[メンバー]

L F巻、A川(会員外)、ビックワン(記)

[行動経過]

8/9(日) 雨後曇り
07:30 新穂高温泉
08:15 二ノ沢出合
08:40 登攀開始
10:00 三俣
12:00 2000m付近にてBC設営
12:30 BC発
13:45 二ノ沢奥壁右峰岩壁基部(偵察)
18:00 帰幕

8/10(月) 晴れ
05:30 BC
06:30 二ノ沢大滝
08:50 ドーム壁取り付き
10:20 2ピッチ目開始
11:30 3 ピッチ目開始
13:30 4ピッチ目開始
15:00 5ピッチ目開始
15:30 6ピッチ目開始
16:00 トップアウト
18:45 取り付きにてビバーク

8/11(火) 曇り時々小雨
04:45 ビバーク地
07:30 BC(撤収)
09:00 三俣
10:20 二ノ沢出合
11:15 新穂高温泉

[報告]

・8/9

笠ヶ岳穴毛谷の各沢にクライミングエリアが点在しており、加えて未開拓な部分も残された数少ない岩場である。
中でも二ノ沢は登山口から比較的近くにある。それでも登られているルートは多くはない。

林道を歩く事1時間。穴毛谷に出合い、二ノ沢出合も徒渉したすぐ先にある。沢の上部は雲に覆われ、その全容は掴めない。
2年前F巻さんが訪れた時は雪渓が残っていたそうだが、今年の貧雪と大雨で消失している。
三俣辺りから両岸がそびえ立ち、さながら岩の要塞といった雰囲気を醸し出している。黙々と登り続け、昼過ぎには偶然見つけた平らなポイントにBCを張る。
入山前から「冷蔵庫や自動車位の岩が平気で動く。」と聞いていた。まさにその通りで、アプローチ中に点在する中々の大きさの岩が、絶妙なバランスで止まっていたりする。来年には間違えなくこのBCも消え去っている事であろう。

身支度を整え、犬歯ルンゼより予定していたルートの偵察へ向かう。ルンゼのCSの手前から草付きをトラバースすると、奥壁右峰右壁基部に出る。
壁はガスの中で乾かず濡れていた。当てをつけていたラインは、出だし逆層でランナウト。
その先クラックがあるもののハングしている。登れなくもないが、今回だけでは登り切れないとの結論に達する。既存ルートの同定を済ませてBCへ下る。

奥壁偵察時に本谷挟んだ向かい側のドーム壁が目に入ってきた。このドーム壁自体、我々の知る限りで多くて3,4ルートほどしか登られていない。各ルートに関しても、第2登程度とパイオニアワークの可能性が奥壁より残されている。

3人で話し合った結果、ドーム壁で開拓望みを託す事になった。

・8/11

本日は山の日。天気も前日より遙かによい。本谷を小一時間詰めると二ノ沢大滝が現れる。
ここはビックワンがリード。見た目より傾斜は弱いが、ロープで落石を起こしそうなデリケートなクライミング。実際クリーニングしていても落石を起こしてしまう。
滝の落ち口でピッチを切る。ハーケンの決まるリスが少なく、手持ちのカムが無い為、スモールカム3ヶで取った。後でF巻さんから10m視野を持ってメインロープから直取りも考慮して安定したビレイ点を作る様にご指導頂く。
そこからガレを数分詰めた先で、1ピッチで涸滝を越えると昨日偵察時に見えていたピナクルに辿り着く。取り付きは3人横になれる広さだ。ここから登攀開始する。

1ピッチ目は、バンド沿いに上がってから一段上のテラスまで。テラス直前の乗越が泥のマントルで悪い。後続は潔くユマール。
続く2ピッチ目は、短いが綺麗なワイドクラック。ここはA川さんがリード。ワイドの左に走る固いクラックからランナーが取れ思い切りワイドを楽しめる(様に見えた。)対岸遙か先に見える奥穂~西穂の稜線が美しく、一時的に緊張的な登攀から気持ちを解放してくれる。

3ピッチ目が今回気付いたルートの中で精神的に堪えるピッチだ。並のクライマーでは、このピッチのリードは大変厳しい様に思える。3mトラバースした後、積み木状にせり出した岩の間を縫って登り最後はチムニーからテラスへ。
両手で抱えないと越えられない岩が、今にも動くのではないかいう不安定極まりない代物ばかり。勿論支点もプアだが、もうクライムダウンも厳しい状況。そんな中大胆なムーブで乗り越えていくF巻さんの背中は、開拓時代から生き抜いてきた強靱な生命力を放っていた。
チムニーの終わりは被り気味だが、泥の奥でハンドジャムが決まるので、ぐっと身体を引き寄せて越えれば広いテラスへ出る。

4ピッチからは、それまでと比べ岩が硬い。出だしのクラックラインから、真っ直ぐ終了点まで繋ぐ綺麗なライン取りで終える。
ザレ場の歩きピッチこなし、最終ピッチは岩稜を詰めていく。出だしの懸垂ムーブが良いアクセントとなっている。最後にハイマツ漕いでドームの頭付近でクライミング終了。
一気に視界は抜け、二ノ沢奥壁から笠ヶ岳の稜線まで見渡せる。

往路下降も一筋縄では行かず、落石やスタックを起こさない様に慎重かつ迅速に下る。暗くなる直前に取り付きに帰還した。


取り付きでビバークする事にし、雨具を着込んで寝転ぶ。日が落ちると北アルプスの空に満点の星空が広がる。時より流れ星も見え、退屈しない一夜だ。

翌朝、明るくなってから来た道を懸垂を交えながら戻る。その後の天気も芳しくないので、ベースを撤収し足早に新穂高へと下った。