槍ヶ岳北鎌尾根 2016/8/10-12

アルパイン(夏)

メンバー:H口L、T崎、M井

8/10(水曜) 快晴
上高地BT  06:40 出発
明神  07:20
徳沢  08:27
横尾  09:25 着
槍沢ロッジ  10:40 着
大曲(水俣乗越分岐)  11:52 着
水俣乗越  13:04 着
北鎌沢出合  15:50 着 (テント泊)

8/11(木曜) 快晴
北鎌沢出合  04:37 発
北鎌尾根P7  11:12 着
北鎌沢のコル  12:05 着
独標P10  16:30 着
P12~P13  17:25 着 (テント泊)

8/12(金曜) 晴れ、夕方から曇り
P12~P13  04:10 発
P14~P15  05:40 着
槍ヶ岳山頂  07:36 着
槍ヶ岳肩の小屋  09:00 発
上高地BT  16:00 着

【内容】
8/10 
快晴である。大正池から焼岳から西穂・奥穂・前穂と丸見えである。視界を遮るものはない。
コースタイム通りだと、14時頃に大曲か。日が暮れる前に北鎌沢出合に着くだろうか?
長~い行程にうんざりである。でもここは、若い?T崎君とフレッシュなM井君の勢いに任せて、後から追えばいい。そう思って、必死に遅れないよう歩いた。早いこと早いこと。
各区間、コースタイムの6~7割でついちゃいますから。他の登山者に全く追い越されることなく、追い抜いてばかり。あれ~、槍沢ってもっと長くだらだらで、飽きてきちゃうという、悪い記憶あったけども、そんな嫌な印象を一蹴された感じがした。つまらない区間はひたすら先を急ぐ、いいかもしれない。
水俣乗越に13時ちょうどに着く。ここから先は天上沢を下さるだけ、楽観していたが、甘かった。
ガレガレ~(ストック持ってきて良かったあー)、悪い悪い。急なガレガレが終わっても、石がゴロゴロしている足場の不安定な河原歩きで、気が抜けない。ここでペースダウンとなった。
北鎌沢の出合はケルンがいくつもあって、直ぐにわかった。
私たちも含め、テント4張り4パーティーが明日北鎌を目指す。冷えたビールがたまらない、乾いた喉を潤してくれる。幸せ。
ビールとおつまみを楽しみながら、夕食を準備、すし太郎にたくさんの具を盛る。

就寝前に、明日の行程のおさらい、北鎌沢に入ってすぐに右俣と左俣にわかれる。
右俣を進みその先2160m地点で分岐ありそう、あとは、地図からは沢の分岐は読み取れない。
北鎌沢のコル約2450mまで一直線か?

DSCN1644_R

8/11 
3時起床、他のパーティーも同じです。4時半出発、これまた、ほぼ同じです。
北鎌沢に入ってすぐに右俣と左俣の分岐です。水流の少ない右俣に進む。
あとは、どこで、水を補給するか。
先々週に北鎌に行った山友にヒアしたところかなり上流で、水を補給できたとのことだが、早めに汲んだ。ひとり4リットルの水を担ぐ。

しばらく登り続けると、大きな岩石というか、小さな滝を巻くように登る機会が増えてくる、少しずつクライミングを楽しめます。
だんだん、狭まってきて、あともう少しで北鎌沢のコルに着くかなぁ0と思っていたところ、草付きとお花畑の斜面となる。ここで、痛恨のルーファイミスを私が犯した。
ちょっと、右寄りに入って草付きのルンゼっぽいところを詰めていく。
なんだか斜面が徐々にきつくなり、草付きで足下が滑り出す、高山植物をつかみながらでないと登れなくなる。
おそらく正規のルートであろう左の方に明瞭な少し深い谷間があって、戻りたいけど、戻れなくなる。頼れない草付きで、下りられない。
ロープがなくてもまだ昇れるが、ロープがないと下りられない状況と判断し、ここで、私は痩せた稜に出てP7に登ることを決断した。このままでは2本足で立っていることも辛くなってくる。
ロープを出そう、決心した。弱点はどこだろうか?。T崎君とM井君に待機してもらう。

立ちはだかる正面右の壁は無理だ。左斜面は急な草付き。正面の凹角を突っ込み、その先に少し被り気味のチムニーが迫ってきた。
重荷と登山靴では昇れないと判断、ザックを降ろし、支点工作に取り掛かる。非常事態の為にとザックに忍ばせたハンマー、ハーケン2枚とキャメロット0.3と0.5を身につけて、支点工作できるところを捜す。

