<プロジェクト明星>

■メンバー
LA山Y秀、SLN藤S木
S津A子、N村Y之、H本A嗣、N村H則
S藤D介、N村M美

10月8日(土)
PLN藤-N村芳 直上ルート
PLS津-H本-N村秀 左岩稜

10月9日(日)
PLN藤-N村芳 マニュフェスト
PLH本-N村秀 フリースピリッツ
PLS藤-N村 左岩稜
PLA山-S津 フリースピリッツ

10月10日(月・祝)
予備日:帰京のみ

【はじめに】
10月10日早朝、明星山南壁正面の林道から、飽きること無く壁をみつめる8名。
双眼鏡を替わるがわる手にとって、覗きこみながら壁を観察する。
あるものは昨日の登攀を反芻しながら、またあるものは、来年そこを登る自分の姿を想像しながら。
その思いはばらばらのようでいて、ひとつのような気がした。
そして、空はあくまでも青く、壁はあくまでも白かった。

【各自の感想】
N村H則さん
ヒスイ峡到着したのはもう3時を回った頃だった。
近くのコンビニで買出しをしたあと、駐車場でテントを張った。
寝たのが4時頃だったので7時におきることにして、眠りについた。

あっという間に朝になっていて、テントを出るとそこには岩壁がそびえ立っていた。
事前に本やWEBで見ていたまんまの堂々たる姿であったが、なぜだか今日は何だか現実味を感じない。
本当にあれに登るの?アプローチが近すぎてモチベーションが高まりきらないためか、それとも見るからにもろそうな岩に圧倒されたのだろうか。
初日はH本さん、S津さんとの3人パーティーで左岩綾。
N藤さんとN村芳さんは直上ルートに向かっていった。
A山さん情報では濡れずに渡渉できるということであったが、結構水量があって靴を脱いでわたることになった。
さて左岩稜には2パーティーが取り付いていた。

さて左岩稜には2パーティーが取り付いていた。
1パーティー目は人工パートでかなり苦労している模様。
駐車場を出た頃から一向に前進していないようだ。
2パーティー目はルーファイに苦労しているみたいで、大きく左にそれたところにルートを見つけようとしていた。
なんだかんだと待った後にようやく取り付ける。さて明星どんなもんだろう。

1ピッチ目をリード。草付の壁を越え、立ち木でランニングをとり岩壁基部にくる。
前のパーティーが詰まっていたこともありここでピッチを切る。

2ピッチ目もそのままリード。出だしだけちょっと立っているが、それほど悪くはない。
所々打たれたハーケンとカムでランナーを取りつつ進むが、岩を確かめるためにたたいてみると、ポンポンとむなしい音が響いている。
しかしこれをつかまないと、どう考えても上がれないし、それでも一番安心そうなところをエイヤと、でもなるべく加重しないように慎重に登る。まさに岩壁の洗礼を受けている感じ。
で3ピッチ目で人工ピッチの基部まで到達したけど、眼下にはスパッと切れ落ちた壁のはるか下方に小滝川が見えていて、正直に言うとここでノックアウト。
微妙な高度感がいやらしいのもあり怖くて仕方なかった。初めて岩壁で怖いと思った瞬間。

その後はリードをS津さんが担当。実践アブミは初めての私はセカンドで登らせてもらう。
短い間隔で打ってあるペツルは非常に安心感があり、また距離も短いこともあって、当初予想したほどには苦労することもなく(回収は全てH本さんにお願いしましたが・・・)突破することができた。

ここまでくるとようやく吹っ切れたのか恐怖感が落ち着いてきた。
一度アブミの安心感を味わうとなんだかねぇ、ということで次のピッチは一部A0交じりで抜けた。
その後ピッチはそれほど難しいことはなかったように記憶しているが全てフォローだったからかも。

登ってくる途中でかなり大きな岩が崩落して小滝川の対岸まで飛んでいったり、随所に落石の音を聞くに及んで、なんて危険なところにいるんだろうと、自分はここでこんなことをしていて良いのだろうかと真剣に考える。

