北海道 岩内町 雷電海岸

S藤H明、S口M恵

◆S藤H明

しばらくの間、仕事でイントやタイやシンガポールを巡って、帰国して、いきなり極寒の北海道に来た・・しかも、カレー漬けでヘトヘト、身も心もシンドかったのですが、なかなか充実のクライミングでした。ナイル川は、来年登ります。

アプローチ日は、仕事の疲れもあって、偵察すらままならず、海岸スレスレの民宿で、余市ワインで撃沈。夜は大雪が降る・・終夜、町中をラッセル車が行き交って騒々しい。

<2ルンゼ>
90m

アイス二週間明けの鈍った体で、2ルンゼへとラッセルに励む。
ルートミスでロスしたが、9時頃、なんとか取り付きに到着、遠目に小さく見えた氷は、実は相当に巨大でした。

1ピッチ H明 45m Ⅴ
出だしは垂直。雪氷はサクサク、スクリューは3本に1本の割合でしか決まらない。よって落ちたらマズイ。真ん中くらいで緩い傾斜ながら、ベルグラになる。
スクリューは3cmくらいしか入らない。バイルがガチンと当たる。手足ツンツンの5mくらい戦慄のランナウトに気が狂う。
続くビレイ点直前はノーピンの難しい(私なりには・・10a)ミックスのため心底参る・・喉カラカラ。岩にバイルを引っかけて決心の確信的な足ブラをしたので、その夜は胃潰瘍(出血)になる。

2ピッチ M恵 35m Ⅳ
Ⅳだけど、ずーっと全部35m・・80度なんで、見上げるとメゲル。スクリューは、やはり甘い。

下山して、岩内の町で、蟹身、本鱈子、つぶ貝、ヒラメ、タコ、海洋深層水の豆腐などの買いだしをしてから、岩内(ニセコの裏山)の掛け流しのショッパイ&赤い鉄泉に入って今夜も余市ワインで沈没。

<4ルンゼ>
100m

遠目にも巨大で見栄えがよい。
目前では巨大で精神的に滅入る。

1ピッチ H明 45m Ⅴ
垂直です。恐しいです。難しいです。辛いです。厳しいです。相当に長いです。大変です。というのが本音の本音。疲れました。

2ピッチ H明 45m Ⅴ+
目前の右氷柱は、繋がっていない。よって垂直の氷を決死の覚悟の気持わるいトラバースで、きっと繋がっているだろう左氷柱に回り込む。
ジリジリジリジリジリジリジリジリと登ると、西上州の「昇天の氷柱」みたいなハングした傘氷に頭を抑えられる。
意を決して、傘上になんとかバイルを決めて、足ブラブラブラ&バタバタで、破裂しそうな心拍数に耐えてノシ上がる。脳天真っ白でした。

満足気分で青い碧い蒼い日本海をうっとりと眺めながらの素晴らしいバーチカルアイスでした。岩内町の熱い鉄塩泉にのんびりと浸かって、海辺の民宿「かもめ」で祝杯をあげました。

◆S口M恵

北海道1日目、千歳空港からレンタカーで小樽、余市を経て2時間強で岩内町へ。
今日は氷瀑見学だけにしようとその名も雷電国道をゆっくり15分ほど走る。持参したトポにはない新しいトンネルができていて、少し迷うが左手にはっきりそれと分かる大きな氷瀑群が見えた。
E戸氏の記録と同じ雷電トンネルを抜けてすぐ右手の無料駐車場に車を停めた。そこから正面に1、2、3、4の各ルンゼが並ぶ。壮観である。とりわけ2ルンゼ、4ルンゼが大きく目立つ。
3ルンゼは垂直のツララ状で難しそうだが、下までつながっているか不明だ。よくよく見ると2ルンゼに人がいる。上部に3人。トップがふたりを登らせているようだ。奈良ナンバーの車が彼らのかしら?ずいぶん遠くから来ましたね。私たちも明日は2ルンゼです。

2日目は寒さもそれ程ではなくアイス日和。駐車場で昨日の奈良ナンバーのメンバーと一緒になった。今日はナイル川とビッグウェーブだって。すごいです。昨夜の雪で踏み跡が消えていてわかんを宿に置いてきたのを一瞬後悔したが、歩いてみるとそれほど沈まず問題は無かった。

取り付きからのF1は大きく上までずっと立っているように見える。Ⅳのはずなんだけど・・・。
H明氏は長期海外出張明け、久しぶりのアイスということで慣らしの1ピッチ目だ。
40mほどロープが順調に上がったところで動きが止まる。なにかあるのか?
しばらくして解除、私の番。氷が柔らかいのは非力な私にはありがたいが、足が決まりにくく、足ブラに何度もなって登攀初日1ピッチ目にしてもうへたれモードに陥る。
ビレー点付近は岩が出ていてミックスになった。こりゃ苦労するわ。私は岩に登らず右手の氷を使い、そのまま2ピッチ目をリード。Ⅳのはずなのになんかずっと立っているのよね。
ゆっくりでいいよ、とのめずらしいお言葉にゆっくりでしか行けませんと心の中で答えながら、足を決める。
バイルを振る。スクリューをねじ込む。を繰り返す。なんか無心になる。そんなかんなで無事終了点に到着。ゆっくり行けたおかげで疲れなかった。
それにしてもなんでこんなに足元が崩れるの?層雲峡ではこんなことなかったのに、嫌な感じだ。

これで無事に1日目終了と喜んだのもつかの間、事件は懸垂下降中に起きた。
1ピッチ目終了点付近のいやらしかった岩場付近で気がついたら私の膝の上に赤ん坊大の大きな岩が載っているではないか!!
触った覚えもないのになんでこうなるの??断崖にぶら下がり右手はロープを離せない中、大岩を抱っこである。真下には哀れH明氏が・・・。とにかく逃げてーと叫び、足を使いなるべく遠くにと岩を落とす。
でも実際はほとんど真下に途中ふたつに割れながら落ちていった。ここは岩がもろいとガイドブックに書いてあったがこれ程とは。凍りついてないのか?いつもなにかしら事件が起こるなー。心臓に悪い。

3日目は昨日を上回るいい天気になった。海が蒼く光って日本海とは思えない明るさだ。
雷電アイスは取り付きまで危険もなく距離もないので楽々である。そのうえ、今日は踏み跡まであった。素晴らしい!

目の前にした4ルンゼ氷瀑はお約束通りぶっ立っていた。1ピッチ目は途中傾斜が緩むとあったがそうは見えないなー。H明氏にお頼み申す。

なんだかんだ言ってもフォローは気楽だ。それに昨日より足が決まりやすいような気がする。やっぱり素晴らしい!!

2ピッチ目はツララ状氷柱の下部左側が繋がっていなかったので右手に大きくトラバースしてから上に上がることとなった。
H明氏の姿が氷柱に隠れて見えない。でもその緊張が伝わってくる。いきなりパッと氷柱の上にH明氏が姿を現した。びっくりしたなー。カメラカメラと騒ぐので一応撮ったが、豆粒みたいにしか映らなかった。

一難去ってまた一難。今度は頭を押さえる円盤状の氷を越えなければならない。どっかでこういうのあったような・・。昇天の氷柱だ!あの時は派手に墜ちたなぁ。今度は昇天しないようにていねいに登らなければ。ふ~っ。ほんとアイスは心臓に毛が生えてないとやりきれましぇん。お疲れさまでした。

3度目の北海道アイスはこのように怪我なく無事終了することができた。帰郷してから数日して北海道に雨が降った。もう雷電アイスシーズンは終わりだろう。