2025/9/22-23 (月火)
Lクロスケ(記)、RS
[行動経過]
9/22 5:30新穂高 ~ 8:15 滝谷避難小屋 ~ 9:00 雄滝 ~ 12:15 ナメリ滝 ~ 14:15 BD沢出合 ~ 16: 45 スノーコル(泊)
9/7 6:00 スノーコル発 ~ 11:00 ツルムの頭 ~ 13:45 登山道合流 ~ 15:15 涸沢岳 ~ 19:30 新穂高
せっかく4日に繋げたのに天気がいまいちな週末。2日なら天気がもちそうだ、ということで劔尾根の転進候補にも上がっていた下から滝谷にトライしに行くことにした。ほんとは日月アタックで火曜はのんびりフリーにしたかったが、日曜の天気があまり回復しなかったため月火でトライとなった。
ここ数年、駐車場が年々厳しくなる新穂高は近場は事前予約制になっているらしい。あの鍋平でさえ1番近いところは予約&課金が必要だとは驚きを隠せない。仕方なく鍋平の奥の方に停め、新穂高登山センターを日の出と同時くらいの出発となった。

長い林道歩きで、滝谷出合いから目標地点を見通す。かっけぇなぁ。。
今回は半分くらい沢登りみたいなものなので、沢靴で。
前日までの雨の影響はそんなにないように思うが、水がすごく冷たい。

第一核心 雄滝

中間尾根から巻くため1Pだけロープを出す。傾斜はそこまでないものの、脆くて意外と悪い。

中間尾根のトップから、雄滝に向かってトラバース。全体的になんとなく踏み跡はあるが、崩壊が進んでいるような印象を受ける。最後15mほどだけ懸垂して、雄滝の落ち口に着陸する。

雄滝とナメリ滝の間の区間の岩がとっても可愛かった。まるで絵に描いたような水玉模様。岩博士がいうには、地下のマグマがどうたらこうたら、とのこと。
特に難所もなく歩いていく。

第二核心 ナメリ滝
右側から巻いていく。

1段上からがナメリ滝本番。
濡れを嫌がって側壁に取りついたら悪かった…途中からチョーク欲しくなりました。沢登りに慣れてるRSは側壁登る理由がわからなかったらしく、プロテクションある方向に本当に登って行ったのか?と、滝音に負けないように大声で確認された。こんな怪しい支点じゃ絶対に落ちられない、と思うと、水は避けたくなるのが岩屋ってもんです。

上段は簡単。

これが噂のオセロ岩。本当に綺麗な形をしとる。
ここがD沢とB沢の出合いなのでオセロ岩の方へ登っていく。この辺りで水が枯れてきたので、一応それぞれ3〜4Lずつ汲んでおく。なお寒すぎてあまり水は飲まず、夕食朝食で2人で3Lのみ使用。翌日も1Lで下山まで足りたので、1人3Lでも若干余りました。

ここからも微妙に長い。暇になってきたので、滝谷も舞台になっている井上靖の「氷壁」を宣伝する。やけに魔性の女というキーワードに食いつくRSに、ネタバレはしないでおいてあげた。
まぁ、あんな沢歩いたらああなりますよね、という沢ですね、ここは。

B沢の左俣右俣の出合いあたりから尾根にのる。この辺りも踏み跡はまぁまぁ濃い。このあたりにもちょびっと水が出ていたので、2人してすすり飲みしておいた。冷たくておいしい。

日本テン場100選、入選。
と言いたくなるほど絶景の最高のテン場でした。焚き火跡もあり、今期も人は入っているらしい。
立ち止まると急に寒くなってくる。汗冷えする前にタイツを着込んで、テントの中に転がり込む。
わかってはいたものの、ほんとに夜が寒かった。標高も2700mあるし、街の最高気温でさえ20℃の週末。
私の装備、上下ダウンにシュラカバで凍える夜となりました。靴下の変えを忘れたせいか濡れた靴下で足指が若干霜焼け状態で、シュラフを持ってきてたRSも、目覚まし鳴る前に「寒い、飯食おう」と、起き出す始末。ほんとに寒かった。。。身体が温まったら、早く出ても寒いだけなのでいさぎよく二度寝。朝はよく寝れました。
2日目

ゆっくりしてたら6時すぎてから出発。ここからが4尾根の本番。朝からガスだらけ。しばらく歩いて様子を見る。

近づいて見たものの、どこから登るのかよくわからない。とりあえず登れるところまで詰めがってみて、ロープが欲しいところから1Pとした。
ここで1P目のグレードがⅢとⅤで話が噛み合わないことに気づき、トポを見せ合うと、崩壊情報を盛り込んだ2022年版と古いものでだいぶトポが違うことが判明。

