舟ノ川 イブキ嵓谷 2020/8/8-10

沢登り

[メンバー]H光L、H部、N嶋、他1

8/8(土)
初日は遅めの11時過ぎのスタート。初日の幕場はイブキ嵓谷下部のゴルジュとなりそうなので、適地があるかがポイントとなるだろう。地獄谷は非常に水が綺麗で序盤は癒し渓。アメ止りの淵は泳ぎとなるが、寒そうなので左岸から巻く。

30分程度で桶側ノ滝に到着。滝の落水ポイントは岩で隠れており、右のトンネルから流れ出てきているが、水で削られただけとは思えない左岸の洞窟状地形がどの様な過程を経て形成されたのか、非常に気になるところ。この滝はロープを出して左壁に取り付く。

古びたリングボルトがあり、ここで1ピン目。この先がやや悪く、立木やクラックもないので次のピンをどう取ろうか迷っていると、左手に残置ロープが垂れ下がっているのを発見。随分な親切仕様である。ブッシュ帯に入るとアンカーも豊富で問題なし。

次の斜滝は泳いで取り付いて登れそうだが、意外と流れが速い。身体が冷えるのであまり泳ぎで粘れず、おとなしく左岸から巻き。懸垂下降で滝上に出るかと思いきや、乗越を越えて反対側の枝沢から簡単に降りれた。

行動開始から2時間程度で地獄谷分岐に到着。二俣では右手の地獄谷本流の方が険悪に見える。イブキ嵓は左手に進むことになるが、すぐにゴルジュ状地形になり、くの字滝が行く手を阻む。左岸のチムニー右のガリーにロープを出して取り付くが、やや悪めで時間がかかる。登り切った後はクライムダウンでも降りれそうだが、一応懸垂下降で沢底に戻る。

ここから三俣までは泳ぎあり、シャワークライミングありで楽しいポイント。15m滝はやや高度感があるが、簡単なのでノーロープで登り切ると、滝の落ち口は釜になっていた。フリクションを効かして釜から這い上がる。心配していた幕場適地も点在しており、ゴルジュ地形とは言えあまり心配いらなさそう。

分岐から2時間強で三俣に到着。本流は右手の30m滝となるが、登れないのでガレルンぜを少し詰めて右岸から巻く。獣道と思われる踏み後もあり特に難しくない。30m滝の上から沢底に戻ろうかと思ったが、少し上にも登れなさそうな15m滝が見えたので、そのまま巻きを続ける。乗越部分が少し急だが、ロープなしで登り切り裏側のルンゼを下降。沢に戻ったところにたおやかな流れの25m美瀑がある。ここは再び右岸のルンゼから巻きに入るが、ルンゼの奥は行き詰っている様に見えるので、早めに滝に近づくと、ロープ1Pで小さく巻けた。この辺は登れない滝が続き、登れる滝の多い三ツ嵓と比べると少々渋さを感じてしまう。

ここから少し進むと伏流になる。幕場適地も多く、良い時間なので泊まれるなら泊まりたいが、やはり水のある場所を幕場としたい。巨岩が続きハイステップが多くなるので、体力的にも消耗する。思ったより長かった伏流エリアが終わり、黒滝に到着したのが17時過ぎ。まさか11時過ぎに行動開始して、ここまで来れるとは思っていなかった。

滝のすぐ下も伏流となっており、結局黒滝から水を汲まないと水が確保できないというオチ。頭上にはメオトグエが広がり、前回の三ツ嵓と続いて贅沢なロケーションの幕場。四人がまとまって寝られそうな場所はないが、天気も持ちそうなので、各自岩の隙間で雑魚寝するスタイル。黒滝は岩盤上に飛沫を上げる形なので、滝から離れていても就寝中たまに水飛沫が顔に飛んできた。

8/9(日)
この日は黒滝の巻きからスタート。左岸のルンゼ状を4P登攀する記録が多いが、結果的にはさらに右手の左岸尾根からすんなり巻くことができた。傾斜はやや急だが、こちらも獣の踏み後が明瞭。滝上にも歩いて降りることができ、1時間弱で巻くことができた。ちょっとあっさりしすぎていたので、ルンゼを登った方が良い気もしたが、結局巻きのライン取りではあるので、気持ち的には短時間で楽に巻けるならこちらで良いのではと思ってしまうところでもある。
次の25m滝は登れないので左岸巻きとなるが、ワンポイント難しいので念の為ロープを出す。その上は黒滝を巻いた尾根に再び乗ることとなるが、ポコからは視界が開けて主稜線もよく見えた。

ここから上は特に難所もなく、ややヌメリ系の小滝をいなしながら標高を上げていく。爽やかな原生林を登り切ると、出発から3時間で奥駆道に合流。明星ヶ岳で一休みした後、荷物をデポして八経ヶ岳もピストン。

通常の遡行であれば中尾から湯ノ又に下山となるが、前回と同じルートを下るのもやや面白みにかけるので、今回は三連休ということもあり七面山方面に周回することに。ちなみに前回中尾からの下山中に七面山方面を眺めた際に、稜線直下に気持ちの良さそうな草原が広がっているのが印象的だった。帰って調べると神仙平と呼ばれる秘境的な場所だということが分かったので、ここで泊まるのも今回の目的の一つである。

神仙平は登山道はないが、アプローチ自体は比較的楽で記録も多い。明星ヶ岳からも2時間足らずで辿り着くことができ、実際素晴らしい場所だったが、なんと頼りにしていた沢の水が出ていない。隣の沢ならば或いはと思い、トラバースして四本ほど沢をチェックしたが、どこも枯れ沢となっている。いよいよ詰んだかと思いきや、一番近い沢を少し下ると少量の水が流れていることが分かり、一安心。この水場に気が付かないと、本日中にカラハッソウ谷を下って下山するところだった。

神仙平は西向きの草原で、午後は日差しがきつい。暑さに喘いで彷徨っていると、冷気の吹き出す風穴を発見したので、そこで身体を冷やしながら昼寝をして過ごす。夕方になると草原が黄金色に染まり、感動的な夕焼けを拝むことができた。

8/10(月)
本日は七面山経由で下山。神仙平からは昨日下った道を登り返さず、斜上トラバースでショートカットする。七面山周辺は笹薮主体で、南ア深南部の様な雰囲気がある。稜線からは宇無ノ川流域の様子も伺えるが、こちらも舟ノ川と同様、岩峰がそそり立って険しい表情をしている。
七面山のピーク自体は展望はないが、裏側にはビッグウォールが聳え立っており、七面山南壁 Long Hope と呼ばれる素晴らしいルートも最近開かれている。

ここからは快適な登山道を下り、やや荒れ気味の林道を辿ると、駐車場に到着。入渓点でしっかりギアを洗った後、五條で打上げして帰郷。

8/8(土)11:10 駐車場-11:45 桶側ノ滝-13:15 地獄谷分岐-15:30 三俣-17:15 黒滝C1
8/9(日)6:10 C1-7:10 黒滝上-9:35 明星ヶ岳(⇔八経ヶ岳)11:10-13:00 神仙平C2
8/10(月)5:50 C2-7:05 七面山東峰-8:35 七面山登山口-9:30 駐車場

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