越後 水無川 オツルミズ沢 2010/9/24-26

沢登り

◆S藤H明

オツルミズは、今回で2回目の遡行になるが、前回の記憶は当てにならず、状況は、随分と違っていました。とりわけ巨大かつグロテスクなスノーブリッジは絶悪でした。

天から降ってくるような巨大な滝滝滝に、ただただ圧倒された3日間でした。

<かぐら滝(80m)>

前回は、乾いた右壁を快適に登ったが、今回は、地元のおじさん新道に騙されて、迷走の挙げ句、奈落の底を覗くような急斜面のヌルヌルトラバースを強いられ、恐怖で喉カラカラ。懸垂したところが落ち口でした。

<さなぎ滝(5段200m)>

天空から一直線に落ちてくる巨大な滝。威圧感がモノ凄くて、身震いしてしまう。7ピッチほどの岩登りで落ち口に出るが、核心の一枚岩は、なかなか難しい。すでに夕暮れ時、抜けて、よいテン場を確保しようと、取り付くが、壁の中でヘッドランプになる。苦しい姿勢でハーケンを2枚打って、なんとか抜けるが、もう真っ暗。先般のマルトーに続いて壁中・お座りビバークとなる。

灌木に支点をとって繋がって眠るが、ウトウトすると転落しそうになるから、熟睡はできない。私は、シュリンゲで宙吊りハンモックを作ってみたけど、あんまり快適じゃなかったです。

翌朝、恐ろしい胸壁をジリジリとトラバースして、落ち口ピッタリに出る。

ここから先、泳ぎやらツルツルやら数えきれないくらい、いろいろな滝が出てくる。陰険なゴルジュは、少し奥に入って左壁を登るが、一歩が出ない。ハーケンを入れて、少し伸ばして、次にカムを入れるも、引くとリスが開く・・こわ。

<大滝(100m)>

一見して寝て見えるが、デカ過ぎて恐い。よって巻くことにしたが巻きも悪い。ザイルを出しまくって、やたら時間が掛かってしまう。それでも、ジャスト落ち口に出る。

大滝を抜けて、今夜はこそは、横になって寝てみたいとのことで、早速テントを張って、宴会モードに突入する。雨が降ったらエスケープする覚悟で、主要装備を逃げる側の岸に置いて、水線から3センチの場所に張ったが、深夜、パラパラと降ってきた。しかし、眠気が勝ってダメ。朝まで降ったり止んだりしたが、顕著な増水はなかった。

今日は、昼には抜けられると、意気揚々と歩き出すが、面倒な滝が次から次ぎへと執拗に出てくる。

<スノーブリッジ>

前回、快適に上を歩いた雪渓は、巨大かつグロテスクなスノーブリッジになっていた。覗くと・・向こうからウッスラと光が見える。走る、ただただ走る、ジャバジャバ走る、心臓が破裂しそうだ。目前に絶望的な30mの垂直の滝が立ちはだかる。ふと見ると、左からも光が漏れている。その先に緩めのルンゼが見える、助かった、躊躇することなくルンゼを駆け上がる・・小さなテラスに出てると、雪渓が眼下になる・・ほっ。

続く35mの滝は、前回は、雪渓の上から、右の急な草付に取りついたが、今回は、雪渓が無いため、5mほどのツルツル壁が露出していてまるで登れない。仕方ないので右岸を大回りする。

そこから先も滝場が延々と続く。デカイ滝を越えると、また、デカイ滝が現れる。これの繰り返し・・シツコイ、もうウンザリ。

落ち口直下まで登ってから、登るも下るもできなくなった滝があって、これには参った。ハーケンを打つ適切なリスも見あたらず、焦る。右の泥壁にバイルを打って、ジリジリと体を上げて、灌木の突端を掴んでなんとか抜ける。

最後に、細流を行くと、駒ノ小屋に出た。既に真っ暗だったが、翌日、みんな仕事なので、下山することにする。

下山は23時30分、帰宅は翌朝6時、そのまま職場へ向かう。おもしろかったー。

<やたら時間がかかった理由>

1.下手

2.かぐら滝のおじさん新道での迷走

3.スノーブリッジ

4.ザイル出し過ぎ

 

◆S口M恵

オツルミズ。沢をやらない人でもこの沢の名前だけは知っているという超有名どころ。大昔、ぶなのS口君がカグラ滝で転落して大怪我を負ったという過去がある。S口君は当時20代はじめ。体力抜群、のりのりだったはずだ。今の私は当時の彼の母親の年齢だ。大丈夫かしらん??駄目かもしれん。

初日は因縁の80mカグラ滝越えから始まる。ネットの記録に出ていた地元のおじさんが作ったという巻き道を使いカグラ滝の取り付きに出るはずが、なぜか大高巻きになってしまいカグラ滝の落ち口に出てしまう。大高巻きはしんどかったが、木をつかめるので怖くはなかった。体力勝負といったところ。ここで体力80%を使う。

ここから深い釜を持った滝が続き、よれよれになりながら進むと、絶対にムリという感じのゴルジュ出現。ここは右をなが~く高巻く。この頃になると滝滝、巻き巻きの連続に神経が麻痺してくる。

