北ア 薬師岳・黒部五郎岳スキーツアー 2023/3/19-21

山スキー

〇期間:2023/3/19~21
〇メンバー:Lヤマ(記)、カネ、MSO
〇天気:3日間とも晴れ
〇タイムスタンプ
3/19 5:45除雪終了点~7:35飛越トンネル~13:00北ノ俣避難小屋~15:45北ノ俣岳BC
3/20 6:20BC~7:25太郎平小屋~11:10薬師岳~12:00薬師沢右俣ドロップ~13:10登り返し~17:00BC
3/21 5:30BC~8:00黒部五郎岳~10:30BC~15:30飛越トンネル~17:00駐車地点
〇ルート概略(国土地理院地図を加工して作成)

〇報告
 今シーズンの目標として、山スキー2年目の20代会員3人で黒部横断を狙っていた。しかし、聞こえてくるのは小雪と異常昇温でオススメしないとの声ばかり。担ぎ上等の修行系横断もなしではなかったが、前週に黒部川を腰下渡渉している記録を見て、これはダメだと諦めた。
 せっかくの飛び石連休、雪が少ないのだから、転進先は残雪期の長めのルートがいいと考えた。北アルプスに入りたい、黒部を歩きたいという思いで、北アの巨人・薬師岳を目指すことにした。

<1日目>
 もともと4日間の計画だったが、初日は一日雨。行程が一日短くなったが仕方ない。午後発でゆっくり平湯温泉までアプローチした。気合を入れて2時起床で神岡へ向かうも、林道高山大山線(双六〜瀬戸線)の冬季閉鎖に気付かず時間ロス。結局日の出とともに飛越トンネルへと歩き出した。
 飛越トンネルへの林道はとにかく長い。トンネルに着いた頃には既に消耗していた。トンネルまで車で入りたいなあ…。最初の急登で旧雪と昨日の重い新雪の結合が悪いことを確認し、カール滑走のリスクを視野に入れた。寺地山まではアップダウンの多い平行移動中心で修行の時間。寺地山を過ぎる目の前の北ア主稜線が爽快。北ノ俣避難小屋で快適な小屋泊に逃げたい気持ちしかなかったが、明日の行動を見据えると今日は主稜線で幕営する必要があるので、甘える心に鞭打って主稜線まで600m登り切った。重荷で疲弊し、想像以上に時間がかかってしまった。予定していた太郎平小屋まで進める時間ではあったが、今日の疲労具合と3日目の黒部五郎行きを考慮し、ここで行動を打ち切って北ノ俣岳直下の風下斜面にBCを設営した。目の前に雲ノ平と黒部源流が広がるテン場でロケーション最高。
 まだ薬師まで道半ばのこの時点で、北陸の某軍団の厳冬期薬師ワンデイがとんでもないことを実感した。自分にはできないし、楽しめるだけの体力がない。

<2日目>
 早出しすぎてもガリガリかと考えてゆっくり出発。薬師峠までは滑り主体で楽に進めた。太郎平小屋は入口が露出していてもう営業できそうな感じ。薬師平への急登が曲者で、結合の悪い雪面にクトーをきかせて登った。薬師岳山荘から担ぎになることを警戒していたが、露岩とハイマツをかわしつつ、危なげなく山頂までスキーで登りきれた。薬師山頂は快晴弱風で暖かい。剱岳から槍ヶ岳まで北アルプス(そして断念した横断後半の湯川谷も…)が一望でき、はるばる来た甲斐があった。

 お楽しみの中央カール・南東カールの滑走は雪庇でエントリーが厳しそうで断念。黒部源流というロマンを楽しみにしていた薬師沢右俣を滑ることにした。上部の雪崩を警戒していたが、風で飛ばされて雪崩るほどの積雪がない。上部300mほどは斜度30度強、板が走る雪質で楽しめた。そこから先はストップスノーでただただ修行。後ろ二人の打ち切りたいオーラを横目に、直滑降で標高を落としていくと早くも沢割れの予感。2150m付近のゴルジュが沢割れ濃厚の様子で、この先の行動を考えた。ゴルジュを側壁トラバースで突破して薬師沢の三俣までスキーで進める可能性もあるが、一度ハマると日没までにテン場に戻れるか分からない。ここは全員一致で損切りして薬師平への尾根を300m登り返すことにした。ルートのコンセプトとして薬師沢の三俣を歩いてみたかったが仕方ない。疲れから行動食のカロリーメイトを食べる気になれず、下山して寿司を食べる虚しい空想ばかりしてしまい、最後はヘロヘロになってBCへ帰還した。

<3日目>
 百名山99座目(!)の黒部五郎を踏みたいMSO君の強い意志で3時起床。朝起きても疲れていた自分は下山して早く寿司を食べたい気持ちしかなかったが、背中を押してもらって黒部五郎へ向かった。
 滑りで距離を稼げるスキー向きのルートで、意外とスムーズに進んだ。黒部五郎への最後の登り返しは板をデポしてアイゼンで楽して登った。結果的にはスキーでも問題なく登れたと思う。黒部五郎の先には槍ヶ岳へとオートルート後半が続いている。食指が動いてしまうが、やはり西鎌尾根は長い…。時間がないのでカールは滑らなかったが、雪庇で肩からのドロップポイントはよく分からなかった。

 BCから避難小屋への大斜面は前評判通りのシュカブラとストップスノーで耐えの滑り。結局3日間でザラメ斜面にはありつけなかった。長いシール移動で明るい時間にトンネルに着いて一安心。3日間で林道の雪はかなり減っていて、最後は1km以上板を担いで車に到着。あー疲れた。塩尻のスシローで爆食いして、日付が変わった後に帰宅した。
 タフな山行だった。来シーズンこそは黒部横断!

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