メンバー:H光L、H部、N嶋、他1

 

9/21(月)
倉谷沢林道は一ノ俣沢橋前方の分岐で通行止めになっているので、十字峡の駐車地点に車を止めて林道を20分ほど歩く。一ノ俣沢橋からはいつもの一ノ俣越えで早出川に入る。基本的に巻き道も含めて目印がしっかりついているが、稜線直下の最後の二俣は目印がなく、左に進むべきところを右に進んでしまって少し藪漕ぎをする羽目になってしまった。稜線に出てからの下降も踏み後は明瞭、後半は沢を下降して早出川に降り立つ。

午前中少し雨もパラついていたが、早出川の水量は思ったよりも少ない。高台には釣り師パーティの大きなビニールシートが広がっているのが見え、中々の盛況ぶりである。
今出まで下降する間に先行して入渓している同会パーティとすれ違えるかと思っていたが、残念ながら出会えなかったので、今出にメッセージ代わりのケルンを積んでおいた。

 

 

今出から広倉沢出合までは泳ぎを交えた楽しい下降。激しい瀬の小滝もあるが、今回の水量だと特に問題なし。
広倉沢出合は控えめな感じで、入渓後もしばらくは穏やかな渓相が続く。美しい森を抜けて頭上にスラブが広がってくると、やがて深い釜を抱えたオヒロ淵に至る。淵の底は深すぎて見えず、周囲の緑の水の色とはっきりと異なる深い闇が佇んでいる。ここは右岸から巻くが、手前から巻きすぎて藪のトラバースでロープを出すこととなった。

 

 

オヒロ淵から上は美しいゴルジュが延々と続く。白黒の斑点模様はまるでチェス盤の様でもある。増水したら逃げ場のないところが続くので、天気に不安のある時の入渓はやめておいた方がよいだろう。
そろそろお腹いっぱいになってきた頃、二つの大きな釜を抱いた重ね淵が現れる。一段目は泳いで取り付いて突っ張れば比較的容易。二段目も泳いで取り付いてスタンスに立ち込むが、その先のホールドが細かくちょっと難しい。ムーブを見極めて滝上に立ち、荷上げして後続をお助け紐でひっぱり上げる。
この上で沢はすぐに二俣となり、左俣に少し進んだところにある奇跡的な河原で幕営とする。

 

 

9/22(火)
この日は夕沢の広河原を目標にしているが、時間的に厳しそうなので、ヘッデンが要らなくなるギリギリのタイミング(5:20)で出発する。出発から一分で泳がされ、早速全身ずぶ濡れ。昨日と同様にゴルジュが続くが、左俣は小滝が度々現れ、より厳しさが増す。しかしどの滝も取り付いてみればなんとか登れるので面白い。泳ぎも相変わらず多く全身でゴルジュを堪能。

 

 

標高520mにある十字峡付近もなんとかビバークできそうだが、四人ならやはり昨日の幕場がベストだろう。
大滝少し手前の7m滝は右側のリッジに取り付くが、ハーケンを打ち込むリスがなくて支点が取れないので高度感のあるクライミングとなる。落ちても釜なので大丈夫だが、苦戦を強いられた。

 

 

沢が左に折れると、ついに広倉沢の大滝がその姿を現す。
下の大滝の下段は登れそうだが、登ってしまうことで立った側壁を登らされる羽目になりそうなので、下から左岸を巻くこととする。最初はルンゼを普通に登って詰め、傾斜が急になったところからロープを出してさらに高度を上げる。50mいっぱいでピッチを切って左にトラバースすると、ちょうど下の大滝の落ち口に出るので、少しクライムダウンして沢底に戻る。

 

 

続く上の大滝は、一・二段目をフリーで登り、左岸の草付きに取り付いて巻きを開始する。広大なスラブの上を、滔々と滝が流れる様はなんとも幽玄で、まさに広倉沢のハイライト。バンドのトラバースはそれなりに藪も濃いが、念の為ロープを出す。大岩を下から回り込んだところでピッチを切り、次のピッチでは少し斜上して最後は大滝の落ち口に向かう外傾したバンドをトラバースする。ロープで確保していても、スリップした場合はバンドの下へそれなりの落差をフォールすることになるので、一歩一歩緊張を強いられる。

 

 

幸い岩は乾いていてフリクションがよく効いたので思ったよりは安心感があったが、回収でバチ効きハーケンが全然抜けないのは少々辛かった。
結局、下の大滝、上の大滝ともにロープは2Pだったが、四人での行動、かつ前後の小滝で何度もロープを出していたので、大滝を巻き終わったのは13時半前。
14時稜線の目標は到底無理そうで、通常であれば源頭で泊ることも考えるところだが、今回は日程に余裕がないので夕沢広河原を諦めずに進むこととする。

大滝上も悪い小滝が続き、都度ロープを出すことになるのであまりスピードが上がらない。急傾斜の藪を喘ぎながら登り、なんとか稜線に辿り着いたのは16時前。場所的には五剣谷岳の肩だが、ピークは省略してここから夕沢のCルンゼとDルンゼの中間尾根に当てて下降する。周囲はスラブが点在しており、不用意な下降は行き詰まる可能性もあるが、この尾根は下まで明確に藪が続いているのが見え、安心して下り始められる。

 

 

割岩山を眺めながらどんどん標高を落とすと、最後の最後でスラブ帯に突き当たるので、ここから左手の沢に降りる。沢底に懸垂下降するところで日没を迎えたのでヘッデンを装着。沢沿いの下降も意外と渋く、幕場までに懸垂下降三回を要した。13時間行動ですっかり暗くなってしまったが、ギリギリ予定通りの幕場に辿り着くことができた。
夕沢の広河原は二日前に幕営したと思われる同会パーティの焚火跡があり、残りの薪を有難く使わしてもらう。整地した幕場は三人分のスペースしかなかったので、自分は焚火の脇で横になるが、風が強くて中々寝付けなかった。

9/23(水)
昨日は暗闇の中で辿り着いたのでよく分からなかったが、朝起きてみると広河原の周辺は特異なスラブや岩峰に囲まれており、素晴らしい雰囲気の場所であった。昨日下降時にぶつかったスラブ帯も、一回り小さなガンガラシバナの様に見えなくもない。
夕沢の下降は想像以上に泳ぎが多く、昨日に続き早朝からずぶ濡れになる。多くの滝はクライムダウンと飛び込みでクリアできるので、懸垂下降は二回だけで済んだ。広河原から二時間ほどで夕沢の下降は終わり、割岩沢に降り立つ。

 

 

早出川を一時間下降して今出に到着すると、行きに作ったケルンが四つに増えていた。同会パーティ以外にガンガラシバナを遡行した他会パーティもいたので、もしかしたら各パーティがそれぞれ思い出に積み上げていったのかもしれない。
ここからは往路と同様、赤ッパ沢出合から一ノ俣越えで倉谷沢林道へ。閑散とした林道を20分歩いて十字峡の駐車地点へと戻った。

 

 

■タイムスタンプ
9/21(月)7:10 駐車場-7:30 一ノ俣沢橋-10:10 赤ッパ沢出合-11:20 今出-12:30 広倉沢出合-13:00 オヒロ淵-15:40 二俣上C1
9/22(火)5:20 C2-6:30 十字峡-9:10 下ノ大滝下-10:20 上ノ大滝下-13:20 大滝上(沢底復帰)-15:50 稜線-18:20 夕沢広河原C2
9/23(水)6:00 C1-8:00 夕沢出合-9:00 今出-10:20 赤ッパ沢出合-13:00 一ノ俣沢橋-13:20 駐車場