川内 杉川八匹沢右俣遡行・大底川[逢塞川]ハンタン沢下降 2022/7/2-7/3

沢登り

【メンバー】Lたもしま(M山)、ヨッシー、MSO、K坂(記)

【行程】
7/2 9:00木六山登山口駐車場-9:30取水堤(入渓点)-10:10大底川出合-16:30八匹沢出合-17:15幕営地
7/3 5:20幕営地-6:10巨大雪渓の入り口-7:40八匹沢スラブ取付-9:20中山尾根-14:30大底川本流-16:15脱渓-17:00駐車場

 お盆の沢合宿に向けた顔合わせ山行ということで、最初は南アや奥鬼怒のゆるめの泊り沢に行くという話だったが、梅雨明けしたくせに天気が微妙ということで、いつの間にか(例にもれず)参照可能な記録が3個くらいしかない沢になっていた。どう考えても顔合わせで行くレベルの沢でないことは明白だったが、気になっていたけど機会がなかった川内山塊に行けるということで楽しみだ。

 初日はとりあえず八匹沢の出合まで行ければいいということで下牧PAで前泊し遅めの出発。下牧PAではYCC・杉労のHGさんに出会った。狭い世界である。9時頃に駐車場に着き出発。登山道は整備されていたがヒルが多く絶望。しかも予想通りめちゃくちゃ暑い。入渓点には取水堤があり、なかなか趣がある。

【入渓点】

 念願の入水だが、やたら水が冷たい。もしかして上流に雪渓あるのかもねーとか言いながら杉川本流の遡行開始。杉川はとにかく美しい沢で癒される。青空と木々の緑、渓流の音で夏が来たことを実感する。割と最初から泳ぎが多く、だいぶ寒くなってきたが、大底川出合まで難しい箇所もなくさくさく進む。

【The日本の夏って感じの美しい渓流】
【すげー泳ぐんですが…】
【細くはないが立派な側壁のゴルジュが続く】

 進んでいくと水の冷たさが増してきて、案の定雪渓が出現。安定していそうだったので、急いで下をくぐる。その後も雪渓が2回出てきて、1回は上を渡り、もう1回は崩壊していたので脇を小さく巻いた。標高220mとかでこんなに雪渓あるのかよ…。

【木でデコレートされた雪渓。上を渡った。】

 あとは八匹沢の出合まで行くだけかと思いきや、出合直前で流れが急な淵が2か所ほどあり、たもしま先輩に突破してもらう。ロープを出したりして時間がかかった。濡れに弱く、泳ぎが超苦手な自分は死ぬかと思った。というか今思うと軽い低体温症になっていた。数時間前まであんなに暑がっていたのに不思議な話である。

【寒いよ…】

 苦労して八匹沢の出合についたが、幕営適地が見つからない。しかも八匹沢の水がビビるほど冷たく嫌な予感しかない。出合を通り過ぎ、一手が悪い巻きをこなして杉川本流を少し遡行したところになんとか泊まれそうな場所を発見し、遡行終了。焚火もできたし、途中で収穫したヒラタケ入りカレーを食べたりして割と快適に過ごせた。夜は結構寒く、標高が低いからとシュラフカバーのみのたもしま、MSOは少し寒かったようだ。

【増水しない限りは快適】

 二日目は気合を入れて早く起きた。(といっても30分くらい寝坊した。)すぐに八匹沢に入る。冷気がすさまじい。すぐに8m滝が出てくる。登ろうと思えば登れそうだったが、水が冷たすぎて戦意喪失。たもしま以外は左から小さく巻いた。今思うと八匹沢唯一のまともに登れる滝だったのでトライすればよかった。滝を超えるとすぐに雪渓が出てきて、ここからはほぼずっと雪渓。でかすぎて崩れないだろうということで、下をくぐろうとするが、あまりに暗いのでヘッドランプを出す。なかなか頭がおかしい山行になってきた。ヨッシーさんは実質沢4,5回目でこんな大変な目に遭って気の毒である。長い雪渓が途切れた思ったら、悪い滝。さすがに雪渓の中でロープを出すわけにはいかないので、沢通しの遡行はあきらめて雪渓の上に乗る。

【禍々しい雪渓と大スラブ】
【雪渓の出口には悪い滝が…】

 幸か不幸か雪渓の上を歩いたおかげで八匹沢のメイン箇所はすべてスルーし、すんなりとスラブに取付くことができた。なお、八匹沢は左俣と右俣があるが、今回は記録が見当たらない右俣を遡行した。というか左俣は雪渓がズタズタでとても行けたものではなかった。

【雪渓の上を行く】
【左俣の惨状】

 さて、メインディッシュのスラブだが、今までとは打って変わってとても快適でロープなしですいすい登れる。標高差400mはあろうかという日本屈指の大スラブで感激。日が出てくると暑すぎるが、朝のうちに取り付けたので何とかなった。上部では少し藪を漕いで中山尾根に出た。

【どこまでも続くスラブ】
【暑くなってきたが素晴らしい】

 下降のハンタン沢は登山体系や浦和浪漫の記録の印象では、ゴーロ主体のイージーな沢というイメージだったが、下降で使うといやらしい箇所も多い。今回は沢下降に慣れていないメンバーも多く時間がかかった。ハンタン沢は雪渓があまりなかったが、途中目の前で雪渓が崩壊しビビる。滝は多くないので、下降に慣れたメンバーならもっとすんなりいくだろう。

【雪渓の残骸】

 なんだかんだで大底川本流に出るまで5時間近くかかってしまったが、大底川本流は予想以上に穏やかな渓相で癒される。美しい河原と立派だが容易に通過できるゴルジュが主体の沢だった。泳ぐ箇所もいくつかあるが、杉川と違い冷たくないので心地がいい。途中、ゴルジュとゴルジュの切れ目に廃橋が架かっていた。この辺りは昔はゼンマイ採り用の径があったという。地形を考えると驚異的だ。

【癒しのゴルジュ】
【ゼンマイ径の廃橋】

 廃橋を過ぎるとすぐに杉川との出合で、そこから取水堤までは一瞬だった。帰りは再びヒル地獄の登山道を悪態をつきながら戻り駐車場へ。こうして長い二日間が終了した。

【メモ】
スラブを考えるとラバーソール一択か。水中は割とぬめるがラバーで大きな支障はなかった。
杉川と大底川は結構泳ぎが多いので、寒さに弱い人はウェットスーツがあってもいいかもしれない。スラブで持ち運ぶことになるが。

【ヤマレコ記録(たもしま記)】
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4459835.html

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