奥利根 越後沢中俣 2011/9/17-18

沢登り

■メンバー
L M浦O介、Y田S(記)

■日程
9/17(土)都内~水上~八木沢ダム~利根川~越後沢~中俣左俣出合(BP)
9/18(日)BP~越後沢中俣大滝登攀~稜線~本谷山~三国川ダム~六日市~帰京

初日 曇り時々雨、夜から晴れ
9:38 八木沢ダム
9:55 歩き出し
11:30 越後沢出合
13:05 越後沢左俣中俣出合
13:20 テン場

始発の新幹線に乗って高崎へ。高崎でM浦さんと合流し、そこから在来線に乗り継ぎ水上。
水上からはタクシーで矢木沢ダムへ。コンビニへ寄り道したこともありけっこうなお値段。
そして奥利根湖をあらかじめお願いしていた民宿やぐらの渡し舟で入渓点へ。
乗ってる時間は15分くらいだったが15000 円か…高い。

入渓点はヘドロだった…朝イチでやぐらのオヤジが運んだという先行パーティの足跡を追う形で利根川本流を行く。少しゴルジュぽいところはあったが水量も少なく(お盆と比べたら半分だとか)雪渓もなく、渡渉も膝下がほとんどでがんがん進む。
途中小雨がぱらついたりもしたが、あっという間に越後沢出合へ到着。

二俣の尾根にあるテン場(今回は使わないけど)を見学したのち越後沢へ。
ホントに10 分で着く十分沢出合を経て、少し悪いゴルジュを抜けて進むと右俣との出合があり、さらに進むと中俣と左俣の出合に到着。
やっぱ水量が少ない+雪渓処理がないと早いわ。とはいえ多少水には入ったけど。
左俣を200m くらい遡行したところの右岸にちょうどよいテン場好適地があったのでここで本日の行動終了。
ただ、すぐ上流に雪渓があるらしく、幕場滞在中ずっと白い冷気が漂っていた。

M浦さんは冬にこの左俣を滑って利根川源流横断をやったことがあるらしい。
それは滑ってみたい…。雨が降ったり止んだりな感じでそこそこ寒かったが焚き火はできたのでまぁOK。
宴会ののち寝る頃には雨は上がっていた。

二日目 晴れ夕方から曇りのち一時雨
5:30 出発
6:20 高巻きポイント
7:10 下部50m 滝取り付き
8:30 1 ピッチ目スタート
13:30 終了点
15:25 稜線
16:50 本谷山
20:00 ダム
20:50 管理事務所前

快晴、TheDay の予感。
二股へ戻り越後沢中俣をひたすら詰める。取り付きまでは多少水に入るところもあった。
スノーブリッジ一つ目は左から小さく巻いた。冷気の煙の向こう側に大滝が姿を見せる。
その後悪そうな滝をやはり左から高巻き、懸垂1ピッチで沢床へ戻る。
下部滝直前のスノーブリッジは巻くのが大変そうだったので1 人ずつ走って抜ける。
ある意味ロシアンルーレットなのか。抜けたところでロープを出し、登攀開始。

・下部50m スラブ(M浦:50m)…振り返ってみると分速1m くらいのペース。
傾斜は大したことないが一段上がってからぬめぬめ地獄。たわしフル活用で抜けたのこと。
フォローはルート整備が終わった後だったので楽させてもらいました。
残置支点はなし。切ったところでロープをたたんでまたしばらく歩き、大滝の取り付きで大休止。
中俣大滝も冬は埋まって滑れるんじゃないかという話をしていた。
まぁ埋まってもけっこういい傾斜ではあるが。
(45 度の緩斜面、か、いやもっちょっとかな。)いつ来れるかなぁ。
大休止を挟んでから大滝に取り付く。

・大滝1P(M浦:35m)…滝左岸の濡れていないカンテ状のところに取り付く。
水流からはけっこう離れている。取り付きは立っているがすぐに傾斜は落ちる。ハーケンにて終了点。

・大滝2P(Y田:50m)…ブッシュ交じりのスラブを快適に左上。
残置はないのでハーケンとブッシュでランニングを取る。ハーケンビレイ。

・大滝3P(M浦:55m)…滝本流へ向かってのトラバースピッチ。
前半はスラブを左上し、カンテをトラバースで乗り越えクライムダウンして
本流横まで出るがロープが足りず最後5m ほど同時登攀。ハーケン3 本にてビレイ。

・大滝4P(Y田:60m)…結果的には核心ピッチ(後日トポを見ると+とか)。
本流左岸の立った、しかし乾いて快適な壁を登る。
おおむね直上、ところどころ悪いところが出てくるのでその手前ではハーケンを打ってから進む。
カムも持っていたが使えるようなクラックはほとんど見当たらず。
目いっぱいロープを伸ばしたがテラス状の場所まで届かず、支点取れそうなリスにも乏しかったため10m ほど同時登攀でなんとかテラスでハーケンビレイ。