大岩のところでN藤さん、N村よっさんパーティーと合流し下降路に向かいました。ところがこの下降路も結構悪くてびっくり。
翌日のD介マミ介パーティーのためもあってところどころにテープを張りながら下降をしていった。
最後は送水管の上を渡って本日は無事帰還。
ほっとするということはこういうことを言うのだなと思った次第。ようやく生きた心地がした。

翌日はA山-S津パーティーの後に続き、H本さんとフリースピリッツに取り付いた。
渡渉はチロリアン。取り付きに着た時点で先行パーティーがいて、しばし待つ。そして今日はつるべ。

1ピッチ目はH本さんリード。
草付きを左にトラバース気味に上がる。2ピッチをN村リード。
昨日からあんまりモチベーションが高まっていないこともあり、とにかく安全に抜けることだけを念頭に使えるものは全て使うという発想だった。当初の想定よりピッチを多くきり、問題のウメボシ岩下部まで到着。
ここはリードの方が怖くないということで先に行かせてもらった。
でも目の前でS津さんが悲鳴のように「そこを行くんですかー」と前のパーティーの方に聞いているところを耳にし、いったいどんなことになっているのやらと不安にかきたてられていった。

同じところをH本さんはこともなげに来たけど、何であのシューズ(かなり古いボリエールのスリッパ)であっさり通過できるの?以降は1ピッチ30分でいけても日没ギリギリのタイミングとなるため、とにかく早く登らなければならない。
で、実際いってみると圧倒的に短いけど下部のスラブに行くのがなんとも自信がなく、つかんだホールドがぬれていることもあって腕をびしょびしょにさせながら躊躇で時間が経つばかり。
最終的には決めたカムに体重を預けてゆっくりスラブをロワーダウンさせてもらい、なんとかたどり着くことができた。
ここでかなり時間をかけてしまったこともあり、残されたピッチは全てH本さんにリードをお願いすることになった。

パノラマトラバース(結構怖い)や、このルート中で最高グレードのフェースは気力、体力が残っていれば頑張れたけど・・・今回はすべてないのでつかみまくり。

その後はとにかく時間がないので早く、早くで進めることになるのだが、最後の最後でまさかの落石を起こしてしまった。
動くと予想だにしなかったサイズの岩が動き崩れていくのが背中越しに伝わってきた。
そしてロープに岩があたる感触も・・・。その後確認してみるとロープの芯線までダメージがあることが確認できた。
実質クライミングが終了している地点であったことは幸いであった。あとで考えるとゾッとする。

終了点についた時点で日没のため、恐怖の下降路をヘッデン下山となった。
昨日明るくてよく見えすぎて怖かったところも、暗いがゆえにむしろ安心できたのはむしろ良かった。
昨日通れた送水管は点検作業員の監視の目もあり通してもらえなかったのは玉にキズ。

この2日間、かつてない経験ができた。
ちょっとカルチャーショック状態。周りの先輩たちはフリースピリッツのルートはすばらしい、とかマニュフェストはチョームズイとか話していたけど、はっきり言ってまったくそんなことを考えている余裕はなかった。
自分がリードしたピッチすら記憶がいまいちぼやけている。
技術的なグレードだけを見ればまったく問題ないはずだけど、何でこんなに登れないんだろう。
多くの課題を突きつけられてしまった。
この原稿を書いている時点でも、うまくはいえないけど、どこかで何かが引っかかっている。

いずれにしてもこの明星の企画をしていただいたA山リーダをはじめ、今回山行をともにしていただいた、これまでの訓練山行をともにしていただいた皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。
この宿題どう片付けよう。

☆S津さん
フリースピリッツ。何だか名前に憧れて、何年か前から行きたいと思うようになったルート。
ピッチグレードで5.8だか9ですが、山壁経験が少しづつ増えてくるたび、フリーである程度登れていないと名前に恥じる登攀しか出来ないよなーと思いつつ、もうそろそろ登りに行って良いだろうと思った2年前。天候不順で転進。涙。涙。
今回は絶好の山壁日和の中登ってきたぞーヽ(^。^)ノ。
一番怖ろしいのは上部核心ピッチではなく、うめぼし岩からのくだりトラバースとパソで検索すると出てくる。N藤さんも半端なく恐いと。。。

