槍ヶ岳 西稜 2014/5/3-5

アルパイン(雪山)

Y川です。
槍ヶ岳西稜の報告です。

【メンバー】
Y川(L.記録)、A(会員外)

5/3 晴れ後雨
昨年の5月にトライして失敗。もう飛騨沢を登るのは勘弁してほしいと思って、再挑戦はないと思っていた。ところが、懲りずにまた5月に飛騨沢を登っていた。

新穂の駐車場を朝7時に出て、槍の肩の小屋のテント場に着いたのが午後4時を回っていた。飛騨沢を登る途中から雨になり、稜線は地吹雪状態だった。疲れたからだでさらにテン場を作るのに30分かかり、ヘトヘトになりながら何とかテントを設営した。
一旦、衣類を乾かすために小屋に退避する。テント代一人1000円だから、遠慮なくストーブに当たる。明日の予報は天気はいいが朝方風が10mくらいあるらしい。気温はマイナス3度。風が問題だ。

5/4 晴れ
3時起床。テントは一旦畳んで、飛ばされないようにブロックを積んでデポして行く。風が強そうで気が滅入るせいか、小屋を出たのが5時を回っていた。一般登山道からルンゼを下降していく。

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クラストしている。怖い傾斜なので、時々バックステップで下る。心配した風は登攀を中止するほど大したことはなさそうだ。昨年西稜に取り付いた地点よりさらに下降する。小槍の全景が良く見えるところまで下降する。

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西稜への取り付きはいちばん雪の付いた斜面に取り付いた。一応、取り付く前にその地点からさらに200mくらい下まで下って、西稜に這い上がる地点を確認した。取り付きから3Pで大テラスに着いた。それから、

1P目 50m(Y) 大テラスから被り気味の岩の下まで。途中、支点のない所を登ることになり、ハーケン1本を打つ。ランナーの取りにくい場所だった。

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2P目 15m(A) ドライで被り気味のところを越えていく。残置ハーケンあり。必要に応じてカムを決める。

3P目 40m(Y)真上にくの字ジェードルが見える。くの字ジェードルまでのピッチ。残置ハーケンもあるが、カムの方が信用できる。易しいピッチではないが、私でもなんとかなった。

4P目 20m(A)核心。左上のワイドクラックなので、Aさんがアックスを使うかどうか迷っている。結局、使わないで登り始める。
3mほど登った所で苦労している。残置支点は3m程間隔であるが、アブミ間隔ではない。結局、アックスを取りだし、クラックの中の岩にアックスを引っかけながら、少しずつ登って行く。アブミは使わない。左側の壁にモノポイントで立ちこめるような弱点がないので、難しいのである。体をづりあげるのだが、左足の置き場がないのだ。なかなか体があがっていかないので、こちらも固唾をのむ。
カムにテンションを掛けながらやっとくの字の下を突破。さらにその上は氷の詰まったクラックのフェースで難しかった。ザイルが20mほど伸びたと ころで解除のコールがあった。ビレの方も緊張した。この20mを伸ばすのが大変だった。
佑介さんのトポにもあるように、5.9のピッチをドライクライミングする内容だった。この場所でこんなクライミングをするとは、西稜恐るべし。自分がリードの順番でなくて良かった。登りながら、こんな難しい所はリードできないなと思った。

5P目 30m(Y)右に回り込んで、小槍の山頂に続くフェースを登る。核心を越えたので、気分が軽い。

6p目 30m(A)小槍の山頂まで。山頂から小槍のコルまで35mの懸垂下降。

7p目 50m(Y)コルから曾孫槍まで。10mほど雪の大テラスを移動。

8p目40m(A)大テラスから右の凹状部を登って、孫槍のフェースを登る。ルートが判然としない。

9p目20m(Y)孫槍山頂懸垂下降点まで。懸垂下降10m。

10p目40m(A)稜を一旦下降して、山頂に伸びている稜に移る。途中、リッジを登る箇所でとても嫌な所がある。アイゼンの爪を置く場所がなくて、私はアックスを岩に引っかけて体を持ち上げた。

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11p目20m(Y)大槍の山頂まで易しい岩稜を登る。

2人が山頂に合流したのが4時40分過ぎだった。ろくに水分も食べ物も取らずに登攀していたので、本当に疲れた。北鎌の方からも登ってくるパティーもいて、山頂が賑わった。登攀具を仕舞い、記念写真を取って降りることにした。

テントを設営し直したあとは、小屋に入り祝杯をあげた。(私は飲めないので、格好だけ)明日の天気を調べると、悪い。朝から稜線で20mの地吹雪になっている。ヤレヤレだけど、飛騨沢乗越しまで行ければ、何とかなるでしょう。

5/5 地吹雪から雨
4時に起床して、テントを畳み地吹雪の稜線に突撃する。呪いたい様な天気。顔に当たる氷片を我慢して、フラフラしながら乗越しに下った。
しばらく強風と格闘しながら、雪渓を下る。樹林が出てきた所で、雪雲から脱出。アイゼンを脱いで、ひたすら下る。下るに従い雨足がひどくなる。滝谷を越えたあたりからヘリが盛んに飛んでくる。後で防衛大パティーの遭難で飛んでいたことが分かった。

新穂の県警の詰め所で下山届を出そうとしたら、横にO田さんがいたのでびっくりした。
彼たちも飛騨尾根から下山してきていた。
駐車場の車に着いて、長い下山が終わった。西稜への思いも。

コースタイム( 全14pと2回の懸垂ルート)

(5:15)槍ヶ岳山荘出

3p ルンゼ~西稜~大テラス
(7:35)大テラス(7:50)から
1p 50m Y) 大テラス~バンド
2p 15m A) バンド~ハング帯越え
3p 40m Y くの字直下まで
4p 20m A) くの字ジェードル
(11:50)
5p 30m Y) リッジを回り込んでフェイス
6p 30m A) 小槍山頂まで
(12:40)
懸垂下降1ピッチ35m
7p 50m Y) コル~曾孫槍
大テラス歩き
(14:10)
8p 40m A) 大テラス~孫槍中腹
(14:50)
9p 30m Y) 孫槍ピークまで
懸垂下降10m
10p 40m A) 大槍山頂直下まで
(16:20)
11p 20m Y) 大槍ピークまで
(16:45)槍ヶ岳山頂(17:00)

登攀装備 :60mダブル2本、(*50mダブルの方が使い易い)
カム C#2×2、#1×2~#0.4、マスターカム#1~3 、ナッツ1セット
ハーケン数枚
クオーク各2、モノポイントアイゼン
アルパインヌンチャクなど
(Y川)

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