メンバー:Y本L、M中、K谷、S藤

2/21(土) 晴天
土樽駅(6:20) ~北西尾根取付(7:45)~1400m付近(12:30)~BC1570m(14:40)~雪壁取付<偵察>(15:20)~BC1570m(15:35)

一日目は全国的に高気圧に覆われて、天気の心配がまったく無い大当たりの予報だ。2日目までもたないとの予報なので一日目が勝負の日になる。
という事は、土樽駅(600m)から茂倉岳(1977.9m)標高差1400mを一気に登らなければならない。となれば、軽量化が必要と考えてパーティーの皆様に酒のボッカ等は「ほどほど」にとメールで通達する。

当日は予報通り快晴。上がり気味のテンションを抑えつつ土樽駅に着いたら、H光Pが支度中、一足先に出発して行く。
自分達も早々に出発すると先行者のワカンの跡・・ツボ足で進むがすぐに雪が深くなり、さっさとワカンにする。

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一つ目の橋を過ぎて二つ目の橋で先行トレースはまっすぐ着いている。自分達は橋を渡るのでトレースとお別れ。
土樽PAの敷地に一旦入り、その脇から北西尾根方面に向かう。途中で川の渡渉があるか心配していたが、この時期は雪が深く完全に埋まっていた。

順調に尾根取付きまで到着。ここからは、とにかくラッセルラッセル4人で回しながら標高を上げていくだけだ。
一旦乗っかれば、あとは山頂付近まで真直ぐ伸びる迷いようの無い太い尾根。しかも晴天無風。厳冬期とは思えない良い天気だ。

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最初はラッセルのペースがチグハグしていて、4人の交代ペースがばらばらだったり順番が入れ替わったりしていた。
そのうちに息が合ってきて休憩とラッセルの回り具合がよくなってくる。標高が上がれば景色もよくなり足拍子、仙ノ倉、万太郎、武能などの山々が回りを囲んでいる。
S藤さんは「最高だー気持ちー」とテンションが上がっている。今シーズン初めての雪山となったK谷さんも「良い写真が沢山撮れる」と上機嫌みたいだ。M中さんもここぞとばかりに山の観察をしながら登っているようだ。

順調に進んで、1400mの目標タイムを12~13時と決めていたが無事にクリアする事が出来た。正直言えばかなり難しいと思っていた。これで今日中に山頂に届くかも・・・
しっかし長い尾根で登り応え十分。膝丈フルラッセル。本当に長いな~あと標高差600mを4時間半だとギリギリだな~。

途中でカモシカのラッセルを見学したり、簡単なナイフリッジを通過する。初めの岩場が出てきて、直登するか右から回りこむかで迷う。
右は急斜面でアイゼンとダブルアックスじゃないと厳しい感じ。K谷さんがワカンで直登出来そうだと判断して木を潜り抜けて難なく突破する。

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しばらく進むと目の前にキレイなリッジが長く伸びていて、その先に岩峰が見えてくる。昨年、足拍子から見た岩峰だなーと嬉しくなる。とっても良い景色が広がっている。

岩峰直下に一本の木が生えていて標高1570m。この先に難所のナイフリッジがあると思われる。そこを越えればテントを張れそうな所はなく、頂上を踏んで茂倉避難小屋付近まで行きテントを張らなければ行けない。
このペースで行けば残業ありのヘッデン歩きで18~19時着になりそう・・ナイフリッジでロープ出すだろうからな~・・天気も良いし無風だから無理してもよさそうだけども・・・。
でも、S藤さんとは初めての山行だしな~。K谷さんも久しぶりの山だからな~。
みなさんと相談しながら、悩んだ末に今日はここまでとしてテントを張ることに決定。翌日に備えてY本-K谷は岩峰を偵察。M中-S藤はテント設営で分けることにした。

わかんからアイゼン、ストックからWアックスに持ち替えて、核心であろうナイフリッジを偵察に行く。まだまだ雪が深くてしんどいラッセル。斜面が急になってくるけどアイゼン、アックスにしたので平気。
息を切らして進むとすぐに雪壁に辿り着く。ブッシュの多い壁。取付で壁を確認するとざら目雪でサラサラと雪が流れていくのでアックスが決まらないし足場も固まらない。
ロープがいるのはナイフリッジだけかと思っていたのに予想外!明日の楽しみが増えた所で、戻ることにする。

