■メンバー

L A久T也, S津A子, K池M沙美, S田S子

■タイム

1日目 8:30 セミナーハウス出発 – 12:00渡渉 – 15:30 尾根末端600m付近で幕

2日目 6:10 C1出発 – 12:00敗退決定1,100m付近 – 15:30 セミナーハウス-15:50スキー場帰着

 

またまた八海山計画しました。今回は去年3月に登ったアラチ沢右稜のお隣、生金沢左稜。この稜はわずか650mから雪稜となり、いくつかのリッジ、小ピークを越え1,364mのジャンクションピークでアラチ沢右稜と合流。その後、弧を描くように、ゆるくうねりながら1,650mの千本檜小屋へ登り詰める。

さらに八ッ峰を縦走し大日岳を周遊してくる3日間のプランだったが、年末年始の寒波で降り積もった新雪との格闘に終始した山行となった。

 

●1日目(記:K池)

私とS田さんはA久さんから事前に宿題をもらっていた。私の宿題は前夜泊場所と下山後のお風呂の情報を収集すること。

通常御用達の八海山スキー場やパークホテルの感触がよくなかったため、金曜夜は塩沢石内SAで車中泊した。早朝にパークホテル付近に車を進めると、立派な建物は日大セミナーハウスで、パークホテルは3年前にクローズしていた。そこでの駐車は断られ八海山スキー場に行く。

以前はスキー場の施設内で仮眠出来たが今シーズンはやはり開放していなかった。六日町ICからスキー場に向かう途中のコンビニは駐車場が広かったので、次回はそこで仮眠も可能だろう。

この日の朝は小雪、あまり寒くは無い。S田さんの宿題は過去1週間の天気と山行中の天気予報を調べてくること。1月5日時点の彼女の報告は以下のとおり。

「前日比で約35センチの積雪。24時間あたりの降雪量は湯沢で50センチ。6日も一日降雪の予想。8日は冬型の気圧配置は緩むが、9日から10日にかけてはまた荒れそう。9日は日中気温が高い。」行きの車の中から気象係りとしてしきりに警告を発していたが、パーティは転進する雰囲気無し。とりあえず新潟の雪にまみれてみよう!

8:00前にスキー場を出発。車道を歩きセミナーハウス方面に戻る。道が左折する場所で、いよいよ雪原にエントリー。S津さんが一歩踏み出すと、海にダイブしたように首まですっぽりはまった。深い。。。

セミナーハウス前に移動し、ショートカットしようとしていると近所のおじさんが登場、そのルートは斜度が急だからやめろと言う。仕方なく最初のダイブポイントに戻りスタート。なんだかんだ9:00近く。

そこから交替で腰~胸の空身ラッセル。屏風沢を渡るまではほぼ水平の雪原、労力のわりに先ほどのセミナーハウスが全く遠ざからない。女性3人が踏み固めた後でも、天久さんはズボズボはまり大変そうだ。

ようやく沢に下り、渡渉。川幅3m、水深5cmくらいで楽に渡れた。この時点で12:00。600mくらい進むのに3時間かかった!

この後はほぼ夏道沿いに林間を進む。膝~腰のラッセル。休憩はトップ交替時に各自でとることにしてとにかく進む。S津さんはとにかく元気。S田さんもルーファイしながら果敢にラッセルする。

途中少し青空が覗くようになった。やっぱり陽が当たると気分がいい。15:30にお目当ての生金沢左稜の末端に到着。ここで幕営とする。

A久さんが沢で水を汲んできてくれた。水作りが無いと楽だ。ガスを景気良くたいて濡れた物を乾かす。A久さんの新しい靴が異常な濡れ方をし、翌日心配。テントは激しく結露して、拭いた布を何度も絞る。夜ごはんはA久さんの特製ちげ鍋。しめの辛ラーメンは意外とよい食感。明日はどうなるかな。。。

 

●2日目(記:A久)

6時過ぎ、ヘッデンを点けて歩き出す。昨日より、ほんのチョットだけ雪が締まったような気がしたけど、それはまだ覚めぬ夢の続き。やっぱり最後尾を歩いてもズボズボはまる。

空荷の激ラッセルが今日も始まった。暗いうちにスギ林を抜けようとエースS津さん中継ぎS田さんを早々に投入するも相手は手強く、すっかり明るくなる。スギ林を抜け尾根の右側から雪壁を詰め、待望の雪稜となる美味しい所はヤブガールのK池さんが決めてくれた。こんな華麗なラッセル継投策を講じるも、実はまだ標高50mしか稼いでない。A久などは相変わらずズボズボやってて、全く良いとこ無し。

尾根にのっても雪は締まらず、相変わらずの腿~腰ラッセル。傾斜がキツイところは胸までつかえる。とはいえ、「やっと雪稜に来た!」って感じで小池さんは嬉々としている。昨日、早々に敗退しなくて良かった。

昨夜、4cmくらい積もったようで、手でかくと表面の層が剥がれる。隣の斜面を見ると表層が破断し落ちているのが見える。

途中、尾根状が消えるポイントでは、先頭のS田さんが「どう行くか判らんっ」と言いつつ、雪に埋もれつつも根性で雪壁をトラバースしリッジに乗りなおす。スゲーな、お前!

急な雪壁でA久が先頭を行ってる時、足元でボコッと腹に響く鈍い音。S津さんと顔を見合わせる。「雪が切れた?足元振動した?」

雪が破断した音。ここ数日の新雪はまだ締まりきらずにいるので、雪崩と雪庇に注意しながら尾根に忠実に歩を進める。

徐々に風が強まり雪も混じりはじめ、真っ白な稜の輪郭と空中の境目が判別できなくなってきた。先頭は空荷で雪と格闘し汗だくだが、後続は黙々と寒さに耐えながらの行進となる。

先頭を代わり、ザックを取りに戻って行動食を採っている間、みるみるうちに今引いたトレースが消えはじめた。

この時点で既に11時。標高はまだ1,000m。先の見通しを考えると、1,364mピーク到達も無理っぽい。この日の午後から天気は崩れ、翌日に向かって冬型が強まる事はわかっている。3日間じゃヌケラレナイ...

安全な昨日のテン場まで戻るなら、前進は14時がリミット。なんて考えながら先を追う。

パーティに追いつくと、足元には真新しい亀裂。今しがた雪庇が落ちたと言う。「ここから先はリッジがうねってるし雪庇も出てるしロープだね。」「でも、もう12時だしロープ出して進んでも、また戻ってこないといけないから、ここで帰ろっか?」

と言う事でワカンをアイゼンに替え、さっさと降りることに。今回の到達点で雪に埋もれた松から、マツボックリをひとつ持ち帰る。敗退マツボックリ、次回戻しに来よう。

そうと決まれば下りは早く。6時間かけて登ってきた稜も1時間で下りきる。高度を下げると風も雪もおさまり、穏やかなスノーハイキングの様。前日1日掛かったアプローチも2時間掛からず、この2日間の激ラッセルが嘘みたいに、あっけなく下界へと帰還。

やっぱり、1月の越後は厳しかった。湿った雪で全身ビショ濡れ、足のつかない新雪のラッセルは相当な消耗戦だった。でも安全策で中アへの転進をしなくて良かった。この時期の越後の雪深さを体感出来た事。敗退がバッチリ決まった事。2,000mにも満たない、人の来ないエリアとはいえ、山に全力でぶつかり、抜けられなかった事がむしろ清々しい気分。また、ここに戻ってこよう。