剱岳 大脱走ルンゼ滑降 2024/4/27-28

山スキー

【メンバー】
Y田(L)、H光、ヤマ(記)
【行程】
4/27 晴れのち曇り
 7:30扇沢~9:15室堂~11:15剱御前小舎~11:55剱沢小屋BC~13:50武蔵谷滑降~15:00BC
4/28 快晴
 3:30BC~3:50平蔵谷出合~5:25インディアンクーロワール出合~6:00源次郎尾根コル~7:15剱岳~9:00大脱走ルンゼ滑降~9:35剱沢出合~10:30BC~14:15室堂~16:00扇沢


 大脱走ルンゼ(東面ダイレクトルンゼ)はスティープ滑降のクラシックなテストピースと認識していて(手垢が付きすぎているが…)、あの剱岳山頂からダイレクトに落とすロケーションも相まって、自分ゴトと思ったことはなかった。しかしながら、スティープ滑降デビューした今シーズン、お誘いに乗って山スキー3年目(!)で滑れちゃいました。
 スキーが上手くなくても、どちらかというと垂直よりも水平志向でも、モチベーションがあれば促成栽培でここまで引き上げてもらえます。ゼロからでもバリバリ山スキーをやりたい方は、是非ぶなの会にお越しください!

・1日目
 アルペンルート初週は悪天で出動できず、2週目に急造パーティーで参戦。2月に立山ワンデイをしたのもあって、まずは春立に来れてうれしい。
 初日は足慣らしということで、剱沢小屋付近のBCに荷物をデポして前剱の武蔵谷(たけぞうたん)に行ってみた。天気が悪くなりつつあったので前剱山頂から落とすラインは諦めてコルから滑る。ほどよい斜度にほどよいザラメで楽しめる。個人的には剱沢二股から黒部別山に向かって滑るロケーションがよかった。落石混じりのスラフが出たことを踏まえ、明日は落石警戒で早出することにした。


・2日目
 まずは月明かりが照らす剱沢を平蔵谷出合まで滑って落とす。初めてのナイタースキーはカチカチ斜面で楽しいものではなかった。
 平蔵谷はデブリでシール歩行する気になれず、出合にシールをデポしてシートラで黙々と高度を上げていく。インディアンクーロワールまで2P、もう1Pで源次郎尾根に合流、さらに1Pで剱岳山頂に至った。確実なアイゼンワークが身に付いていれば問題ない。登りで大脱走ルンゼの様子を偵察できるのがナイスで、ノドのスキーヤーズレフト側にクラックが開いていることを確認した。


 7:15山頂着。早く着きすぎて雪はまだまだ硬い。山頂から一段下の風除けスペースでのんびり過ごす。結局この日は剱岳山頂に大脱走ルンゼを狙う滑り手が12人(!)集った。8:30頃に上部の雪が緩んできたとのことで、先着していた白馬の滑り手界隈からドロップ。無線とドローンの情報によると、やはりノドの通過が核心のようだ。
 ぶなPはしばらく待って9時過ぎに7~9番手でドロップ。転倒が許されないほどよい緊張感に包まれつつ、この緩んだ雪なら滑れる自信はあった。山頂直下の緩斜面から斜度50度ほどで急に落ち込むノール地形は迫力があり、攻めすぎずターンを刻んでいく。斜度40~45度くらいに落ち着くと連続ターンを決めて楽しく滑れた。高度感があって浮いている感覚とよく言われているのも分かる気がする。
 中段スキーヤーズライト側のハイマツ脇でリグループ。ノドの状態がよくないのでスキーヤーズライト側の小尾根からノドを巻く話をしていたが、小尾根への分岐はとっくに通過していてノドを突破するしかない。昇温と大人数滑走で激増したスラフによって川と化した縦溝を避けて板を走らせる。ノドの最狭部はスラフがやばいのでジャンプターンも控えて横滑りで慎重に落とし、板を外さずにスキーヤーズライト側から抜けられた。


 核心を抜けて安堵していると後方から「ドン!!!」と音がして落石かと思ったら、後続のボーダーがやばい勢いでスラフに流されて落ちてきた。ああこれはダメなやつだと最悪の結果が頭をよぎったが、ノドのクラック中段の棚で止まって無事の模様。Y田さんがレスキューに加わって自力で脱出してきた。滑落しても助かるという「大脱走ルンゼ」の由縁を目の当たりにしたわけだが、運がよかっただけ…。
 板並べの記念撮影を済ませて、平蔵谷を12人のパーティーランで落としていく。下部はデブリに苦しむが、さながら剱岳平蔵谷スキー場の様相だ。
 スキー滑降が終わるとつらい剱沢の登り返し。時間の余裕はあるので一ノ越から黒部平までスキーで進む話をしていたが、暑さに負けて予定通り室堂からアルペンルートで下山した。

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