奥利根 奈良沢川小沢四番手沢 2022/8/11-14

沢登り

【メンバー】
S藤(L)、S津、I田、Y本(記)
【天気】
1日目:晴れ、2日目:曇り、3日目:曇り時々雨、4日目:曇りのち晴れ
【行程】
8/11 7:00桜坂駐車場→10:40国境稜線→15:30下トトンボ沢出合→16:00三ツ石沢出合C1
8/12 5:40C2→6:30小沢出合→8:00五番手沢出合→12:50(地形図上の)四番手沢出合→17:00C2
8/13 5:50C3→8:20二俣→11:00国境稜線→11:30小沢岳→14:00下津川山→18:20小穂口の頭C3
8/14 6:00C3→11:00十字峡

【報告】
※地形図上の五番手沢は誤植で、今回遡行した小沢本流の四番手沢であるので注意
<1日目:I田>
 3日目に台風の通過が予想されるも、初日は快晴の中、登山客で賑わう桜坂登山口から米子沢に入渓する。米子沢を快適にこなし1350mから右俣へ、最後は薄い藪こぎで国境稜線を超える。他の記録では米子沢を後半まで詰めて、上ゴトウジ沢の源頭から下降する記録もあったが、先を急ぐなら枝沢を経由して直線的に行った方が効率がよい。稜線を超えた上ゴトウジ沢の支流上部(”風這い”と呼ばれるらしい)からは奥利根地域が一望できる。
 所々雪渓が残る中、下降すると1156地点手前のゴルジュ帯の上部に大滝(2段15m?)が現れる。落ち口からはその先に雪渓が見える。右岸から高巻きを始め、ブサノ裏沢出合から少し先の地点から灌木伝いに沢床へ。
 その後、20m魚止メの滝上部から左岸の高台を藪こぎし、下トトンボ沢へ。下トトンボ沢はダラダラと特徴もない上にやたらとヌメり体力を奪われる。下トトンボ沢出合で休んでいると、釣り師が同じルートを降りてきた。こんな支沢にまで来るとは驚きだ。予定ではこのあたりまでの行動だったが、先を急ぐべく足を伸ばし、三ツ石沢出合で幕営する。


<2日目:Y本>
 奈良沢川から小沢に入って五番手沢出合までは歩くだけ。昨日とは別の釣り師と遭遇し、二番手沢に入るとのことだった。五番手沢出合にケルンを組んで、五番手沢を下降してくるA班に書き置きを残しておいた。ちゃんと見つけてくれたようで、沢合宿っぽさを作れてよかった。


 五番手沢を分けるとすぐに魚止め滝で、2日目にしてようやく沢登りっぽくなってくる。大滝は2段目以降の直登が厳しく、左壁からロープ2Pで灌木をつないで登った。1P目最初の泥壁が核心(イボイボは精神安定剤…)。大滝上はでかい雪渓が沢床を埋めており、1時間の左岸巻きから懸垂で沢に復帰した。この先は登れる滝が続いて沢登りらしい。悪いクライムダウンにカムを使ったのと、1回ロープを出して登った。


 地形図上の四番手沢を分けると核心の連瀑帯で、ゴルジュ突破を目論むも登れない滝があって断念。右岸ルンゼからゴルジュを全巻きする。途中の二俣っぽく見える箇所で懸垂で降りようかという話になったが、偵察したところ2段のでかい滝が続いており、懸垂はやめて高巻きを継続する。ナイス判断で時間短縮できた。
 巻き終わって沢に復帰するとすぐに雪渓で、ちょっとだけ雪渓に乗って1300mの右岸枝沢から巻きに入る。10mくらいの滝でワンポイント悪い垂壁があり、慎重にフリーで登ってフォローにはフィックスロープを垂らした。ここはロープを出して登るべきだったと反省。


 雪渓の出口には登れなさそうな滝で、その先もゴルジュが続いており、またもやゴルジュを全巻きして懸垂で沢に復帰した。沢に復帰するも早速次の雪渓の冷気がガンガン吹いてきて寒い。ゴルジュすぐ上の若干傾いている高台にタープを張って行動終了。(雪渓で埋まっているだけかもしれないが)四番手沢の大滝より上に幕営適地はほぼなかった。雪渓直下で寝る試練は初めてで、夜中は寒さに苦しめられた。