しかし、オツルミズの主役はここから登場する。サナギ滝200mである。最初、右手前の潅木帯に取り付き、バンド状の岩場から垂壁へ。すでに夕暮れていたので私はバンドでビバークしたかったが、明日からのことを考えると垂壁を越えてしまったのは正解だった。真っ暗な中、なんとか座れる場所を確保し、行動食を夕食とし眠りについたのは何時だったか。座っているといっても足ぶらぶらでは眠れない。でも他の2人によると私は眠っていたという。

二日目はいきなりの足元見えない下りトラバースから始まる。絶望的な気分だが、なんとぴったりサナギ滝の落ち口に出た!!今日はとにかく大滝を越えてテントを張りたい、うまくいけば小屋までと、泳いだり、巻いたり、とにかく進む。

100m大滝は明るいスラブ滝であった。水量が多く滝を登攀できる状況ではなかったのは残念だった。大滝を越えてすぐの所でテントを張る。小屋まで行けるかもという考えは、大甘だった。とにかく暖かいものを食べれて横になって寝れたのでよしとしよう。

今日は最終日。難場は無いはずだが、やはりそんな事は無いのであった。昨日までは沢登りというより、岩登りといってもよい渓相だったが、今日は難しい沢登りといったところ。ひとつひとつの滝がそれなりにいやらしい。

目が点になる。雪渓が巨大なトンネルになっている。これがスノーブリッジというのか。初めて見た。私はこれほど素人である。他2人が無言で走り出したので、私も追いかける。ここが危険であることは私にも分かるのである。ルンゼを四足で駆け上りあっという間にトンネルを抜けた。抜け出た草つきのなんと気分が良かったことか!日が燦燦と降り注ぎ、これで縦走路に出れれば最高なのだが、ここから延々沢が続き小屋までたどり着けたのは、夕方6時過ぎ。真っ暗になっていた。体力残り10%で5時間の下山路をなんとかこなし、生きて帰って参ることができました。

 

◆I嵐F彰

「落つる水」は楽勝ではねってばて..オツルミズとは、すなわち「落つる水」だと。天から水が落ちてくるかごとくの大滝から名付けられたらしい。登山体系には200mとも書かれたサナギ滝はまさにそんな感じだった。

参考にしたおやぢれんじゃあ隊とトマの記録は1泊2日で抜けているので、我々精鋭隊もうまくいったら1泊2日、悪くても2泊目は駒の小屋泊まりをもくろんで早朝から入渓した。

しかーし、前日までの大雨で入渓ポイントは隊長曰く、前回の5倍の水量だという。とりあえず、行けるところまでということで、早くも暗雲がたれ込め始める。記録を参考にして、入渓してすぐに地元のおじさん作の抜け道を辿るが途中でわからなくなってしまい、すっかり時間を費やし、おまけにカグラ滝の上に出てしまった。カグラ滝は残念だが、時間も食ったし、1泊で抜けるには水量も多いし仕方ないかと勝手に納得して先に進む。すると、まさに「落つる水」がごとくのサナギ滝がデデーンと眼前に現れるというか、立ちふさがるというか・・・。特に上部の滝はここからみるとぶっ立っていて登れるんか?という感じのシロモノであった。

隊長は左にルートを取り、ロープを伸ばしていく。やさしいところはツルベで行き、核心部は隊長のリード。自分はまだまだ修行が足りず、草付とブッシュのコンタクトラインをうまく登れず、隊長にお叱りをうける。まぁそんなこんなで時間がかかってしまいました。

最後の壁に取り付いた時はすでに夕陽が沈むころ。隊長は前回来た時に、これ登って懸垂したらスバラシイ幕場だから、っていうことでとりつくが、この垂壁がメチャンコ悪くてモー大変。おまけに暗くなってしまったのですんごい時間がかかってしまう。で、懸垂してスバラシイ幕場のはずであったが、暗くなってしまい懸垂ポイントがよくわからず、この壁で本日の営業が強制終了。木にビレイをとって、代わりばんこに服を着たり、食い物出したりと、なかなか下界では味わえない一晩を過ごす。

夜明けと同時に行動開始。前夜のハンギングスリープですっかり体が冷えた上に腰と首が痛い。隊長のスバラシイるーふぁいで、今回は懸垂せずオチ口にピタリと出たは良いのだが、朝っぱらから泳がんといけんカマが出る。利根の時もそうだったが、なぜか泳ぎはおいらがトップという役割分担。○×○×がちんこくなるほどの水温、それもそのはず上部はSB帯が待ち構えている。覚悟を決めて飛び込んだはいいが、足がつかない上に手掛かりのあまりないスラブなんで、上陸に難儀してしまう。まぁ一回泳ぐと吹っ切れてしまうんだけどね。

サナギを越えたら楽勝かと思ったんだけど、ゴルジュはあるは大滝はあるはでなかなか前進しない。昨夜の疲れもあり、今日はスバラシイ幕場でお休みってことで早々に2日目は営業終了。最終日、隊長の話だともう楽勝ってことだったんだけど(何回楽勝って聞いたことか・・・)、前回来た時と比べてSBの状態が最悪らしく、かなりの大高巻きを強いられたりして、結局、駒の小屋に着いたのはほぼ日没。小屋番のおっちゃんは、なつかしい新潟弁。生まれ故郷を思わずなつかしみやした。ただここではケータイが入らなくて、下山遅延の連絡を入れずに小屋に泊まることもできず、結局歩いて降りることに。真っ暗なんで越後駒もカット。これは次回の宿題。途中から雨も降って、真っ暗の中を降りたら23時。まるまる3日間遊びまくりました。ごちそうさまでした。

 

 

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