ここはトップの方が良いらしい!トポで何ピッチ目にあたるか研究して(すぐ分かりますけど)ランズで会った時すかさず「A山さんから登ってね」と約束をした。フフフこれで安心。
が・・・トップでも恐ろしい。登る前に「フォローの事も考えてね」と言われてもねー。
わかっているんですがねー。既成のザンチ以外にカムを1箇所決める位がせいぜい。
山壁はフリーとちがい無理し過ぎて落ちるより安全とスピードが大事!と思っていますが、今回だけは「落ちたらゴメンナサイ」とA山さんに言い放ち、A0したい心を押さえ(濡れていてヌメヌメホールド有りだし、良い所に紐が垂れているんですよ)心臓バクバクの恐怖と戦い、渡りきった時にはホッとして目に涙が。。。暫し放心状態。でもほんの10m位なんですよ。

フリースピリッツは良く考えられた好ルートで楽しいピッチが多いが(浮石、落石の恐怖さえなければ)うめぼしのトラバースだけは遠慮願いたい。で下山路ヘッデンになってしまった。
取り付きと、帰りの路の最後にちょび核心も待っている。

A山さんとは岩トレ、フリーに何度か行っているが、ロープを結んでマルチは初めてだった。
改めて経験豊富だなっと。ピピピー(笛は力強く)有難うございました。
左岩稜。明星山の入門ルート。初日に行くにはここしかないと思い3人で。
水につからなくて徒渉出来ると聞いていましたが、、、私で膝上位まで濡れた。

A1ピッチはペツルのハンガーべた打ち。もう少し間隔開いていても良いんじゃないかな?
明星山の中では比較的硬いと聞いていたが、やはり浮石、落石が恐ろしい。

最後に。
A山さんが明星山の企画を立ち上げたいといった時、会企画ではちょっとレベル高くて無理なんではと思い、自分なりの意見も言ったりしました。山壁はいろんな要素があり、登れるだけでは対処しきれない所があると思っているから。
A山さんは、今回いけない人が出ても一緒に練習し、成長し、次に繋げて行ければと。
自分も、モチベーションを落とさず、これからもいろいろ成長していければなと思うこの頃。

☆N藤さん
「敗退系男子」
以前登ったフリースピリッツは、楽しくて快適だった。探せば在るガバ。適度なランナウト。
登りやすいところを求めた故に異様に屈折するライン取り。降り注ぐ落石は余興。
前情報で脅かされすぎていたのかもしれない。
素晴らしいルートであることは間違い無いが、難度的には拍子抜けしたというのが正直な感想。

そして、今回「マニフェスト」。フリースピリッツが「弱点を突きまくった逃げのルート」に対し、マニフェストは「直上する責めのルート」である。と誰かが言ってた。
俺は明星を、このルートを、クライミングを、ナメていたのかもしれない。
最初の関門の前傾クラック。俺達は掴む。俺達はぶら下がる。
俺達は何でも有り。この時点で俺達は負け。このルートに取り付く資格は無い。

4Pで敗退決定。尻尾を巻いて逃げ出した。ここでは登れない豚はただの豚以下なのだ。
まさに「コテンパン」という表現が相応しかった。だけど、楽しみが後回しになったのかもしれない。
時代は高難度マルチピッチクライミング。
明星は石灰岩の大岩壁。金と時間を賭ける理由は揃っている。
「クイーンズウェイ」「クアトロ」「JADE」「マニフェスト」「キャプチュード」「ハルシオン」「SNOWMELT」「FREEWILL」
やっぱり、乾いた岩が大好きなんだよ、俺は。

☆N村Y之さん
『直上ルート』
自分は5年ぶり、N藤さん初めて。N村先発で相変わらず出だしから際どく、調子出ないうち思いきりムーヴを強いられ落ちそうだった。その後セカンドのビレイをしてたらロープが「ぴしっ」と言った。
2ピッチ目かぶり気味の左上ボロ壁、気の毒な相棒はテンパってるようだった。
3ピッチ目のフリー核心、乗り込みバランス苦しく、残置ハーケンを親指ひとさしゆびでつまんで墜落免れた。
上部6P目、曖昧な記憶とまぐれ当たりで調子こいてロープ引っ張ったら50mいっぱい、カム3つで支点作成。
あぶなかった。ルートは全体通して崩壊が進んでいる印象、特に上部に大きな浮き石あり危険。

