明神岳1峰南東面 1峰2峰間ルンゼ滑降 2024/4/14

山スキー

【メンバー】
Lヤマ(記)、MSO
【行程】
2024/4/14 快晴
3:20釜トンネル~4:50上高地~7:20岳沢小屋~10:30明神岳1峰2峰間コル~1峰山頂ピストン~12:25ルンゼ滑降~13:30上宮川谷下部でシートラ開始~14:20林道~17:25釜トンネル


 上高地から梓川を歩くと目に入る明神岳。明神東稜C&Rの記録があるのは知っていたが、まだそこには手が届かず、スキーを絡める発想はなかった。そんな折、岩木山(厳冬期未踏の後長根沢)でデビューしてから興味が出てきたスティープ滑降ラインを探して『山スキー百山2』を読んでいると、スキーで明神主稜を横串にする創造的なラインが目に入った。ネット上に初滑降含め2件しか記録を見ないのも気に入り、少し背伸びして狙ってみることにした。
 スティープ滑降に若干不安があって滑り手に声をかけるも不発。長いシートラの体力系でもあるため、今シーズン立山ワンデイと黒部横断をこなした元気な若者2名でのトライとなった。

 早出して日の出前に釜トンネル発。ギリギリ釜トンネルが冬季閉鎖中の週で、板を担いで上高地まで歩いていく。スニーカーのおかげで予想より早く着いた。開山前で無人の上高地はちょっと感慨深い。岳沢登山口には雪がなく、しばらく登山道を歩いてやっとシールオン。色々と滑降ラインが見える霞沢岳をバックに岳沢を詰めていく。早朝の西面カチコチ斜面なのでスピードはシートラと大差ない。


 奥明神沢出合のあたりから斜度が上がってシートラ&アイゼンに切り替えて、左岸側から入る2本目のルンゼをひたすら登っていく。アイゼンの決まる締まった斜面で、早出作戦が成功した。先の見えない屈曲や枝分かれを越えて行って冒険感があるのがいい。いやーこの登高ラインはすごい。地図を見てもコルにつながっていることは判然とせず、穂高エリアでの滑降&偵察を重ねてこのラインを見出した初滑降者に感服した。


 コルに到着し、荷物をデポしてピークハントしておく。ロープなしでお手軽に明神岳山頂に立ててうれしい。時間もあるので山頂で穂高連峰をのんびり楽しむ。下りのガレ場は少し注意が必要。


 さていよいよ滑降。アルペンムードたっぷりのルンゼに面ツルバーンが広がっている。雪は緩んでいて安心。自身初めてトップで滑るスティープで緊張するが、怖さはないので思い切ってドロップ。エントリー45度ほどの斜面にワンターン入れる。エッジグリップはいい。湿雪スラフが落ち着くまでワンターンで刻んでいく。ノドを越えて連続ターンを入れてみる。これはいける。加速して支尾根のリグループポイントでピッチを切る。セカンドも確実なターンで滑って核心突破。2人とも余裕を持ってスティープ斜面を滑れて成長を感じた。


 ここからルンゼは広がりを見せて、はるか下方の梓川に向かって一直線に落としていく。爽快な春の風を切りながら、誰もいないアルパインエリアに自分たちだけのシュプールを刻めて最高に気持ちいい。


 明神東稜に向かうクライマーを横目に上宮川谷のオープンバーンをしばらく楽しむと、雪が緩み過ぎ&面が荒れて消化試合感が出てきた。下部は完全に藪スキーで、1700mあたりで雪が切れて板を脱ぐ。笹藪シートラはなかなか滑稽…。ちょっとした藪漕ぎや小川の渡渉をこなすと林道にひょっこり出た。握手して滑降成功を祝う。
 あとはスニーカーに履き替えて帰るだけ。振り返ると明神岳で、よくあそこから滑ってきたなと思う。行きは余裕だったシートラも帰りは重く感じる。早出の甲斐あって日が暮れる前に釜トンネルに下山。15時間行動、うちシートラ7時間(!)と大変充実した。いい山行だった。

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