小さなチムニーの左壁はⅢ級上程度のクライミングか。その取り付きに浅めのハーケン1枚をリスに打ち込む、ハンマリングを繰り返すほど音色が高くなる、効いている証拠だぞ。
もう、1枚ハーケンを打ちたいがいいリス見当たらず、でも1m上にキャメロット0.5番がガチ効きの割れ目を発見。支点工作を完了。
まずは、懸垂下降し折り返しロープの各末端をT崎君とM井君に投げ渡す。
私の登り返し後、T崎君とM井君に昇ってもらう。そして、セルフビレイしてもらう。
これで、より安全な状態になった。
ということで、私のリードで核心のチムニーの左壁を空身でクライミング、20m強で稜に出たところで大木を支点に懸垂下降。私の重荷ザックを担いでアッセンダーで登り返し。アンザイレンしT崎君とM井君に昇ってもらう。

辺りを見回すと、2本手前のガレガレというか涸れた沢の出合で右にそれたようだ。
この先はあまり目立たない稜ではあるが急なヤブこきの登りを1ピッチT崎君にリードしてもらう、ロープが流れやすくなるようスリング長めの中間支点を作ってもらった。
さらなる先は、傾斜が緩くなり樹林帯から生い茂ったハイマツ帯に突っ込む、北鎌尾根のP7にひょっこり出た。
T崎君とM井君は念のため、もう1ピッチアンザイレンしてもらい、計3ピッチをアンザイレン。
P7は素晴らしいパノラマ展望台。あー、よかった。これで一安心。
なんだか、身も心も疲れました。気が抜けました。
中休止し、天狗の腰掛、その先の独標がドカンと見える。

北鎌沢のコルまでは、急な下り、短い懸垂下降もした。計画のルートに戻りました。

DSCN0666_R

行けるところまで行こう。北鎌尾根の岩稜歩きを楽しもうと思いつつも、くたびれちゃって。しばらく我慢の昇りである。
天狗の腰かけから独標の昇りに入るコルにテント1丁、張れます。このコルから独標への稜の取付きが少しわかりづらい。千丈沢に少し下って巻くような踏み跡あるが、そちらでない。稜沿いにバンドをトラバース気味に。
しばらくすると突然ビレイポイントが現れる、ロープを出す。
独標の昇りは千丈沢側にトラバースして昇る正規ルートを選ぶつもりなく、稜沿いに直上した(でもどちらかといえば少し千丈沢寄り)。
Ⅱ~Ⅲ級程度のクライミングを2ピッチ。
すっきりした昇りです、P7の昇りと比べたら、楽ちんですよ。泥がない、からっからに乾いた岩ですから。
うーん、つまらない、岩稜の昇りですね。フェースが恋しい。この先は、常に槍の穂先が見える~。なかなか素晴らしい。
槍の穂先に向かった突き進む、北鎌尾根の魅力でしょうか。

DSCN0667_R

翌日の行程を踏まえ、北鎌平まで延ばしたい気持ちだが、時間切れ、独標の先、P12を越えたところで素晴らしいテント場に遭遇。3人揃って頷き、ザックをおろす、テントを張って外でお酒と夕ご飯。
北鎌と北鎌尾根から槍の穂先の眺望を私たちがひとり占め。これもP7登攀?に寄り道したからこその体験です(苦し紛れか・・・)。
槍ヶ岳の先は人混みでうんざりでしょうし。今、この時、この空間をたのしまなくちゃ。こんな贅沢、滅多にありません。

8/12
起床から1時間でテント撤収完了、暗いうちから行動開始、そうそう、今日の行程は長いのですから。
ぐんぐん槍の穂先が近づいてきた。どうやら、本日の、北鎌から槍の穂先へのクライミング一番のりです。
とはいっても、近づいてみると傾斜の緩い岩稜のぼりです。Ⅱ級あるかないかですので、ロープを使わず槍の穂先にひょいと出る。3人で握手し記念撮影後、すぐさま、下り待ちの列に並ぶ。
20分待ちです。

槍ヶ岳の方の小屋からは槍沢をひたすら下りました。上高地に着いて、バスもタクシーも待ち行列。
こんなの初めて。お疲れ様でした。

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