『マニフェスト』
3ピッチ登っただけで帰った。新ルートが拓かれたせいもあり、既存のボルトは撤去され誤魔化しが効かない。
率直に力量不足。お話しにもならなかった。
このままではどちらか事故るとばかり、早々に退散決定。力の足らざる知悉して、むしろ納得。
登攀イメージとしてのリアリティが足りなかった。「おまえごときは帰れ!」とルートが言っていた。
N藤さんは捲土重来を期していたが。

『ボルトキット持参について』
割愛するケースもありますが、基本的に本チャンには持って登ります。
岩壁上でのレスキューも含め、不測の事態に対処する基軸です。
今回の明星は、石灰岩で節理内部は水に溶け拡がっていきます。
既設のハーケン類は抜けやすくアテにしにくい。落石の頻度も高く何があるか読めません。
故に勧めました。巷間のイメージと現実は異なります。

『パーティー・コーディネートについて』
すごくシビアなテーマです。相手を決めパーティーの力量に合わせてルート選定をするか、目標ルートを先に決めておいて釣り合う人間をあてはめるか。どちらにしても計画立案は長期的視野で行うのが自然と思います。
行き先も相手も他者に決めてもらうというのはナンセンスでしょう。
なぜなら、実践にあたっての責任と進退決定権は当該パーティーにしかないからです。
一蓮托生の相手と行き先を決めることから全ては始まるのではないでしょうか。

☆H本さん
初日は、S津-N村秀-H本(記)Pで、P6南壁左岩稜を登りました。
人気ルートというともあって、やはり先行P後続Pに挟まれました。
先行Pのトレースなので、気分的には楽でしたが、ラインの取り方を少し間違えると、急に難しくなるようです。
順調に登り上部の大岩で、N藤-N村P(直上ルート)と合流でき、無事に下降路を下山できました。

二日目は、A山-S津Pの後を、N村秀-H本Pが追う形で、フリースピリッツを登りました。
当初、N村秀-H本Pは直上ルートの予定でしたが、1P目付近が悪いとのことで、フリスピに転進しました。
フリスピは噂通りの素晴らしいルートで、4~5級が連続する充実するものでした。
圧倒的な高度感と大きさで、壁の存在感を示し、緊張と集中の途切れることを許さない、厳しい側面もありましたが、登り終えた後の充実感は格別なものでした。
今回、パーティーを組ませて頂いたN村秀さんや、A山リーダーはじめ、皆さん大変ありがとうございました。

☆S藤D介さん
今年はいろいろあった。が、時は流れてもう10月。
今年はコンスタントにジムに週2回通って、いちおう小川山で彩花をRPできたが、成果らしいものはそれぐらい?
ちょっと時期尚早とは思ったが、フリーそこそこ、人工そこそこ頑張ったので、明星にチャレンジ。
クライミング自体は納得いくものではなかったけど、今回はリーダーで無事に帰ってこれたので満足。でもフリスピについて楽しそうに(そして怖そうに)話しているみんながうらやましかったので、来年はフリスピ行きたいと思った。

☆N村M美さん
明朝、初めて見る明星のどーんと広がる壁を見て思いました。「帰ってもいいですか?」と。
この場所に来たこと自体を後悔してしまうくらい、衝撃的な大きさに感じました。

奇数:S藤D介/偶数(易しい):N村でリード。
3P目は山壁で初めてのアブミ。たった4,5mほど、しかもフォローなのに必死。
やっと終了点に着いたと思ったら、今度はすぐに自分のリードの番。
人工からフリーへ、すぐには心のスイッチが切り替わらず、出だしの一歩がそれはそれは怖かった!
その後は楽な階段状で、上部の浮き石にさえ注意すれば、天気も良いこともあり大変快適なクライミングでした。

