという感覚が分かった。
 そしてノール気味の核心部に近づくと、シュプールは正面の崖を避けて右岸斜面から巻き気味に小ルンゼに伸びていた。見事なルーファイを追って小ルンゼに入ると、短いがノドまでずっと狭く、斜度45度で明らかな核心(写真を撮れる状況ではない)。楽しく滑れる斜面ではないと悟り、横滑りでは芸がないのでジャンプターンの連続で核心を突破した。斜度が緩むと今度はデブリで我慢の滑りを強いられ、右俣との出合でやっと合流。身の丈に合った滑りで転ばずに降りてこれて心底ホッとした。
 自然なラインで山頂からボトムまでダイレクトに滑れて最高だった。L曰く、スティープ慣れしていないと核心のライン判断が難しく、結構リスクの高い滑降ルートとのこと。


 あとは後長根沢本谷の少し重くなった雪をクルージングして、林道の雪をつないで車道へ。太宰治が十二単衣を纏うと例えたたおやかな津軽富士にこんな刺激的なラインを引けるとは。未知の斜面に付けたシュプールを見て大いに満足し、リンゴ畑を愛でながら小一時間の車道歩きで車を回収した。
 下山後は麓の岩木山神社にお参りして滑降成功を感謝し、盛岡まで戻って祝杯を上げた。

・翌日(3/9)
 あわよくば東北でもう一本滑りたかったが強風で断念。滑降成功の余韻に浸りながらロングドライブで帰ってきた。初めてのスティープ滑降は大満足の一本になった。

※ 後長根沢は岩木山ローカルのスノーボーダーが滑っている模様(詳細ラインは不明)。初滑降とはならなかったが、レアモノであるのは確かだし、厳冬期初滑降だったらいいな。

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