黒部川スキー横断(金作谷, 水晶東面カール) 2014/4/24-27

山スキー

メンバー:M平

薬師岳・金作谷からの黒部川横断、3年連続トライでようやく成功しました。

<概略>
・全日、超極上の天気と雪質に恵まれ、計画を完全完遂。
・麓の雪は少なめだが、山上の雪は大目。特に稜線は白くて、例年のGWになく綺麗な山々。

<記録>

4/24(木)快晴

林道最初のヘアピンカーブ(標高1140m) 6:27 → 7:44 飛越トンネル 8:00 → 10:12 寺地山 10:33 → 北ノ俣避難小屋 11:21 → 13:00 北ノ俣岳の肩 13:23 → 14:10 太郎平小屋(冬季部屋泊)

前夜は平湯の穂高荘倶楽部でゆっくり休み、当日5:00タクシーで出発。飛越トンネルに続く林道を入れるところまで入って歩き始める。予想よりも雪が多く、トンネルまで4km以上あったが、ほとんどシール歩行可能だったので楽だ。トンネル手前の沢が出ていたので水汲みし、右手の尾根を登り始める。

最高の天気の下、徐々に開ける展望を楽しみつつ順調に進む。寺地山山頂は南斜面をショートカットで割愛し、いったん滑降モードに切り替え最低コルまで滑る。コルで再びシール歩行を再開し北ノ俣岳の北の肩に到着。

左、薬師岳。右、北ノ俣岳。

左、薬師岳。右、北ノ俣岳。


目前に広がる北ア深部の山々はいつものGWより白く、雪は豊富に見える。ひと滑りで太郎山、そして営業開始前の太郎平小屋・冬季スペース(入口はトイレの裏手、使用可能なのは自炊室とトイレのみ)に入る。日向ぼっこをしながら明日へ英気を養う。

右:黒部五郎(面ツル斜面はウマ沢)、左奥に槍

右:黒部五郎(面ツル斜面はウマ沢)、左奥に槍

4/25(金)快晴

太郎平小屋 6:55 → 8:28 薬師岳山荘 8:40 → 9:47 薬師岳 10:40 → 金作谷滑降 → 黒部川横断 11:37 → 14:15 薬師見平(ツェルト泊)

今日は勝負の日!雪が緩むタイミングを計りながらのんびり出発&のんびり歩く。

薬師沢右俣の源頭部。今年は雪が多くてきれいだ

薬師沢右俣の源頭部。今年は雪が多くてきれいだ


薬師岳頂上から金作カール・中央カール中間尾根を、岬状に張り出した個所まで歩いて降り、金作谷出合のスノーブリッジを観察する。割れ目はあるが繋がっていそうだ!

頂上から一段降りた岬上の場所から見た金作カール。さてさて出合のSBはいかに?

頂上から一段降りた岬上の場所から見た金作カール。さてさて出合のSBはいかに?


早速滑降準備をし、金作谷にドロップ。雪質は上部はエッジが良く効く締まり雪、下るにつれて最高のザラメとなってきた。楽しみながらカールの底まで一気に滑る。

カールからはノド状の急斜面。恐る恐る覗き込むと、僕にとっては急傾斜(40度位)がしばらく続くが、雪は良さそう。思い切って滑る。ノドを過ぎると段々と傾斜が緩み、最後はデブリランドとなりシートラーゲン。出合のスノーブリッジが完全に見える箇所までドキドキしながら降りると、予想通り繋がっていた!!

しばらく(僕にとっては)急な傾斜

しばらく(僕にとっては)急な傾斜


そのまま歩いて黒部川にかかったスノーブリッジを横断し、右岸の斜面を下流までトラバース。上が壁で塞がっていない箇所まで進んでから、今度は急斜面を歩きで直登する。

上部を振り返る。滑ったのは、スカイライン左の漏斗状の白い斜面~右斜め下にインゼルの右の溝

上部を振り返る。滑ったのは、スカイライン左の漏斗状の白い斜面~右斜め下にインゼルの右の溝


傾斜が緩んできたあたりで再びシール歩行に戻し、背後にそびえる大迫力の薬師東面を振り返りつつ薬師見平到着。 樹林に囲まれた一等地にツェルトを張る。

金作谷全景。正面から見るとすごい迫力!