思えば7月に山壁デビューで谷川に行くつもりが雨に流れ、はや4ヶ月。
9月、遂に初めての谷川南稜と中央稜。その翌々週に、錫杖左方カンテと1ルンゼ。
そして最後に明星左岩稜。それぞれの入門ルートを登ることで、最後の明星では山壁にほんの少しですが、慣れたように感じられました。
今まではトポを見ても実感がわかなかったり、いまいち目標を立てられずにいた気もしますが、来年の目標ができたのは大きな一歩かもしれません。
それには何よりもその時の自分の実力を理解し、目標に向けて何が必要かを考えなくてはいけない、そういう風に考えられるようになった今、やっとスタート地点に立てたような気がします。
来年に向けて、クラック、NP、人工など、課題は山積みですが楽しみでもあります。

この1ヶ月強ご一緒させて頂いた皆様、本当にありがとうございました。
残業パーティーを待つ時の落ち着かない気持ちや、初めてのぶな名物ヘッデン下山、口から内蔵が飛び出してしまうんじゃないかと思うほどの恐怖心。今になれば、みんな無事で本当によかったと思うと同時に、嗚呼、とっても楽しかったです!どうもありがとうございました。

【総括。そして。。。】 A山

8月1日に「10月3連休計画について」という題目で、今後企画することをぶなメールでみなさんにご連絡差し上げました。今回、明星山行が無事終了しましたので、この企画について以下のように総括させていただきます。

1)まず始めに
山はハイキングでも沢でも雪山でも岩でも楽しいものです。
ただ私は岩登りについては、会で企画をするうえで、他とは違う<利点>があると思います。
それは「技術、経験レベルが違う人でも<同じエリア>で自分なりに楽しめる」ということです。
たとえば、フリークライミングでもグレードが違うルートは同じエリアにたくさんあります。
5.9しか登れない人でも5.12目指す人でも、<同じエリア>一緒に行って目指すルートに全力で立ち向かえます。

谷川でもそうです。南稜にアルパインデビューした人の横で南稜フランケ登っている仲間がいる。
中央稜の横で雲稜第一登っている仲間がいる。
それぞれに全力を尽くし、それぞれに満足した気持ちで下山する。
そして下山して仲間と合流し、お酒を汲み交わしながらそれぞれの思い、夢を言い募る。
それが結構簡単にできてしまうのがクライミングだと感じています。

また、<同じエリア>ということに私はもうひとつ意味を感じています。
それは各自のモチベーションに関することです。

自分は初心者として、その岩場に来た。
でもその隣では自分よりうまい人が、自分が目指すルートよりもっと難しいことろに全力で立ち向かっている。
その姿をみて「いつか自分もあんなルートに行ってみたい」という夢を持つ。
その夢を思うなかで、とかく「自分よりうまい人」というのは

・自分より山(クライミング)に時間を割き、
・自分より真摯な気持ちで山(クライミング)に向かっていて
・自分より山(クライミング)のことを真剣にいろいろ考え
・自分ならメゲてしまうようなことが会社や私生活でたとえ起こったとしても山(クライミング)を捨てないモチベーションを持っているような人ですから、その姿を間近に見て、自分の甘いところを自覚し、もっと真剣にやろうとする、もっと練習しないといけないと思う。それが如実にわかってくる。

逆に先輩の立場から、ひと言で言うと「率先垂範」です。自分の背中で後輩を育てる。
いまは自分がリーダーかもしれないが、次のリーダーを背中で育てる。
「いつか俺と一緒にもっと難しい所を登ろうや。そしていつか君もみんなにその姿をみせ、皆を引っ張っていってほしい。」ということを1000の言葉よりもリアリティをもって示すことができる。

後輩でも、先輩もで双方でこのような自覚が生じるのを手っ取り早く実現できるのがクライミングだと思います。
また、企画の面から言えば個々人の自覚アップはすなわち会の活性化ですから、そんなクライミングの利点を最大限に活かすべきと思います。
私はこの考え方を踏まえて、今までも企画をしてきましたし、これからも企画をするつもりです。
また、同じような考え方で、次に続く人が現れる事を心から望んでいます。

