日高山脈 ヌビナイ川~ピリカヌプリ、ソエマツ岳、アポイ岳 2008/8/8-14

沢登り

夏休みの北海道の沢の報告です。ヌビナイ川からピリカヌプリとソエマツ岳に登って来ました。
北アルプスの赤木沢にも似てとても美しい沢でした。

行者大蒜(お浸し)やミント(リキュールのフレーバーに使用)の収穫もありました。
一晩だけですが「トマの風」のお二人と、焚火とテンバが一緒になりました。

また、予備日を使って、花の名山のアポイ岳にも登ることができました。襟裳岬の散策もできました。
天候に恵まれて、盛夏の山旅と北海道の涼風(と味覚)を満喫することができました。

8月8日(金)~14日(木)
北海道 日高山脈
(1)ヌビナイ川 右俣 左沢遡行~ソエマツ岳~右沢下降
(2)ヌビナイ川 左俣 右沢遡行~ピリカヌプリ~右沢下降
(3)ポンサヌレベツ川 アポイベツ沢 左俣遡行~アポイ岳
(4)アポイ岳 フラワートレッキング

S藤A子、T山T雄、S田Tむ、S藤H明、S見K子、S口M恵

ピリカ・ヌプリはアイヌ語で「美しい・山」、ヌビ・ナイは「その・草原の川」、ソ・エ・マツは「滝・そこに・ある・もの」の意味とのこと。

ピリカヌプリは岳人(雑誌)が選ぶ日本マイナー12名山ですが、ルートにとったヌビナイ川右俣は、主だった滝には明瞭な踏み跡があるなどいくぶん人臭く、一方のソエマツ岳は連続する小滝群も困難で、本当の意味でのマイナー名山でした。

予備日を使って登ったアポイは「火の儀式の山」の意味。日高山脈が標高を下げ太平洋に沈み込む寸前の山で、標高は僅か810mながら、津軽暖流と千島寒流の衝突による霧で陽差しが遮られることが多いため、夏なお冷涼な気候を保っています。そのため、本州では3000mクラスの山でしか見られない希少な高山植物を多く見ることができます。

また、太平洋側の気候で低山のため、融雪が早く冠雪が遅く、5月から10月までの長い間(6ヶ月間)さまざまな花を楽しむことができます。

◆8月08日(金)快晴
・十勝帯広空港から一路ヌビナイへ、しかし、タクシーのドライバーさん曰く「林道が崩壊で入れない・・8キロくらいは歩かないといけない。」・・とのこと・・愕然!

・いたしかたなし、今日は中二俣までの予定だったが、林道終点あたり(下二俣)に泊まることにしよう。それにしてもまだホカホカの熊の糞が一定間隔で現れて、気が気じゃない。熊スプレー噴射の予行演習をしてみる。

◆8月09日(土)曇り~雨~曇り
・快適なテンバを後にいざ出発。昨日の林道歩きの帳尻をなんとか合わせなくてはならない。がんばろー。その前にGPSで現在地を確認すると・・なんと!ここは熊ノ沢!またまたロス!これは敗退か?と思ったが気を取り直して、正しい地点まで戻ることにする。

・2時間ほど退屈なゴーロを歩いて中二俣、いよいよ核心のゴルジュに突入する。ここは5ヶ所ほど恐ろしいところがあるらしい。だいたい右を巻くのだが、技量よりも「運が悪い」と落ちるらしい。

・眼下、深く刻まれたゴルジュには咆哮する激流が狂ったように飛沫を上げている。落ちたら死ぬ。微妙に外傾したステップ、今にも剥げ落ちそうな泥の縁にじんわりと乗ってやり過ごす。

・核心を5時間かけて抜けると、涼しげなナメとコバルトブルーあるいはエメラルドグリーンの釜の連続になる。「日本一の七ッ釜」にも出会うことができた。実に美しい。

・上二俣にテントを張って、薪を大量に集めるが、夕方からの雨でタープ下での宴会となる。(S田さんの「洗濯紐」が大活躍でした。)

◆8月10日(日)曇り
・今日はソエマツ岳ピストンだ。右俣に入って二つ目の二俣を左に入る。なるほど!噂に違わず「赤木沢」だ。美しい滝をぐんぐん登って行くと、流れは次第に細く急峻になって、最後の二俣状の滝をS田さんリードで左に抜けると水が消えた。

・さして困難でもない藪を地道に漕ぐと、ソエマツの鞍部に飛び出す。スカイラインをしばし辿って山頂に立つ。

・さて下降だが、登ってきたルートは、かなりな回数の懸垂を強いられそうなため、山頂からダイレクトに右俣を狙う。これが大正解で、一回もザイルを出すことなく、上二俣のテン場に戻ることができた。

・焚火にあたりながら寝ころんで飲んでいると、熊ノ沢からピリカを抜けて下降してきたというトマのお二人が現れる。適当なテン場が見つからないとのことだったため、我々の広いテン場(一人占めしちゃいけないし・・)と焚火を提供することにした。

◆8月11日(月)快晴
・フィナーレを飾るのは「美しい山=ピリカヌプリ」だ。ピリカに詰め上げるこの左俣の方が本流らしく、昨日の右俣よりも水量が多い。それにしてもここはもっともっと「赤木沢」だった。美しいナメ滝とエメラルドグリーンの釜が連続する。

・水が消えて、三俣(正確には四俣)の真っ正面のガレを忠実に詰めると、ほどなく稜線に出る。少し恐い痩尾根を辿るとピリカの山頂に立つ。山頂からは360度の大展望、美しい日高の山々に酔いしれる。

・日高の山は緑豊かで、一見柔和な表情を見せるが、山稜に向かって突き上げる谷は、いずれも深く急峻で、痩せた尾根には露岩が牙を剥いている。

・同ルートを下降して、上二俣のテントと荷物を撤収して、核心のゴルジュを抜けるまで頑張ることにする。

・5ヶ所の核心はS田さんが張ってくれた「荷造り紐」のおかげで安心安全に通過することができた。

・ゴルジュ出口の快適な礫地にテントを張って、大焚火と花火大会を楽しむ。

◆8月12日(火)快晴
・2時間ゴーロ+2時間林道=4時間で(ピリカの山頂から携帯で予約していた)ジャンボタクシーに乗る。

・レンタカーを借りて(これまたピリカの山頂から携帯で予約していた)襟裳岬の突端のお刺身旅館「さんすいかく」に入って、土地の名産の真つぶ貝のお刺身(コリコリで美味)に舌鼓を打つ。

◆8月13日(水)曇り
・S田さん(一人、襟裳岬の散策)以外のメンバーで、アポイ岳のミニ集中を行う。S見+H明は沢ルート(アポイベツ沢左俣)、A子+T山+M恵はフラワートレッキングルートからアポイ岳に向かう。

・少し時間差はあったが山頂ミーティング大成功!夜は鹿ステーキでえりもワイン。

◆8月14日(木)晴れ
・襟裳岬の浜辺を散策したり日高昆布漁を見学したり・・・流行りの花畑牧場への道路は大渋滞。生キャラメルは売り切れでした。

・幕別のモール(古代の草木の発酵熱)温泉に入って、〆の宴会では、帯広名物の「豚丼」をいただいて、JALの最終便に乗る。

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