瑞牆山 小面岩 一刀 2023/10/7

トラッドクライミング

【メンバー】L あっきー(記)、はしべー

8時30分 一刀取り付き ~ 9時 登攀開始 ~ 15時 登攀終了

一刀のオンサイトトライがやりたいと思ったのは3年前に関東に越してきて瑞牆本を買った夜。当時まだクラックを始めたばかりでしたが目標ルートは既に決まっており、そのルートに挑戦するためのマイルストーンとして十分な実力がついたらオンサイトトライをしようと決めていました。最近では11aでは濡れていてもまず落ちない自信が付き、11bのオンサイトも出てくるようになってきて「そろそろ一刀も挑戦できるな…」と考えていたところ、会の先輩のはしべーさんから「3連休暇なんだけど」とお声掛けいただき全ピッチのリードを譲ってもらって遂に挑戦できることとなりました。

アプローチ

一刀のある小面岩までは迷わなければ駐車場から約1時間とちょっとの道のり。瑞牆のチップの駐車場からパノラマコースを歩いて40分程度でカンマンボロン。そこから佐久間の塔や大面岩といった巨大な岩壁を横目に斜面をトラバースしていくとルートがトラバースから小さな尾根状の急登に変化し、それが終わって岩小屋のある小さな沢に出たらそこが小面新道の分岐。分岐点は分かりにくいが少し先には踏み跡があります。ホケイ岩やバベルの塔への分岐を過ぎてフィックスのある岩を登り、コルまであと2~3分という所まで詰めあがると右手に一刀の取り付きがあります。

1ピッチ目 5.9 25m

この日の朝は植樹祭の駐車場で5℃程度しか無かったようで非常に寒かった。天気は快晴で風も弱いように感じたので途中から暖かくなるだろうと半袖で登攀開始。しかし終日息が白く風も出てきて後悔する事になった。1ピッチ目はトポにある通り簡単な下部とワイド登りになる上部といった感じ。簡単なワイドは朝の準備運動としては申し分ない。

2ピッチ目 5.11a 25m

さっそく最初の11代のクラック。ビレイ点からクラックまでのクライムダウンが少し怖い。下部の少し砂っぽいクラックをぐいぐいと登り、短いながらもバチバチとフィンガージャムの決まる核心。ここで両足が切れてしまい墜落しかけるが左手のフィンガージャムだけで耐えることができそのまま無事オンサイト。ここは日が当たらないため寒さで指の感覚がほとんど無くなってしまって結構緊張したが一安心。

3ピッチ目 4th 5m

簡単な岩登りで4ピッチ目の基部までアプローチ。

4ピッチ目 5.11b 25m

見栄えする明るい前傾壁のど真ん中にスッと入ったシンハンドのクラックで本ルートのハイライトピッチ。マルチルートの途中でこんなに綺麗なクラックに出会えることはなかなかないだろうと思ってしまうほど見事なクラックに少し怖気づいてしまうがオブザベーションをして取り付く。取り付くとすぐに傾斜の強さを感じるが技術的な難しさは無く一気にハンドクラックまで進んでしまう。レストポイントで念入りに休憩してチョックストーンに突っ込む。チョックストーンへ移る時に指が滑ってしまい落ちるかと思ったが全力で止めて無事オンサイト。

5~7ピッチ目 3rd~5.7

ほとんど歩きのセクション。道に迷ってしまいよくわからないチムニーを超えたり踏み跡を追っているうちに顕著なチムニーを有する頂上岩峰直下にたどり着いた。岩峰の頂上が近くなってきたからか風が出てきて寒いのでここからはダウンを着込んだ。

8ピッチ目 5.11a 25m

この岩であっているのか非常に分かりにくいが木に隠れて岩の左側にカンテへ続くハンドクラックが見える。手はガバだが足が乏しくフットジャムでカンテまで進むとクラックが途切れてマントル返し。そこからの数歩が白い岩に小さなスタンスと分かりにくく、またプロテクションが取れないため少し緊張する。怖いセクションが終わったら灌木横のフレークをレイバックで登って広い小面岩頂上へ飛び出す。終了点は錆びたリングボルト2つだったので奥の木まで歩いてメインロープでバックアップを取った。フォローのはしべーさんも終始落ちることなく登ってきて、自分のオンサイトとチームのオンサイト成功と最高の形で登攀を終えることが出来た。

デプローチ

終了点から大ヤスリ岩の方へ歩いていくとケルンが現れる。ケルンに導かれて進めばリングボルト3つの下降点がある。この下降点の先、左側に見える大きな松の木がトポに記載されている下降点。松の木からは30mの懸垂1回で降りることが出来る。小面岩を左に見ながら下降していくと小面新道のコルへたどり着く。

【コメント】

あっきー

11代のクラックが2本連続するマルチルートをオンサイト出来たことは大きな自信となりました。またクラックを登り終えても特にパンプすることも無く、まだ余裕があった事に自分自身で少し驚いています。一刀のグレーディングについては少し甘いように感じるものの、4ピッチ目は確かに11クラックの難易度があり、8ピッチ目も落ちれないポイントで確実に登る自信が必要なように感じました。また今回はフォローに徹してくれたはしべーさんも落ちることなくチームオンサイトとなったことはとても嬉しく、そして頼もしく感じました。今回のお話を受けてくれてありがとうございました。気温は寒かったものの天候に恵まれ、小面岩の頂上から見た瑞牆の景色は次の登攀の意欲と想像を掻き立てる素晴らしいものでした。

はしべー

10/7(土)は晴れてマルチに最適なお天気でした。他に「一刀」に取り付くパーティもなく条件も良かったです。この週末は急に気温が下がり標高も2,000m弱で肌寒く感じましたが、あっきーは相わらずの薄着(Tシャツ1枚)で元気一杯(笑)、羨ましい限りです。「一刀」は5.11台のクラックがとても美しいルートです。あっきーの安定した登りで気が付きませんでしたが、取付くと予想以上の傾斜!出だしのハンドで腕が張り、その後のフィンガーで落ちそうになりました。自分はフォローで一杯いっぱいでしたが、あっきー全ピッチオンサイトおめでとうございます。慣れない荷揚げで多少時間を要しましたが天候と時間とパートナーに恵まれ、安心して楽しめる素晴らしいマルチとなりました。声を掛けてくれたことに感謝ですね。ホントありがとうございました。

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