吾妻中津川は、通常白滑八丁から遡行を開始し、藤十郎へ抜けるルートが紹介されます。

今回は、最下流の秋元湖湖畔から遡行を開始し、あまり遡行対象とされない黒滑八丁も含め、かつ、西吾妻方面へ本流を忠実に詰める計画としました。

つまり中津川完全遡行計画です。

◆ メンバー
L M中、H光

◆ 行動記録
7/17
08:00遡行開始‐14:10行動終了
(秋元湖河口‐雷雨のため銚子口を越えて30分ほどで行動終了)

前日深夜、中津川渓谷レストハウスの駐車場に入り、早朝から行動開始。
ここから中津川橋より入渓するのが普通だが、完全遡行を目論見、敢えて秋元湖まで川沿いの道を下る。
秋元湖からは、黒滑八丁と呼ばれる黒光りする花崗岩帯を進む。
途中、水量計測系の付近で、カモシカが優雅に渡渉しているのに出会う。
中津川橋を潜ると、続いては美しい滑と深いエメラルドグリーンの釜の続く白滑八丁の登場。
中津川遡行前半のハイライト!

アクアステルスの強力なフリクションで磨かれた側壁を、時には慎重に、時には壁走りの要領で大胆に進む。
水量が多いとやや困難さが付き纏う場所ではあるが、本日は快晴の真夏日。
躊躇することなく釜に飛び込んでは泳ぎ、白滑八丁を心より満喫しながら遡行を楽しむ。

小一時間進むと、沢は東北の豊かな自然を感じさせる樹林帯の中の遡行となり、やがて大きな釜を蓄えた魚止めの滝に到着。ここは左岸から巻いて、しばらく行くと取水口。
二泊三日の行程だと、ここで一泊目にするパーティーも多い様だ。

この先から中津川中盤戦となり、深い釜を抱える銚子口を抜けるとゴルジュ帯に突入する。
行けるところまで行こうということであったが、14時過ぎに雨が振り出したので遡行終了。
夕方頃には水位も上がり始め、日中遡行した箇所も濁流の中へ。
濡れた薪を集めるものの着火に失敗し、ツェルトで寒い夜を過ごす。

◆ 7/18 05:35遡行開始‐17:20行動終了
(核心の滝群を全て対処し、ヤケノママで行動終了)

放射冷却を恨めしく思いながら、早々に撤収して出発。
やや多めの水量の中を、ヘツリを最大限駆使して進んでいく。
まずは手始めに観音滝の巻き。再び沢底に降りた後も、大渓谷を感じさせるゴツめの渓相が続く。
途中で立派な権現滝を右に見て、やがて大迫力の神楽滝に至る。

夫婦滝10mは左壁をサクっと登り、続く静滝12mも右壁を突破。この辺でまたしてもカモシカに遭遇する。
中津川中盤の快適な遡行を楽しんでいると、遂に核心部の熊落滝が登場。
滝の上部は右に直角に曲がっており、聳え立つ側壁との立体感で、中々荘厳な雰囲気。
この滝は一見、滝下から右壁を登って行く様に見えるが、そのルートだと上部で行き止まってしまうので、正解は100m程手前から右手のヤブを漕いでの巻き道。
ある程度登った後は、踏み跡不明瞭でルーファイの能力が試されるが、運良くすんなりと適当な懸垂ポイントを発見し、一時間半弱で再び沢底へ。

懸垂支点工作中、累計三度目のカモシカ登場。
その後も飽きさせない小滝が続き、赤い沢肌が目立ってきた頃に、遂に中津川渓谷クライマックスの朱滝60mが姿を現す。滝下に近づくと落水に織り成すベールに、小振りな虹のアーチが懸かり、感動のフィナーレを演出してくれている。
この滝は、一般登山者は絶対に見ることができないと思うと、感慨も一塩。
朱滝の捲きも結構手前から始まり、急斜面を登ると緩い樹林帯の斜面に到着する。
トポだと閉鎖された登山道に合流する様だったので、頑張って登ってみるものの、合流した登山道はもはや看板でそれと分かるのみで、無駄に高度を上げず早めに左にトラバースした方が正解。
最早道といえるものは存在しないに等しいので、適当にヤブを漕いで沢筋を下り、煙たなびくヤケノママで幕営。本日こそは焚き火を炊いて、優雅な一時を楽しむ。

◆ 7/19
07:00遡行開始‐09:35遡行終了

のんびりと朝焚火を満喫して出発。途中、本年のものと思われる大崩壊地に遭遇し、巨岩の中を慎重に通過する。
源流地帯は陽光差し込む針葉樹で、中々素敵な雰囲気。
地糖の点在する湿原を辿り、名残を惜しむかの様にヤブと戯れると、木道の登山道に到着。
三日間掛けての中津川渓谷完全遡行を称えるかの様に、M中さんとガッツリと握手を交わす。

登山道からは西吾妻経由でグランデコ下山。磐梯山付近の温泉は近年の噴火で全滅しているらしいので、安達太良の方面まで足を伸ばし、ゆっくりと三日間の汗を流した。