メンバー:A山L、T内

幽の沢中央壁正面フェースはあるガイド本では、幽の沢入門との記載がある。
しかし、最近トライする人は少ないようで、ピンはほとんどない、支点も脆弱、濡れている、と散々でした。
つい、ひと月前に中芝新道を降りていたので、思いきり深夜残業できたものの、久々だったら確実にビバークでした。

なお、途中の支点がどうも抜け落ちているらしく、60mでいっぱいいっぱい、それでも無いところ多いです。
下記にあるとおりほとんどのピッチを60mフルスパンで登りましたので、50だともっと多くなると思いますし、かなり危険度は増すと思います。

9月10日(土)
5:39 ベースプラザ発
6:37 幽ノ沢出合
9:05 1P目手前?ロープ登攀開始
11:30 3P目登攀開始
14:45 5P目登攀開始
16:45 7P目登攀開始
18:30 幽ノ沢の頭
21:20 中芝新道
0:19  中芝新道登山口(国道)
2:30  ベースプラザ着

右股は左股に比べて簡単であるのがわかったものの、今日は水が多く、濡れているところ多い。沢靴でも滑る。
そろそろスラブが立ってきたのでA山リードで0ピッチ目スタート以下※は菊地本グレード。()は体感です。
なお、いつもデジマルに変換していましたが、このルートの性格から、旧来グレードにしてます。

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1P T内 60m(終了点わからず、そのまま直上)
※Ⅱ級
(T内)
乾いているし、支点は少ないがなんてことないピッチ。むしろお天気も良く、このあとに待ち構える困難を知らずに幸せだった…。
(A山)
まったくそのとおり。。。。

2P A山 55m(T内さん終了点の10mほど下から左にトラバース)
※Ⅲ級(Ⅳ級)
(A山)
T内さんの使っている支点は右フェースルートのものと判断。
岩に沿ってトラバースして草付を上がるが、トレース誠に薄く、クライミングシューズ滑りまくる。
そのあとも微妙にトラバースして豆腐岩右上にあるランペにはいり、ハング下まで。
(T内)
すでにウンザリするも、A山さんは、ハーケンを打ち足して「もっと人が来て欲しいから、このハーケンは置いていく」。

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3P A山 60m
※Ⅳ、Ⅳ+(Ⅳ+)
(A山)
ハング越えのピッチ。
ハングの薄いところまで右上。
ハング自体は残置もそこそこあったが、その下、上にはない。下はハーケン打てたが、上の凹角は濡れていて、ハーケンも打てず、しっかりした灌木もない。
頼りない枝と、笹にメザシをなんとか取り、わーわー言いながら進む。ロープは重いし、命の危険をまるごと感じた。
そして支点も見つからない、ロープもなくなるし、これまた必死でさがしたら、まさに60メートルぴったしのところに発見。心の底から安堵。
(T内)
姿の見えないA山さんがワーワー言っているので、ビレイ解除かと思ったり、ついには死んだかと思ったりした。

4P T内 60m
※Ⅲ級
(T内)
「リードか…」とテンション低く出発。トポだともう少しルンゼ中央寄りのようだが、濡れていて選択の余地なく、ほぼ濡れているところ、すなわち部分的に乾いているところを繋いで右へ右へと上がる。中間支点も取れず(カムとかヌンチャクはただの重し!)、終了点も作れず…。A山さんに、「支点は脆弱です」と声を掛けようか悩む。
(A山)
傾斜が緩いので、なんとか大丈夫。でも支点なくT内さんが作ったものは。。。落ちれん!

5P A山 58m
※Ⅲ級
(A山)
最後のハングの30メートル下まで。
相変わらずピンは少ないが、命の危険は感じない。

6P T内 60m
※Ⅲ級(Ⅳ+)
(T内)
再び、「リードか…」とテンション重く出発。もはや、乾いているところはない。
逆層のスラブ、スローパーな岩に苔がヌメっている。
「静荷重ならクライミングシューズでも滑らない」と信じて足に乗る。ガバはおろか、カチもないので自分のバランスだけを信じる。一歩一歩しか進むことが出来ず、時間が掛かった。相変わらず残置もなく、支点が取れないが、最後の20mくらいからリスが現れ、残置も出てくる。でも悪い。

A山さんは、終了点に到着するなり、「来たらあかん!谷川岳に死人が増えるだけやでホンマに!」と叫んで、精神のおかしくなっていた私は爆笑した。ハーケン、打ち足してたじゃん。
(A山)
このピッチはフォローでも怖かった。T内さんが行きつ戻りつしている。この頃、そういうときはかなりヤバイときというのがわかってきた。恐る恐るスタートすると、その通り。。。
こんなんよくリードしたわ。自分やったら交代してもらってた。。。

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7P A山 58m
※Ⅱ級(Ⅳ-)
(A山)
Ⅱ級と信じた自分がバカだった。
熊笹にぶらさがる、濡れた岩にだましだまし乗るの繰り返し。
灌木にセルフを取ったときには大汗かいていた。

8P T内 60m
※Ⅱ級(Ⅲ級)
(T内)
濡れてなくてもⅡ級じゃないと思うのですが…
というヌメったⅡ級を登る。暗くなってきたが、とにかく一歩一歩登る。
(A山)
暗くなってきた。登りながらT内さんがヘッデン装着。フォローしたら、どこでヘッデンつけられたのかと思うくらい悪い。ぜったいおかしい。幽の沢のグレード!

ここから藪こぎで行くも、傾斜強いのでロープはそのまま。しかしこれが超重くて、かつ雨が降ってきたので、足元はすべりまくり。
易しくなってきたところで、靴を沢靴にはきかえ、シングルで進む。しばらくはコンテ、そのさきもT内さんには肩がらみ確保で進む。
中芝新道に出たときは心底助かったと思った。

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【全体感想/T内】
中間支点も終了点も脆弱すぎて、一人が滑落したらもう一人も墜落必至だったので、ロープがない方がいいのではないか、と何度も思いました。それでも、ロープを結び合うというのは、普段から一緒に練習し、一緒に山に行って来た時間があるからなのかな、と思いました。
自分が落ちなかったこと、一手一手に集中できたことは、そういう時間の積み重ねなのかな、と思いました。
あのようにA山さんも苦労するような状況で、つるべで行ったということは、A山さんも私を信頼してくれていたのだろうなと思うとすごく嬉しいです。
(とはいえ、自分がリードのときは、落ちたらどうこう考える余裕はなく、自分のつま先に乗せる体重(バランス)のことばかり考えていました。)

稜線に出てからも肩絡みで確保してもらったりして、リーダーのA山さんには疲れさせちゃったな、と思います。もっと山に行き、もっと自分の力で登れるようになりたいです。
自分のバランスだけを考えるのはスポーツクライミングもそうですが、やはり本チャンは本チャンでしか味わえない〓

けど、しばらく谷川岳はいいです。。。

【全体感想/A山】
あの~。。。当分幽の沢はいいです。。。