これまたテン場のロケーションが最高。ビールを持って来なかったのが悔やまれるが自分から言い出したのだから仕方ない・・・夕食は自分が担当でキムチ鍋。一回戦目は辛くてむせた。シメは軽量化でマル○イラーメンにしたら評判がよろしくなかった。
テントの外に出て仙ノ倉方面を見ると、樹林帯から薄緑の光が見える。H光Pかなと思いつつ標高が低いので違うかなと話しつつ就寝。
(Y本 記)

2/22(日) 晴れ 時々くもり 強風
BC 1570m(7:53)~ナイフリッジ基部(8:12)~ナイフリッジ1640m(9:56)~BC(10:57-11:57)~北西尾根取付(14:07)~土樽駅(14:56)

起床すると、時折テントが風でたわみ、昨日とは一転、風が相当強くなっていた。
朝食は、S藤さん手作りの特製タンタン麺で腹ごしらえ(調理済み挽肉とサンショウが効いて本格中華風で絶品)

予報では、風速10m/sオーバーで、春一番になる可能性があるとのこと。
曇り後、夕方には雨予報だが、思ったより視界は良好。万太郎、足拍子もよく見える。気温は高いが、15日以降あまり降雪がないためか、周辺で雪崩れてる様子はない。

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テンバを出て、昨日偵察に行ったトレースを辿って20分ほどで雪壁に着いた。
雪壁は、高低差30m程、樹林混じりでランナーは適当に取れる感じだったので、Y本リーダーの指名により、トップで意気揚々と取り付いた。
雪壁に取り付くと無情にも雪は締まりがなくザクザクと下に落ちていく。ピックは効かなく、アイゼンも頼りない。雪は付いてなく乗っているだけだった。
仕方なくダブルアックスは諦め、ピッケルの小さなブレードで雪を払い落としながら、少しづつ、ブッシュや潅木を掘り起こして攀じていく。

壁にアイゼンを効かせると、胸辺りの雪が邪魔でほとんど垂直に近くなる。
1本目の潅木まではパワーでなんとかいったものの、2本目の潅木までは距離があり、「あ~、これずっと掘っていくのか~?」と心の中で呟く。
下を見ると、Y本リーダーがじっと見つめている。「初リーダーで、ナイフリッジぐらいまでは見たいんだろうな~?できれば茂倉岳まで行きたいんだろうな~?」と、またも心の中で呟く。。
思案していても仕方ないので、土木工事を継続する。奥行き50cmぐらいの雪を払い落とし、中のブッシュをつかんでアイゼンを効かせて、膝を雪壁に押し当ててバランスを取って、雪を払い続ける。
そんな感じで攀じていくと、ようやく二つ目の潅木に手が届くようになった。

今度は横着して、二つ目の潅木に左手をかけ、右手にブッシュをつかみ、胸から上の雪を払わずに体をパワーで吊り上げたが、適当な足場がなくパワー不足でずり下がり万歳状態。
足元が見えないのでアイゼンが宙を舞い、腕はパンプしてくるし。。。とてもまずいので、ブッシュっぽいところを探して、だましだまし荷重をかけて身体を安定させると、また土木工事に戻って、少しづつ、ずりあがった。
これを過ぎて5m程上がると2~3人ほど立てるところがあったので、少し整地してやっとセルフを取ってビレイ解除のコール。サングラスとバラクラバは雪がついて真っ白。
とうとう奥行き50cm高さ20mの縦型U字溝が完成した。ラッセル5級?といったところか。嫌いじゃないけど、もうお腹いっぱいだった。

しばらくして後続のS藤さんとY本リーダーを迎え入れた。M中さんは、取り付き点で待機とのこと。
ここから5m程上がると尾根上で10~15m/s以上の風が吹いている感じ。Y本リーダートップで、様子を見に行ってもらうが、結局全員が上に上がった。