金作谷全景。正面から見るとすごい迫力!


本日の幕営地、薬師見平

本日の幕営地、薬師見平

4/26(土)快晴のち曇

薬師見平 5:17 → 6:51 2465先のコル 7:12 → 赤牛岳 8:48 → 11:16 2904南の最低鞍部(荷物デポ) 11:23 → 水晶岳 12:00 → 12:30 2904南の最低鞍部 12:53 → 東面カール滑降 → 13:05 東沢谷2340m 13:18 → 水晶小屋 14:47 → 2841とワリモ岳の鞍部 16:04 → 黒部川源流滑走 → 16:43 三俣山荘 16:50 → 弥助沢滑降 → 17:26 モミ沢出合(ツェルト泊)

今日以降のルートは勝手知ったるコース。昨日より緊張を緩められるが、なぜかお腹まで緩んできた。。おかげで歩き始め2時間程は頻繁にお尻を出す羽目に。。
その後は快調に尾根通しに進み、赤牛岳通過。ここからは広い尾根なので、基本シール歩行で水晶岳を目指す。

稜線上2904峰から水晶岳頂上方面を眺め、東面カールのドロップポイントを探るが、今年は雪が多くてどこも滑り出しは結構な傾斜に見える。なるべく頂上寄りから滑り出す予定だったが、無理せず一番傾斜の緩い「2904/水晶岳間の最低鞍部」から滑ることとし、荷物をデポして頂上往復に向かう。
基本は夏道沿いで容易な歩きだが、頂上手前は急な氷化斜面もあり気が抜けない。慎重に進んで待望の頂上着。下りは一層慎重に下り、一部バックステップも交えて下降。デポ地で準備後、真っ白な面ツル斜面の東面カールを滑り始める。超最高の雪質で快適に飛ばし、あっという間に東沢谷の底に着いた。

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ここから大汗を流しながら水晶小屋までシールで登り返し、歩きを交えながら夏道沿いに黒部源流を目指す。2841峰とワリモ岳の鞍部から滑走開始。快適過ぎる!
今日は源流で泊まる予定だったが、更に進んで三俣乗越を越えることにする。乗越への登り返しを減らすため、どこまでも滑りたいメローな斜面とは早々に分かれ、なるべく高度を下げないよう左岸斜面をトラバース気味に進む。おかげで標高差100mほど登り返すだけで済んだ。

黒部源流

黒部源流


日が傾き、堅くなり始めた弥助沢を急いで滑り、途中水汲みもしながらモミ沢出合でツェルトを張る。今日は疲れた~ 疲れすぎて夕ご飯はいつもの半分程度しか食べられなかった。


4/27(日)快晴

モミ沢出合 7:22 → 9:20 西鎌尾根・樅沢岳の東のコル 10:05 → 蒲田川左俣谷滑降 → 小池新道取付点の橋 11:14 → 12:15 穴毛谷出合 12:25 → 12:39 新穂高温泉・左俣林道ゲート(下山)

相変わらずの快晴の下、ゆっくり出発。モミ沢左俣をシール~シートラーゲンで西鎌尾根まで登る。南側の滑降斜面/蒲田川左俣谷は広大で、とても気持ち良さげ。すでに一人のシュプールがついていた。槍をはじめ雄大な景色を眺めながらのんびりと準備する。

本山行最後の滑降も超快適♪ あっという間に小池新道取付で一般ルートに合流し、穴毛谷出合までスキーで降りれた。久々の会心の山行の余韻に浸りながら、のんびり歩いて新穂高温泉に下山した。

<参考:主要装備>

山スキー装備一式、ピッケル、アイゼン、5mm20mロープ(使用せず)、ツエルト、ガスヘッド、コッヘル、ガス缶(460g入)×1(半分少々使用)、寝袋、無線機、ラジオ、食糧5泊6日分(3泊分使用)

* 入山時のザック重量は約15kg(水1.5L 含む)

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