メンバー:Y川L、M中、A澤(会員外)

12/28 晴れ後雪

 塩沢の出合くらいまでは車が入れると思っていたのに、最後の桃ノ木集落?の先にゲートがあり、行き止まり。当てが外れてガッカリ。ここからまだ6キロ程ある。1時間強の歩きに。北風びゅうびゅうの天気になると思っていたのに、風もなく晴れ渡り良い天気だ。でも空気は冷たい。
 丸山谷の北沢と南沢の出合までは狩猟に来た車の轍があり、雪の積もった林道歩きも多少楽にしてくれる。南沢からは谷筋をラッセルしながら行く。渡渉を2回程して、左手から大きな沢が入りこんで来る。赤テープの目印あり。岳沢越えのルートはこの左手から入る沢を詰める。少し行くと10mほどの滝が現れる。ここは巻こうと思ったが、結局氷結している滝を登るのが早いことが分かった。
 
 更に谷筋を詰めると廃屋と化した営林署のたてもの跡がある。時間は昼を過ぎていた。今日中に岳沢越ができるか心配になり、先を急ぐ。建物跡を過ぎ、沢に降りると沢筋が3つに分かれている。良く見ると真中の沢筋の木に赤テープの目印がある。テープのある沢筋を詰める。
 沢筋は新雪が積もり、ラッセルに難儀する。赤テープのある所はそれに従って登るが、だんだん登るにつれ、これで良いのかと訳が分からなくなってくる。ガレ場を少し登った後、右よりに行った方が早く峠に着きそうに思われ、倒木帯に入る。ところが、ひどい倒木帯で失敗したと思った。やけくそになって登ることにした。仲間には悪いことをしたと思いつつ、峠を目指した。
 登り詰めるとナント運良く赤テープを発見。結局、間違ったと思った詰めのルーファイは間違ってなかったのかもしれない。峠は広く樹林に覆われ、見通しが全然効かないので、詰め上がった場所によっては、迷う可能性があるように思う。現在地が峠のどの辺なのか不明だったが、赤テープがその下降ポイントだろうと勝手に解釈することにした。
 岳沢越に着いたのが4時なので、直ぐに暗くなる。磁石を出して、三峰川本谷に下る方向を確認して下降に移る。腰までラッセルしながら、急な樹林帯を30分かけて下ると三峰川の本谷に着いた。そこから岳沢の出合を目指して進むも、谷筋のラッセルは深く、出合直前でタイムアップ。水に近い場所にテントを張ることにする。それにしても、3時頃より雪が降り出し嫌な感じになった。しかし、その雪も夜には止んでくれた。

12/29 晴れ
 7時出発。ラッセルがひどく、F1の下に着いたのが10時。出合からF1まで3時間かかったことになる。今日中に予定のF8の上まで行けるか甚だ怪しい。ノーザイルでF1を越えF3の下に着いたのが10時半になっていた。
 F3は幅もある傾斜の強い大きな氷瀑だ。左側は垂壁で高さもある。右寄りにルートを取れば、垂壁部は少なくて比較的簡単に越えて行けそうに見える。リードのA沢さんは右寄りにルートを取るのかと思ったら、そこにたどり着くまでのラッセルが深くて真中の氷に取り付いてしまった。荷物を背負ってであ正面から見ると、傾斜がそれ程ではないと思っていたが、とんでもなかった。

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 真中を登り始めるも、普段はテンションを取って登らない彼が、テンションを取りながら登る。荷物を背負ってはきついのだろうなと想像できた。それでも落ちることはないと思っていたので、中段あたりで頭を下にして墜落したのにはビックリした。5mほど落ちたが幸いケガは無かった。再度空荷で登り直し、荷物は荷揚げする。スクリューを回収しないといけないので、フォロ-で荷物持って登ってみたが、きついの一言。M中さんには右を登るようにアドバイスする。F4の氷壁は左側を登る。先を急ぐので、登攀ラインは易しい所を攻める。
 F5~F7はノーザイルで行く。滑滝は新雪が被ってしまっているようだ。傾斜の強い部分のみ、露出している感じ。谷が左に曲がるとその先にソーメン流しのF8が見えてくる。この時、すでに午後4時前。ソーメン流しの下でテントを張るかどうか迷う。突っ込めば、途中でヘッデン登ハンになる。しかも、核心部をヘッデン登ハンである。普通はヘッデン登ハンは避けるべきなんだろうなと思いながら、今日中に上に抜けたいと言う気持ちも強かった。A澤さんの口から止めようと言う言葉が出て来ないことを幸いに決行することにした。
 
 下半部の岩壁の下までノーザイルで行く。ここで、スクリューで支点を取る。1ピッチ目、滝の左寄りに30m伸ばす。ここから滝の落ち口まで見えるが、50mで足りるのか分からない。見た感じでは50以上ある感じに見える。ここまではまだ明るかった。しかし、最後の核心のピッチで真っ暗になってしまった。ヘッデンを点けないと見えない。もしリードのA澤さんが落ちたら、こんな暗闇のなかで何ができるかと考え、やはり無謀だったかと思い始めた。20mほどはザイルが順調に伸びていく。下からは最後の氷瀑を登っているヘッデンの明かりがチラチラ見える。ザイルが30mほど出た所で解除のコールが聞こえて来た。安堵で胸をなでおろした。2番目にM中さんが登り始めたが、最後の核心の氷瀑の前でブツブツ言いながら、夜間登攀を呪っているようだった。
 私はM中さんに私のザイルを切らないでと懇願した。最後に登った私はこの核心でなんと2回もアックスがすっぽ抜け、真っ暗な暗闇の中を遊泳した。高度感がないのは有り難いような、薄気味悪いような感じである。ソーメン流しは下から見るとスゴイ氷瀑だが、実際は登ると最後の10mくらいが核心と言うことが分かった。暗闇の中を登ったのでソーメン流しの上の方は見ることはできなくて残念だった。
 滝の落ち口に3人が揃った時には、<やった!>と歓声をあげる。時間を見ると6時だった。落ち口の上は良いテン場で直ぐに整地してテントを張る。雪を溶かして水を作り、食事を終え、明日の準備をしてシュラフに潜ったときは10時を回っていた。予定の場所まで来れて充実の1日となった。

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12/30 晴れ
 7時出発。F9でザイルを出した以外その上には大した氷ばくもなかった。しかし、ラッセルは深くしんどい。奥の二俣からは大仙丈岳に向ってルンゼがまっすぐに伸びている。明るく広々としてアルペン的な景色である。
 ここまで来ると、雪も締まって登行も楽になる。快晴の天気の中、大仙丈岳に辿りついた。パノラマを楽しむも風強く、寒い。あとは戸台まで下るだけだ。
 
 大仙丈岳 10時着。
 仙丈岳  11時着。
 北沢峠  13時着
 丹渓山荘 14:30着。
 戸台   17:00着
 
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しかし、思った以上に仙丈からの下山は長かった。戸台に着いて、タクシーを呼んで車まで戻った。やっと、これで課題の岳沢が終わった。

岳沢クライミングは出合から3000m近い稜線にアイスクライミングでダイレクトに抜けるルートである。日本にこれに類するルートは黄蓮谷の右俣くらいではないかと思う。ただ、黄蓮の右は無雪期でも登れるが、岳沢はアイスの時しかダイレクトに登れないと言う美味しいルートなんですね。