メンバー:T塚、S原(会員外)

石の巨人「明星」へ
今年は、1月の「海金剛」に始まり、谷川、屏風、滝谷、北岳、瑞牆と続き、先週の「明星」は10本目。常に緊張しながら、ルートに備えてきました。岩の表情はどれも違っていて、登るごとに岩から学ばせてもらいました。山歴29年目、自分の山をクライミングで締め括りたくてぶなに入会し、自分の中にアルパインの成果がひとつの実を結んでいると実感できたことを感謝しています。沢山の方々がアドバイスやサポートをくださり、支えてくださったことにも感謝しています。

白馬山麓県立自然公園にある「明星山」。標高1,188m、大迫力の岩壁は、まるで石の巨人。
チャレンジしたのは「フリースピリッツ」。終日天候に恵まれて、クライミングと紅葉を楽しんできました。
ヒスイ峡展望台駐車場からハーネス、メット、簡単なギアをつけて出発。A山さんの後に続いて、売店脇から小滝川へ降りる。大きな岩にロープが張ってあり、チロリアンで渉るという。A山さんは慣れたものでサッと行ってしまった。覗くと川の流れは結構下にある・・ロープにセルフを取ったものの、ためらっていると「体重をかけた方が簡単」と言われ、やってみたら、簡単。すぐ渉れてしまった。さらにA山さんに付いていくと「フリスピの取り付きはそこやないかなー」と言われ、見るとリングボルトがある。お世話になります。A山さん、S原さんはクイーンズウェイへ。

この日は4パーティーがフリスピへ。ガイドP先行。2番手はS藤P。その後に私たちが続いた。先行にガイドPがいるのでルーファイは助けられた。それでも時々迷う所はある。
小さめのカムとリンクカムが役立った。

3P目セカンド

3P目セカンド


1P目:S原リード。ブッシュ帯を左上。
2P目:T塚リード。垂壁を越えバンドを左へトラバース。
3P目:S原リード。スラブから凹角へと登る。

4P目終了点

4P目終了点


4P目:T塚リード。少し登ってやや下り気味に右にトラバース。
5P目:S原リード。ハング下スラブを左にトラバース。ガイドP、S藤Pが出るのを待ってビレイ点へ。
6P目:T塚リード。うめぼし岩を乗越しクライムダウン。S藤Pが出るのを待ってビレイ点へ。

6P目終了点でビレイ中

6P目終了点でビレイ中


7P目:S原リード。カンテを右にひらりと超えてフェース直上。眼下に小滝川、周囲の山々の紅葉も美しい。
8P目:T塚リード。ハング切れ目を越えて潅木帯直上。凹角クラックまで行ってしまい、後戻りする。

8P目ここを越えれば緩傾斜

8P目ここを越えれば緩傾斜


9P目:S原リード。凹角クラックを越える。セカンドで上がる際に足を置いた大きめ の岩がスポッと抜けて足元に砕け散った。下はハングっており、幸い人はいなかったが。落石も多いし、自分も落石を起こしてしまうこともあり、「ラ~ク!ラク!」と叫ぶ回数は今までで一番多かった。聞いてはいたが、本当に岩が脆い。
10P目:T塚リードというか、ロープを引いてザラザラの中央バンドを渡る。
11P目:T塚リード。「への字ハング」の下を右トラバースで上がっていく。しっかりした懸垂の支点があり、ここでピッチを切る。すぐ上のビレイ点にはS藤Pがいる。ここで、すでにフリスピを終了したガイドがマニフェストを使って懸垂下降で降りてきた。懸垂下降による落石があり、こちらが通過するまで待っていてほしかった、と思った。
12P目:S原リード。「黒い垂壁」を見ながら、鷹ノ巣ハングの左まで。

12P目リード

12P目リード


13P目:T塚リード。パノラマトラバース。幅10-20cmのトラバース、足元はしっかりしているし、手もある。ハーケンも要所にはあるので怖くはない。むしろ快適。左を見ると左岩稜の大岩にA山さんとS原さんが見える。S藤Pが出るのを待ってビレイ点へ。
14P目:S原リード。核心ピッチ。凹角のフェースをあがって緩傾斜帯に入り、ピッチを切る。S原さんは余裕。私はけっこうムズイと思った。
15P目:T塚リード。稜線上まで左にトラバース、のはずだが、ルートがはっきりしない。とりあえず左に向かってトラバース、立ち木でビレイ点を作り、ピッチを切った。S藤Pは直上気味に上がっていく。A山さんが心配して下から声を掛けてくれた。このままトラバースしていけばいい、ということでホッとする。
16~17P目:S原リード。木をくぐり岩を越えて左へトラバースしていき、南山稜に出て終了。

15P目最終ピッチ

15P目最終ピッチ


広めの岩の上でロープを畳み、ギアをザックに入れていると、上からS藤Pが降りてきた。大岩で待っていてくれたA山さん、S原さんと合流する。下降路は左側松の木を目指し、松の木から右トラバースするとザイルが張ってある。A山さんとS藤夫妻の前回の記憶を頼って、後について行く。その後も下降とトラバースを繰り返して降りていく。所々の木に目印となるよう、A山さんがテーピングテープを木に巻いていた。最後には踏み後がはっきりしてきて、道も歩きやすくなり、ホッとする。5:10 日没。最後の1時間はヘッデン下山となる。小滝川にかかる鉄管用鉄橋を渡り、鉄橋から降りる時はS藤Pのロープで懸垂下降させていただいた。ありがとうございます。無事、駐車場に戻る。

アプローチ、デプローチ共に、A山さんのお陰で迷わずにいくことができました。お世話になりました。
「明星」は中級アルパインクライマーの登竜門と呼ばれているらしい。行ってみるとそれがよくわかる。南山稜に出るまで、合計17Pは長い。実質は13P目まで、と思っていたが、ルーファイ必須を思えば、その後も決して気を緩めるわけには行かない。登山の総合力が問われる、といわれるゆえんと納得。アルパインにチャレンジしていると、いつも自分は試されている、と思う。誰に?って、岩に。
自分のアルパイン残り時間は多くはないと思っています。ここまで来ることができた、というだけでも十分に満足です。
今年はいい年になりました。皆様ありがとうございます。