2)あらためて今回の企画内容を確認します。

Ⅰ. コンセプト「日々鍛錬するための共有した目標の提供」
明確な目標がないと日々の練習が漠然となって、練習の意味も見出せなくなることがある。
そうするとモチベーションを維持できなくなるので、明星という目標を設定したい。

Ⅱ. 具体的目標
10月の3連休(10/8~10)に明星のルートをリードする。

Ⅲ. そのためのスキル
・左岩稜、左フェース
外岩の10cをRPしていること。
A1のアブミルートをリードできること。
・その他ルート
外岩10cをOSできること。
外岩11a以上をRPしていること。

Ⅳ. そのための経験
これから企画する岩企画ならびにアルパイン企画にできるだけ参加すること。

3)以下総括します。
Ⅰ. コンセプトについて
参加表明いただいた方々は、みなさんコンセプトについては良く理解されていました。
私が言ったからというよりも、いままでやってきたことに疑問を感じていてモヤモヤしていた、なんとなく目標がないことを感じていた、というような人が応募してくれたように思います。
その意味で、「なにか思っているかただた」のなんらかのきっかけになってよかったと思います。

Ⅱ. 目標について
明確なので割愛します。

Ⅲ. スキルについて
この点正直なところ壁でした。
クライミングの性格上、達成グレードというのは明確に出てしまうので、これに達していなければ、即ダメというイメージを与えてしまった部分があります。
実際、お話して明星本番を断念していただいたかたもいらっしゃいます。
私としては、ご本人がずいぶん努力されているのも知っているため大変心苦しく大変申し訳なかったと思っています。
ただここでは単にグレードだけで判断したわけではないことをわかっていただきたいです。

本番にトライできなかったかたがたに言いたいのは、夢がこれで尽きるわけでもないし、努力はこれで十分なわけでもない。企画もこれで終わるわけではありません、ということです。
来年、さ来年も私自身が老いぼれるまでやり続けます。また次に続く人も必ず現れます。
是非モチベーションは維持してほしいです。

明星の本番を終えて、要求グレードの線引きは正しかったと思っています。
いやむしろ「その他ルート」の部分はもっと厳しくすべきだったかもしれません。
実際にフリースピリッツを登ってみて、必要とされるスキルは「11aOS」の実力と感じました。
最新の資料では当該ルートの最高グレードは5.8とありますから、実に5.9、5.10の3段階の開きがあります。
それほどアルパインルートのピンは悪いし、NPセットの確実性が要求されるし浮石に対して慎重すぎることはないし、正確なルート読みの沈着さも要求されるということです。

Ⅳ. 経験について
参加希望されるかたがたは谷川、錫杖と経験を積まれました。
そのなかで自分がたりないところ、補強しないといけないことを自覚できたと考えています。
その意味で、それらの経験は本番に役立ちました。
また全員を束ねるリーダーとしても、山行をともにする回数を重ねることで、その人のことが良くわかり、適材適所の配置の基礎情報を得ることができました。

4)最後に
Ⅰ. 今回の企画が成功だったのか、そうでなかったのかは会員の皆さんのご意見を待つしかありません。
ただ、私としては企画の一つの方向性は示せたと思っています。
これは参加いただいたみなさん(明星に参加できた人も参加できなかった人も全員含めて)の練習と努力と協力がなくては果たせなかったことです。
この場を借り、参加希望をいただけたみなさんに感謝したいです。本当にありがとうございます。

Ⅱ. 途中にも書いたように、「努力はこれで十分なわけでもない。企画もこれで終わるわけではありません。」
今やっている努力は、必ず次につながりますし皆さんの力を全て出し切れるような企画をこれからも考えていきますし、この意思を受け継いでくれるかたも必ず現れてくれると信じています。
また、もちろんコンセプトに同調されるかたであれば新人のかたでも、だれでも問わずみなさんの参加も心からお待ちしています。
皆で励ましあいながら練習し、努力し、経験をつむことで、共有した夢を実現し、その喜びを分かち合えるよう、共にアクションしませんか!