メンバー:N島L、H光、K谷、I井

(1日目)
6:10に室谷川堰堤から林道を歩き出す。すぐの小久藏沢出合付近で入渓する。初日は11時間行程の予定なので、単調な河原を急ぎ足で行く。徐々に川幅が狭まりへつりや泳ぎが表れる。思っていたよりも水温が冷たくない。やがてゴルジュ帯となると、両岸張り出したオブジェのような奇岩や柱状節理が目に飛び込む。長い年月をかけて作り出す風景に見惚れ、これから先の沢旅に期待が増していく。
歩き出して1時間ほどで大きな釜を持った両門の滝5m対面する。H光さんがトップで泳ぎ、後続を引っ張ってもらう。滝を左手に見ながら、見た目以上にスタンスが豊富であった。落ち口がゴルジュ帯となっていて流されたら危険なので、ロープを使用した。その後、30m程の淵があり、左岸をまいて懸垂下降(7m)を行った。

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8時過ぎに駒形沢出合に着き、小休止する。なかなかいいペースで来ているが、本日の行程はまだまだ長い。10m滝の手前で2人組の釣り人がいた。魚影はあまり見かけないが、数匹釣り上げていた。滝を越えると、奥壁スラブが見えてくる。そのスケールに期待が膨らみ、気持ちがはやる。450m付近で雪渓が現れ、左岸のブッシュを高巻きして懸垂下降で沢に降り立つ。徐々に奥壁スラブが近くなり、桃尻スラブと誰かが名付けた所以が分かり始める。その後も雪渓は続くが上部を歩けたので問題はなかった。
奥壁基部で水を補給し、スラブ帯に取り付いた。それほど傾斜はきつくなく、フリクションで快適に登る。振り返ると素晴らしい景色。四国の沢しか知らない私にとって、沢詰めでこんなスラブがあるなんてと驚く。情報としては見ていたが、やはり自分の目で見て初めてそのスケールを感じることができる。
 
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桃尻スラブは下部のほんのわずかであったが、皆満足気に何枚も写真を撮った。ここからはルートファインディングと暑さとの勝負だった。中間部は所々ブッシュが混在し、上部のスラブにどう繋げるか読みながら行く。誘われるように左、左の窪地に移った。途中2ヵ所悪場でロープを出し、階段状の上部スラブに繋げた。一気に高度を稼ぎ、稜線へ出た。藪漕ぎ20分ほどで駒形山山頂に到着。スラブの余韻を味わいながら、しばし休憩する。虫はあまりいなかった。周りを見渡すと白いスラブ壁ばかりで、何だか違和感を覚えてしまった。山座同定は全くできないが、この山域への好奇心がより一層深くなった。
 
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地形図をしっかり確認してから西の沢下降へ入った。藪をこいで下り、やがて源頭の様相になる。
いくつかの枝沢が交わり、水量も増してくると小滝が出てくる。ほとんど藪を伝って下れていたが、2ヵ所滝を懸垂下降した。うち1つ目はロープ1本では降りることができず、途中のテラスでダブルロープにした。その後雪渓が出てきて、やむを得ず下を一人ずつ通過した。15:40、標高500m付近で幕営地を決めた。11時間行動は恐れていたが、予定よりも早く着くことができた。焚き火と満開の星空で溪の夜を楽しむことができた。
 
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(2日目)
4:00に起床し、5:30に出発。30分ほどで出合の滝に着き、懸垂下降で室谷川本流へ。本流に入ってから暫くは幕営適地が何箇所かあった。朝一だがここから室谷の美溪にテンションが一気に上がる。エメラルドグリーンの瀞に、時間が止まっているような感覚になる。昨日とは打って変わって、ゆっくりゆっくり室谷を堪能しながら行く。朝の優しい陽の中でなかなか足が進まない。西の沢出合~駒形沢出合あたりが室谷の中で特に美しいというだけあり、言葉にすることができないほど美しい。
 
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両岸のスラブのV字形ゴルジュが続く。雪国ならではの景色だろう。沢床までスラブが張り出している箇所もあった。特に悪場もなく、へつっていけるところが多かった。駒形沢まで意外と時間がかかったが、見どころが多く飽きることはなかった。駒形沢出合からは往路と同じ道で帰る。体力山行の予想に反して、10:40には駐車場所に戻ってきた。もう終わってしまうのが惜しいくらいの好天であったが、満足感いっぱいの2日間であった。
(報告:I井)