[メンバー]

M藤L、T田

[ルート概要・特記事項]

滝谷ドーム西壁は正面壁とも言われているドームのメインウォールです。

上部からAフェース、Bフェース、Cフェースがバンドを隔てて聳えている。

Cフェースは崩壊が著しく、登攀対象となるのはA、Bフェースになる。

そのBフェースも右側は大きく崩落してしまい、この壁のメインルートであった雲表ルートの下部は消失してしまっている。2000年の初め頃から雲表ルートの登攀記録は無くなるので、その頃に崩落したものと思われる。崩落後は雲表=登れないとなってしまったのか、2ピッチ以降も殆ど登られていないようだ。

今回、Bフェースはニューウェーブの1ピッチ目を登り、Aフェースは、脆そうな緩斜帯を行く雲表2ピッチ目のⅢ級ピッチも割愛し、歯科大ルートから雲表ルートの核心である最終ピッチに繋げることとした。

8/25(日)

晴れのちガス

1ピッチ (T田)NEW WAVE1P 10a(体感10c+)

Bフェースの中央を貫く男前のライン。上部聳えるハングが、男前に更に磨きをかけてくれている。加えて、今年の長梅雨の影響か滲み出しがあり、絶妙なアクセントになっている。

私は3年前にオンサイトしているのでとお譲りする。紳士はレディファースト。内心安堵。

出だしから悪い。外傾浅カチにスメアの組み合わせのバランシーで侮れず、朝の冷えた身体には辛い。

右から孤を描く様にハング下へのトラバース。ここはホールド乏しいうえに、滲み出しで濡れている。

入念にムーブを探るT田さん。遠い縦カチにリーチが足りず、出入りを繰り返す。最後はマイクロカチの中継で乗り切る。ハング上のガバへもリーチが足りず、ハング下の浅いクラックにシンハンドを刻んで乗り切りオンサイト。

フォローの私は濡れたソールが気になり、激マジの激カチでこなす。淑女にお譲りしたことに「感謝」だ。

雨のイムジン河を歩くように登り、ジムで2級をバンバン落す、男勝りの鶴田さんをして「墜ちるかと思った」と言わしめるだけある10a。男前グレードで辛い。

2ピッチ(M藤)Ⅱ級

バンドを歩いてAフェース基部まで。

3ピッチ(T田)Ⅳ+

Aフェース左基部より右上。中央付近で分岐でニューウェーブ3ピッチを見上げると、ここも滲み出しで大分濡れている。20m程で終了点へ。ここで歯科大ルートと分岐する。明日登る予定の歯科大ルートの核心手前のフットホールドも濡れている。見なかったことにする。

4ピッチ(M藤)5.9

雲表ルートの核心ピッチ。

晴れ予報に反して、風と湧き上がるガスに包まれ冷える。

チムニーをワイド登りでハングまで。フレーク掴めば、ワイド登りしなくともいけるが、ここはバック&フットで登りたい。チムニーはルーフに頭を押えられる。上の様子は分からない。

固め取りして豪快に乗っ越すと、綺麗な凹角が続く。3,000メートルでこれだけのラインはなかなかお目にかかれない充実の内容だ。

8/26(月)

晴れのちガス

今日はスベニールドタキダニ。Bフェース東海山岳会からAフェース歯科大ルートを辿る。

1ピッチ(M藤)5.9

クラックはしっとり感あるし、脆い岩もあるしで、プロテクションを十分に取りつつ登る。残置ハーケンが2ヶ所ほど、あとはカム。西壁の中では脆いしあまりスッキリしていない。

2〜3ピッチ(M藤)

昨日と同じライン。

4ピッチ(T田)10a

核心の滲み出しは全然乾いていない。

コーナーの古びたボルト手前で墜ちると、手前にあるエイド用の下向きハーケンが抜けて、グランドフォールの可能性が高い。濡れたソールでは危険なのでAOを指示。フレークをレイバックで回り込み、微妙なバランスのフェースをこなすと滝谷の天空へと続く「白眉」の凹角が現れる。リードがAOしたので今日は「馬謖」としておく。

【コメント】

(M藤)

やはりドーム西壁良いですね。

今回のライン、ニューウェーブ〜歯科大〜雲表ルートは、登り応えあるフェースからクラック、ルーフ越えと変化に富む内容と良質な岩を滝谷の3,000メートルで味わえる。私的にはアルパインベストワンルート。

4尾根のフランケに手を出して墜落し、壁中でオープンビバークしたり、雪崩に怯えながら出合から3,000メートルまで詰めたもののコンディション悪く登れなかったり、巨大なエビのシッポに行く手を阻まれたりと、手厳しい洗練もあった。それでも滝谷は素晴らしい。

(T田)

2年前、北穂の頂上からM藤パーティの滝谷登攀を眺めていた。羨ましく、同時にそれが同じ会のパーティであることが誇らしくて,思わず動画を撮った。

 当時、自分が滝谷でリードする日が来るなんて、思ってもいなかった。行きたいと思うことすら、厚かましい気がした。

 それから2年、ジムで地道に練習した。フリーも少しずつレベルを上げた。

たどり着いたドーム。

 見上げるニューウェーブは、聞いていた以上の威圧感。圧巻だ。でも不思議と無理だとは思わなかった。

 1ピッチ目から渾身のリード。2回くらい「落ちる!」と思った核心を,辛うじて耐えた。

最終ピッチは,ここだけ残していたという「雲表」をM藤さんがリード。難しいルーフを鮮やかに超えて,チームオンサイト達成だ。

しかし、2日目の最終ピッチは不本意ながらAゼロした。来年のアルパインは滝谷のリベンジ決定だ。

アルパインて麻薬だなぁ・・・と思いながら、このコメントを書いている。まだ身体の芯が疼くようだ。滝谷から這い上がってくる真っ白いガス,それがさぁっと晴れて見えた絶景が、脳裏に焼き付いて離れない。

バカみたいなジム通いが許されたこの2年の環境、急遽、休みを取らせてくれた職場、当日の天候、そしてパートナー、あらゆるものに恵まれて、この滝谷に来られた。