<3日目:S藤>
 前夜テンバを決めた責任を取って一番の危険地帯で寝たため、シュラフに入ったまま斜面を滑落しかけた。
 2日目のY本君のファインプレーにより行程は順調だが、今日の行程は6時間の藪漕ぎ付き&昨日は流程1.5km進むのに9時間使ってしまったので油断できない状況。初日の上ゴトウジ沢の上部の状況からそんなに雪渓はないんじゃないかと勝手に想像していたが、勝手な期待に過ぎなかった。天気は曇り。
 テンバを出ていくつかの小滝と右手から妙な形の滝で沢が入り、本流の釜をもった2mぐらいの滝を越えると早速雪渓が出てくる。一目見て上に乗れる、厚めで低めの雪渓だったが、乗り上がりたい部分の雪渓が不安定そうで釜を持った滝にもどって右岸リッジから小さく巻いて懸垂で雪渓の上に降り立つ。先に進んだ雪渓の末端はスムーズに降りられた。
 滝をいくつか越えるとまた雪渓。奥を覗き込むと左岸から大きめの沢が入っているのが目視できたので、雪渓をくぐっていったん左岸の沢の切れ目に出てから、本流の分厚い雪渓の上に乗る。雪渓の上に乗って進むと雪渓は続いているが、沢床が出ている場所があり、ここでもしもに備えて水を汲む。さらに雪渓の上を進むと運良く滝の落ち口とつながっていて降りられる。先にも延々と雪渓が見え先が思いやられたが、雪渓に乗っててしばらくすると1480の二俣にあっさり着いた。8:20。二俣の滝は10m以上はあり、雪がないと難儀したかもしれない。望外に早く雪渓を処理できて全員安心する。いったん水を捨てて小沢岳を目指す。この枝沢は登れる滝が多く、雪渓も1つ2つある程度で順調に高度を稼ぐ。途中の滝に下降に使ったと思われる残置ハーケンがあった。


 沢型が消えてから15分ほどの藪漕ぎで1844近くの稜線に飛び出す。まあまあ藪が濃く先が思いやられるが、そこそこ風が吹いていてじっとしていると寒いぐらい。もし炎天下だったらと思うとぞっとする。


 小沢岳の上で休憩を取り、道々の草原でブルーベリーをとったり、沢や山を同定しながらひたすら藪をこぐ。下津川、三国川は雪渓びっしり。中ノ岳方面も多い。藪漕ぎの傾向としては南側からの登り斜面の藪が濃くかなりキツいが、北面を下るときはそんなに濃くない藪になる。途中ナタ目や顕著な踏み跡があったりして楽できる部分があるのが救い。下津川山で電波が入り、他パーティーの状況を知る。小穂口の頭についた頃に雨が降り始めてしまったので、ここで行動終了。台風がそれたことを知り一安心。夜はずっと風が吹いていた。

<4日目:S藤>
 3時ぐらいまで降雨あり。起きる頃には止んできた。今日は下山するだけ。親切な方にタクシーを呼んでいただき桜坂で車を回収。駐車場の係員さんは長期間奥利根の山を楽しんだ我々にとてもフレンドリーでまた来てね、と言ってもらえた。やはり自分の地元の山を好きになってもらえるとうれしいのだろう。六日町温泉に入り、昼食を食べて地酒を買って帰京。

【感想】
<S藤>
 日程と雪渓状況を鑑み遡下降プランを組まず修行(藪漕ぎ6時間)ルートを設定し、訓練山行1回の状態だったもののメンバーに恵まれて予定通りルートを完遂できた。久々の奥利根は雰囲気も良く、やはりよかった。
 次リーダーするときは自分で全部やろうとせずメンバーに丸投げします!

<S津>
 7年前の9月、三ッ石~番手沢を下降した際三番手沢に降り立った時、ウワ~明るく綺麗、白い滝群が目に飛び込んできて何時か遡行してみたい!っと。奥利根合宿と聞いて番手沢狙いで参加。
 小沢本流(四番手沢)は雪渓があったためか白い沢のイメージではなかったが、かなり上まで小滝があり楽しませてくれた。
 メンバーでの練習山行はあまり出来なかったが、無事に下山できメンバーの皆様に感謝です。笹と木に助けられたりもしたが、藪漕ぎが思ったより多かった。。。

<I田>
 体力がない中で、また本格的な沢の経験がない中での長期山行に不安も感じつつ、徹底的な軽量化と事前の体力トレで、なんとか完登できた。また、雪渓に乗る、降りる、くぐる、高巻きする、といった雪渓処理もコミコミで実践できたのも良かった。沢登りの判断は難しいと感じた一方で、メンバーそれぞれが強みと経験を活かして、より良い判断と行動を積み上げていくのは素晴らしいですね〜。メンバーの皆さんには感謝しかありません。

<Y本>
 奥利根といえば本谷と越後沢大滝くらいしか知らない中でエントリーした沢合宿。奥利根を少しだけ知り、浸ることができました。雪渓こそ多すぎたものの、明るい渓相や静かな雰囲気など奥利根のポテンシャルを感じて、夏も冬もまた来たいと思いました。あとお盆にアブがいないのも素晴らしい。
 遡行はもちろん、幕場生活やヤブコギも含めて、パーティー力で山行をこなせたのがよかったです。経験も強みも異なるメンバーがパーティーを組んで一つの目標に向かう、山岳会の沢合宿のよさを感じました。今年もいい大人の夏休みになりました。

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