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尾根上は、時折、風が強くなりバランスを崩しそうになるが、ナイフリッジはもう少し先にあるはずなので、ビレイしてもらい10mほど、ほとんどハイハイするようにピッケルを突きながら上がった。
そこには、確かに鋭角に尖がったナイフリッジが鎮座していた。長さは10mぐらいだが、落ちたら一溜まりもない感じ。
その先には、きれいな雪稜が続いていた。ここで全方位的に写真を撮ったが、ピッケルでバランスを取りながらなので、かなり傾いてしまった。
全員、交代でナイフリッジを確認した後、「風が強く、ここでロープを出してナイフリッジ通過は危険」との判断で、撤退した。

クライムダウン1Pと懸垂1Pで取りつき点に戻り、M中さんとも合流してBCに戻った。
BCに戻ると小一時間ほど、お茶を飲んでゆっくり過ごす。

まだ視界が良いので、未練が残るもののテンバを後にして往路を下山。
ほとんどまっすぐに延びる北西尾根はこれといった支尾根もなく、トレースもあり、さらに最後まで視界も良好で迷うことはなかった。
途中、アイゼンにつく団子が煩わしくなり、安全地帯に入ったらアイゼンを外し、ほぼ休むことなく下山した。終盤には雪が緩み、一部ぐずぐずで難儀した。

15時には土樽駅駐車場着。温泉に入って、帰京。
(K谷 記)

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<M中コメント>
2014年1月18日の足拍子南尾根にて
Y本「M中さん、あそこのあれなんすか?」
M中「武能の、いや、茂倉岳の北西尾根だね〜」

2014年3月29日の荒沢山〜足拍子南尾根にて
Y本「M中さん、あそこのあれやっぱかっこいいっすね」
M中「えっ、武能?いや茂倉の北西尾根ね。確かに」

2015年2月15日の加賀屋にて
Y本「M中さん、あそこのあれどおっすか?」
M中「茂倉岳北西尾根!」

と今回の雪山企画のルートが決定されたわけですが、現地で見初めた山への想いが実際の登山として実現したことをあらためて感慨深く感じています。
結果は核心の手前で中退となりましたが、それもまた高嶺の花の女性にアタックして見事振られたごとき爽やかさ漂う、
「やっぱ、ええ山やったわ~」 という感想なのですね。どうぞよろしくお願いします。

<K谷コメント>
久しぶりの山行で、しかも厳冬期で緊張したものの、メンバーと天気に恵まれ、さらに想定外のスパイスもあり充実した山行になった。
茂倉岳北西尾根は、まっすぐに伸びた立派な尾根で、ネット上であまり記録はないが、雪壁あり、ナイフリッジあり、美しい雪稜ありで、中身の濃い尾根だと思う。いつかもう少し雪が締まった時期にリベンジしたい。
メンバーの皆様、ありがとうございました。Y本さん、初リーダーお疲れ様でした。

<S藤コメント>
最初リーダーのY本さんからルート候補を聞いた時に茂倉岳北西尾根ってどこですか?という感じでしたが、取り付いてみるとラッセル有り、雪壁あり、細尾根ありの飽きない素晴らしいルートでした。
今回この雪質では初めての本格的なラッセル山行でしたが単独であれば全てラッセルしなければならない所を4人で順番に回しながら標高を稼ぎ、雪山パーティー登山の醍醐味を味わう事が出来ました。

2日目のナイフリッジより上部は強風で敗退しましたが、両日とも晴天が続き印象深い気持ちの良い山行になったと思います。Y本さん、M中さん、K谷さん、ありがとうございました。
また、皆さまとご一緒させてください。次回は雪壁のリードをやりたいです!

<Y本コメント>
みなさん知識や経験が豊富で、アドバイスとツッコミを沢山頂きました。
頼りないリーダーに付き合って頂きありがとうございました。
登頂できなくて残念でしたが、満足感があって記憶に残る山行になりそうです。またこの尾根に来ることになるだろな~。
足拍子岳に登られる方は、ぜひ茂倉岳北西尾根を確認してみて下さい。