トポの2P目終了点まできてるような気がするね。と話しリード交代。
2P Ⅳ クロスケ
おそらくAカンテ〜水平リッジは安定しており快適。

3P Ⅳ RS
おそらくBカンテ〜水平リッジも安定していて快適

正面に見えるのがツルム。

4P Ⅳ+ クロスケ
急なCカンテからルンゼ。トポ上の2P連結してみたが、3mほど足りず。。カンテは快適だが、ルンゼから上はもろく落石が起きやすい。

5P Ⅳ RS
ピナクル脇を抜けてツルム側壁を登る。なかなか楽しいピッチだった。
ピナクルの向こうにはドームの壁が目の前にそびえており、滝谷3回目の私は、過去登ったニューウェーブやドーム中央稜などを探し一向に登攀が進まない。アプローチ道含め、同定するのは難しいな。
こうやって見ると、滝谷は全体的に脆そうに見えるし、実際に崩壊もあるし、いつまでも登れるわけじゃないんだな、となんか焦りのようなものも感じてくる。

ツルムの頭。綺麗な懸垂支点と崩壊地点の真上の懸垂支点。40mほど懸垂して4尾根ラストパートへ。降りた見たら側壁の途中にも、なんでそんなとこに?な場所に何ヶ所か捨て縄がかかっていた。ここの崩壊もだいぶ激しそうだ。

6P V RS
クロスケがトライするも肝心のガバホールドに手が届かず、絶対ハーケン打っただろ、と思う綺麗なリスにハーケンを打ち足すも、あまり効きが良くなくトライできず交代。この計画で唯一、中間支点にハーケン打ったと思う。フォローでは、かなり細かい足にはなったが、なんとか突破することはできた。
任せたら突破してくれるRS、頼りになるやつです。トポ通りの20mぴったりで切る。

7P Ⅲ クロスケ
出だしのチムニーを乗越たら、崩壊してるDカンテを右から回り込む。脆い。中間部にペツルのピカピカの終了点。もう終わったのか?、という束の間の喜びをよそに、どうもまだルートは続いてるらしい。
8P Ⅲ?? RS
引き続き右に回り込み、脆すぎるスラブの直上。ハーケンも少なく、プロテクション取れないのに脆くて痺れるピッチ。近くで大きく崩壊してるからだろうか。ここも最後は綺麗なペツルさん。
9P Ⅲ クロスケ
1段上がったら水歩ける水平リッジで終了。ここもペツル。最後だけペツルで固めてあるものなのか。後半に予想以上に時間がかかってしまったが、無事4尾根が終わり一安心。

今回のギア。カムは3番はいらないが、小さめのは多めに欲しい。ロープも緊急時に備えて50m2本にした。40mの懸垂はピッチは切ろうと思えばキレるので1本でもなんとかなることはなる。

滝谷〜新穂高はなかなか長い。縦走路で3匹の雷鳥に出会い、癒しのひとときを得る。雷鳥なんか珍しくない、とかいうRSも夢中で写真を撮っている。しかし、本当に見れば見るほどに可愛いなぁ。足のモフモフ具合がたまりません。

縦走路から眺める滝谷4尾根全景。
こうやって登ってきたラインが見える山行って、すごく気持ちがいい。スノーコルはあのあたりかな?なんて話しながら、記念写真をパシャリ。長年の宿題がまた一つ片付き、満足の山行でした。
思ってた以上に崩壊が進んでる部分と、そうでもない部分の差がすごく、今後も登り続けることができるのか。が、だいぶ怪しいルートでした。2人とも最低1回ずつくらいは、崩壊で足ブラになったりしたし、落石が掠めるシーンもあったりしたし。。でも、名クラシックはドラマがあり、やはりいいものですね。滝谷自体も貸切だったようだし、贅沢な時間でした。
コメント(RS)
滝谷を登るなら出合いから登りたいよねと前々から思っていた。ラインも美しいし、クラシックルートというのも良い。登れて良かった~!ちなみに、スノーコルで寝ている時に、C沢方面で岩雪崩のものすごい音がして目が覚めた。クロスケは寝ていて気付かなかったとのことだが… 自然発生の岩雪崩が起きる状況では、C沢下降での4尾根アプローチはかなり危険ではないかと思う。