メンバー:M藤L、H田

2時30分起床、3時30分行者小屋テン場発。いつも通り二日酔い。いつも通りシェラフに入ることなく寝落ち。いつも通り体調は悪い。
摩利支天沢出合いにデポしておいた登攀具をピックアップし、大滝へ向かう。
暗闇に浮かび上がった摩利支天大滝は、去年より高く聳え、不気味オーラを放ち、我々の登攀意欲を剥ぎ取る。

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1ピッチ(M藤)
いつの間にか空は雲に覆われ、風が 強くなる。滴る水が風に舞い、バイザーが凍りつく。真下まで進みラインを確認するも、ヘッデンでは暗くて判然としない。適当に中央部に取り付く。傾斜が緩いと思われたスカート部もかなり立っている。中間部まではツララ状で体感ハング。かなり悪い。よろしく無いラインに取りついてしまったようだ。
それにしても暗闇のプレッシャーは大きい。こんな悪場はトップギアに入れてカウンターで手数減らして一気に越えなきゃいけないのだが、わかっていても、精神的に負けて攻めのムーブが出ない。明るきゃ打ち直さないピックを何度も打ち直す、保守的ムーブ。クソ!「激辛」

2ピッチ(H田)
20メートル程先に見える滝の基部までルンゼを行く。去年は雪に埋もれていたのだろう、この滝はなかった。

3ピッチ(M藤)
小滝を越えてロープ一杯伸ばした立木でピッチを切る。登山大系のトポにある35メートルの氷瀑が見えるが繋がっていない。
ここでロープを畳んで支尾根をラッセル。ガスの切れ目から北西稜が姿を現す。アルパインチックな景観が素晴らしい。想定していたより手前から北西稜に上がった方が良さそうだ。左よりに進路をとり北西稜に取り付いた。

Ⅱ級のリッジはノーロープで前進し、第1岸壁下部まで。

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4ピッチ(M藤)
リッジ右側のバンドを20メートル行くとルンゼが現れる。草付き混じりのルンゼを直上するが、薄く被った雪は不安定でホールドを隠すばかり、手掛かり足掛りにはならず、意外に悪い。デナリ研ぎのアイスピックが減るのをケチって、ソロソロと引っ掛けで登る。命より財布の心配する。
60メートル一杯に伸ばしても、上部岸壁のビレイ点まで届かない。H田さんに1ピン目まで前進してもらいビレイ点まで上がる。

5ピッチ(H田)
第2岩壁左側にあるバンドのトラバースルート。上体がのけ反る箇所もあり、フカフカサラサラの新雪が乗ればⅣ級なのかも知れないが、今日は心配無用。

6ピッチ(M藤)
ビレイ点から戻るようにバンドを右上し、Ⅳ+A0 or アブミラインへ。
ここはドライツーリングでトライ。スラブだけに手足細かく、A0無しだとバランス悪くクリップが渋い。下部を慎重にこなし、上部はトルキングでバイルにぶら下がり、リッジへバイルを引っ掛けて終了。ここは岩も硬く面白い。

リッジを前進し岩陰で暫し休憩。阿弥陀岳山頂経由で中岳沢を下りテン場へ戻る。

 
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(M藤感想)
八ヶ岳バーチカル御三家最難の摩利支天大滝を従えるこのラインは、アイス、リッジ、ラッセル、ルンゼ、草付き、ドライツーリングと変化に富み楽しい。
暗いうちに摩利支天大滝をサクッと登ろうと企てたが、昼間登るのとは大違い。ほんの少しでも寝てる滝ならともかく、パッチパチのバーチカルにヘッデンは厳し~い!

(H田感想)
今シーズンの八ヶ岳エリアは、12月の赤岳ショルダーリッジ右から始まり横岳西壁の雪岩稜とアイスルートをこなし最終的に雪岩稜は阿弥陀北西稜とアイスは摩利支天大滝に辿り着くと考えていたところに、M藤リーダから摩利支天を夜間登攀しサクっと抜けて北西稜を継続するというガッツリ系の計画を聞かされ盆と正月が一緒に訪れた感覚。
真っ暗闇に浮かぶ摩利支天大滝は不気味なぶっ立ちバーチカル。
北西稜まではルンゼとリッジをラッセル。北西稜はちょっと悪い草付きや最終ピッチをアブミを使わずドライツーリングで抜けるなど、ガッツリ系の総合力を試させるようなこれぞアルパインというルートでした。