ぶなWinter Climbers Meeting企画、人一倍気合を入れて二本のルートにトライしました。

メンバー:I田、T内ま

日程:
3/11 八ヶ岳 無名峰ルンゼ
3/12 八ヶ岳 赤岳 ショルダーリッジ右

記録:
3/11 無名峰ルンゼ

10:00 無名峰ルンゼ分岐
11:30 双翼の滝
14:15 トップアウト

あまり記録がない場所に行きたいと、峰の松目南西沢に続き、重箱の隅をつつくように季節外れの無名峰ルンゼを選択する。

鉱泉に余計な荷物をデポし、無名峰ルンゼに向かう。石尊稜方面はトレースがバッチリだが、小同心ルンゼの分岐からトレースはなくなる。
無名峰ルンゼに入る。「期待通り」氷なんて1mmもない。

F1(5m)、埋まっている。。。ラッセル
F2(40m)、埋まっている。。。ラッセル
 
 
徐々に傾斜がきつくなる。右に折れた急傾斜のルンゼを詰めると上部の二股にある双翼の滝へあっけなく到着。
20mのうち半分位埋まっており、どちらもベルグラだがしっかりと凍っている。
この二俣は、最近散見される記録では左が涸滝で、右がベルグラの滝になっており、ほとんどのWEBの記録は右俣を登っている。今回はしっかりと凍った左俣を進む。

1P I田 10m
出だしは氷のすぐ下に岩が見えており、バイルを思い切りたたけばすぐに割れる。コツコツとピックを引っ掛ける。
上部はしっかりとしたアイスクライミング。難なく突破し、ルンゼをさらに左方向に詰める。

2P
左右を切り立った岩に挟まれたルンゼをコンテで詰める。

3P T内
一瞬悪い岩場を抜けると視界が開ける。

4P I田
最後は無名峰の北側に飛び出して終了。下りは大同心稜へ。

かなり難しい部分もあると想定し、装備万端で覚悟して行ったが、危うく「八ヶ岳西面で最も簡単に稜線に抜けられるバリエーションルート」になるところだった。とはいえ、残置もなく、自分たちだけのルートといった感じはまぁ良かった、といい聞かせたい。
 
 
3/12 ショルダーリッジ右

6:20 赤岳鉱泉出発
8:30 取り付き
14:15 ショルダー右ピーク
 
 
■取り付きまで
朝6時鉱泉出発。小屋を出るときにM藤さんが珍しく真顔で「本当に気をつけて」なんていうから余計に緊張して出発する。

赤岳へ向かう一般道からショルダー右ルートの全体を眺める。スッキリとしたリッジというよりも、黒いフェースが幾重にも連なっているように見え、威圧的に見える。一般道からトラバース気味に取り付きを目指す。取り付きはショルダーリッジ右の末端バンドの中央部にある左上気味の凹角である。

1P(I田)
取り付きには古いハーケンが3本打たれており、そこを支点とした。気分は重いがロープを結び気合を入れる。出だしがハング気味で足のスタンスが乏しい。ベルグラにピックを引っ掛け、細かいスタンスを拾って離陸に成功。氷と雪が岩を覆っており、バイルを叩く際の雪質の判断が難しい。途中クラックの雪を掘り出しリンクカムでランナーをとる。上部の立木を終了点とする。

2P(T内)
急斜面をダガーポジションで駆け上がる。第二岩壁下部の手前で60mロープ一杯。

2.5P(I田)
岩壁下部まで10m程ロープを伸ばす。

3P(T内)
第二岩壁で登るラインをしばし相談する。
I田「右に緩い傾斜が見えますけど、A久さんのトポだと中央登ってましたよ。(勘違い)」
T内「行けそうだから行ってみるよ。(涼しい顔)」
※あとで帰って確認したら、A久さんは右に回り込んだ緩傾斜を登っていた。

実際に取り付いてみるとランナーは取れない上に、足のスタンスも数ミリの世界で微妙な立ち込みが続く。一箇所微妙なクラックにナッツを決めてランナウトする。アックスはほとんど使わず、ボロボロ崩れそうな岩を見極め慎重にフェース登りで突破していく。上部に残置スリングが見えたが、近づくととても衝撃荷重に耐えられる代物ではない。

岩壁を抜けたあとは、岩の露出した砂利の壁をダブルアックスで、ルンゼのようなところを導かれて登る。

T内「言うほど難しくなかったよ。」
I田「・・・」(やっぱフリー力って大事だな。)

4~7P
4Pからアックスを一本ザックにしまう。このあたりから快適なリッジ歩きが中心になりどんどんロープを伸ばす。天気は抜群によく風もない。所々に細かいスタンスを拾うような悪いフェースも数箇所もあるが、1,3Pで目が慣れたのかガバに見える。残置の類はほとんど見当たらず、ピナクルやNPで支点をとるが基本的にランナウト。最後はショルダーのピークに向けてロープ気持ちよく伸ばして終了。

鉱泉に下山すると、他のメンバーは全員到着しており、我々を待っていてくれた。記念撮影して帰路についた。

感想:
(I田)
天久さんのショルダーリッジ研究に始まりM藤さんと先輩方に続いてこのルートに登れたことは感慨深い。残置やトポがほとんどない総合力が試されるルートを突破でき、これまでの山行の成果が一つ実ったようにも感じる。「ヤバイところは俺が行く!」という気持ちでルートに臨んだが、T内さんは涼しい顔で難所をあっさりといってしまった。心強いパートナーである。

(T内)
I田くんと、「自分たちで行けるアルパインルート」を探して右往左往した2月。
行ったものの、ほぼラッセルで終わったりもしたけれど、その積み重ねがあって、今回、無風快晴のご褒美付きで、赤岳ショルダーリッジ右に行くことができたと思っています。アイスだけできても、雪稜だけできても、岩稜だけできても行けなかった。ナチュプロが使えて、声や姿を確認できなくても相手を信頼できるからこそ行くことができた、そんなルートでした。

3P目で、より弱点を突いたルートがあったのに、周りを見ずに、自分が登れそうだったために、岩壁の真ん中に伸びるルートに引き込まれてしまったのは、そこが「登れる」と思ったからではあるものの、ルート研究不足、まさに自分の「弱点」だと思います。今回はルートが続いており、抜けることができたから良かったものの、自分の行くルートの研究が足りていないことは、安全やパートナーに対して、大いに反省すべき点です。
とはいえ…、どこまでもどこまでも、60mいっぱいまで、岩が導いてくれる素晴らしいピッチでした。

楽しくもあり、充実感もあり、「山に対して謙虚でありたい」と強く思う山行になりました。

I田くん、ありがとうございました。
それから、今シーズン、ずっと付き合ってくれてかなり短くなったバイル、アイゼンにも感謝です。