・大滝5P( M浦:40m)…登攀最終ピッチ。
乾いた壁を直上したらテラスというかロープを外しても大丈夫な広さの場所に出る。
けっきょくここまで残置は全くなし。

なお参考までに計画書のギヤ数:共同でキャメロット0.3、0.5、0.75 とエイリアン一つ、個人装でハーケンは各種4 とあったが2人とも7-8本は持っていたと思うし、4本じゃ絶対足りない。
スリング7 とカラビナ4…ビナはもう少したくさんあったような。ほかは一般的装備のみ。
足回りはアクアステルスでOK(たわし必携)

ここでロープは終了。大休止ののち出発。
引き続きロープを出すレベルの滝が続いているがメインは終わったし時間も押しているということで左岸の尾根に上がり藪を漕ぐ。
たしかにロープを出すよりは早く登れた気がする。滝を一つ巻いて水流に降り、以降は水線を詰める。
水がなくなってからも3-5m 程度の細いチムニー状のぬめった滝とか最後までしょっぱい感じだった。
中間尾根を振り返る。左が越後沢右俣かルンゼがなくなった後は踏み跡のある尾根へ上がり(中間尾根?)藪漕ぎと岩稜歩きを繰り返しながら稜線へ。

振り返ると雪渓びっしりの右俣、そして左俣も見える。紅葉にはさすがにまだ早いか。
稜線はまったく踏み跡はなく主に笹薮を漕いで本谷山へ。笹は深く、意外と時間がかかる。
藪を漕いでる間にだんだんと空の雲は広がり、本谷山山頂に着いた頃には奥利根側はガスで見えなくなっていた。ここからは登山道を転がり落ちるようにダッシュで下山。途中からヘッデン。
2時間ほどで林道に出てそこからは真っ暗な林道をひた歩く。夕立にもヤラレタ。

林道は7 月末の大雨でけっこうなダメージを受けており車はおろか場所によっては人が通るのもやっとといった感じ。完全復旧なんかできるんかなー5 年じゃムリか?という印象。登山口も閉鎖状態なので今後、ここの登山道は荒れるかもしれない。
ちなみに三国川ダムも上部はまだ土砂崩れで道路が未開通、駐車場に取り残されたクルマがぽつんと停まってた。ケータイ圏内に入ったのでタクシーを呼び、下山連絡を済ませるが、そのあと管理事務所までも土砂崩れがひどく沢の中のような場所もあり、靴を泥だらけにしてタクシーにたどり着いた。
なんとか最終の新幹線に間に合いそうだったので六日市駅前の飲み屋にて乾杯したのち帰京。
(記:Y田)

(感想・Y田)
北アルプスが天気悪そうとのことで急遽転進のため、下調べも知識もゼロな状態、M浦さんにおんぶだっこ状態で臨んだ今回の沢。結果的には3連休のビミョウな天気を見事当てて快晴の下で大滝を登ることができました。
M浦さんと初めて夏の山に行きましたがイロイロ勉強になることばかり。
そして残置ゼロの大滝、今までで一番たくさんハーケンを打った日になりました。
岩目を読んで支点を作り作り登る楽しさを満喫。アルパインのクラシックルートじゃ味わえないよなぁ。
そしてほとんど初めてだった奥利根の山深さも満喫。
いつか行く(つもりの)奥利根スキー横断に向けまた偵察山行的にこのエリアの沢に来てみたい。
M浦さんありがとうございました。

(感想:M浦)
奥利根の越後沢と小穂口沢は個人的に思い入れ深いところだ。
尊敬すべき先輩、ゼフィルスの小泉さん、浪漫の高桑さんの次に何がやれるのか。
小穂口沢を滑降した奥利根縦走と越後沢左俣からの奥利根スキー横断は自分の出だしたひとつのこたえだった。
2002 年に夏の沢合宿で実施した小穂口沢南沢の幽ノ沢山直登ルンゼの初登と2年前の雪辱を果たした越後沢中俣の大滝登攀は楽しい思い出だ。そして中俣にはまぼろしの大滝を忘れてきた。

今回、雪渓は少なく、威圧感はそれほど無かったがルーファイとピトンワーク、それにこのところめきめき腕をあげてきたY田君という新しい仲間との登攀が楽しめた。稜線からみる越後沢、小穂口沢の大空間はいつきても実に雄大で素晴らしい。
これで越後沢は冬季を含めて3つともトレースしたことになる。
次に何をやるか。奥利根の遊び方はまだまだ沢山ある。

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