鹿島槍ヶ岳東尾根 2022/12/28-2023/1/1

アルパイン(雪山)

[期 日]2022/12/28(水)~2023/1/1日(日)

[メンバー]

Lビッグワン(記)、オロ、ヤマ

[行動経過(天候・タイム)]

12/28(水) 晴後曇り

08:30 大谷原

09:50 東尾根取付き

15:40 一ノ沢ノ頭の先2030m地点C1

12/29(木) 風雪時々強風

09:30 BC

10:50 二ノ沢ノ頭

12:50 荒沢尾根合流手前2290mBC

12/30(金) 小雪/ガス

07:00 C2

09:40 第一岩峰

14:00 第二岩峰

15:40 BC帰幕

12/31(土) 晴時々ガス

05:00 BC

07:40 第二岩峰

12:20 鹿島槍ヶ岳北峰

13:20 第二岩峰

16:00 BC帰幕

1/1(日) 小雪後晴れ

06:10 BC

09:00 東尾根取付き

09:40 大谷原

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[ルート概要・特記事項]

■12/28(水)

連日の降雪予報で一体どんなラッセルが待っているのか。期待に胸を弾ませながら大谷原へ。駐車場に遭対協と長野県警の方がおり、直近の山の情報を教えて頂く。意外にも余り降ってないとの事。先日の天狗尾根の億劫な藪が思い浮かんだ。

今回は赤岩尾根に下らず東尾根を下降する計画だ。その為分岐に目印としての赤布を付けていく。尾根に乗り上げると多少藪が気になるものの、障害とまではならず快調なペースで高度を稼ぐ。一ノ沢ノ頭を越えて二ノ沢ノ頭との中間点付近まで進みテントを張る。

入山祝いに僕はウィスキーを、ヤマはジンを、そしてオロは成城石井の見るからに美味しいソーセージを堪能した。下界でも中々ありつけない品物に歓喜。

予報だと翌日の天気が芳しくなく、第一岩峰を目標に行ける所まで登っていく事にした。

■12/29(木)

就寝中、頭の圧迫感と若干の息苦しさに目を覚ます。外に出ると一晩でテントが半分近く埋もれていた。これのせいか。せっせと積み上げたブロックも大分低くなった。朝飯前の除雪作業。この影響で出発が小一時間遅れた。

標高も2000m越えてきてから雪との戦いが本格化する。膝~腰のラッセルに加えて日本海が近いからか雪が重い。風雪の中カタツムリの如く雪をかき分け進んでいく。二ノ沢ノ頭から更に風が強くなり、顔面に叩き付ける雪が痛い。

二ノ沢ノ頭から一旦下って再び急登に入り息を切らせた頃、正面に薄らを岩場が目には入った。地図だと第一岩峰はまだ先だが、思ったより早く着いたのか。風を避けられそうな地形もあったので本日の行動を終了した。早めに切ったので今日も酒盛り。アルコールで身体を労りつつ明日の予定を考える。

31~1日にかけて天候が安定する様だ。明日も今日ほど悪くはない。積雪状況からしても明日アタックして、もし山頂に届かなければ翌日再トライで話がまとまる。

■12/30(金)

テントを潰して出発。

昨日と違って薄らとだが周囲の視界が効く様になってきた。

第1岩峰だと思っていた箇所は藪急登だった。スコップで切り崩し登路を切り開く。

その先新雪が立ちはだかる。基本腰から胸、傾斜が強くなると頭より高い雪をラッセル。

オーバーヘッドラッセル

今まで出会った事のない積雪だ。やはり後立山の雪は奥深い。ヤマは果敢に雪に突っ込みトレースを伸ばす。

ようやく第一岩峰の基部に辿り着く。ぱっと見尾根から突然急斜面が立ちはだかって圧迫感がある。オロが少しトラバースしてルンゼの様子を見に行くと露岩もあるとの事で帰ってきた。

アイゼンに履き替えてビッグワンリードでロープを出す。

快適そうなルンゼは、ベルクシュルンド越えから雪の下の岩にアイゼンを乗せて越えた。その先終了点までは快適なダブルアックス。セカンドがFIX登高中、残りのロープで更に10m伸ばす。最後の終了点をから5m上がって第一岩峰を抜ける。

ヤマにラッセル先行して貰うが、あっという間に追いつく。依然として激ラッセルを強いられる。

第二岩峰に着く頃には14時を回ってしまい引き返す事に。1日かけて340mしか上げられなかった。ただ着実に山頂に近づいている事は間違いない。明日の登頂を誓い、第一岩峰にFIXをセットしてテン場に帰還。

■12/31(土)

大晦日。夜明け前にテントを出発した。夜の降雪は大した事なかった様で、幸いにもトレースは生きている。第一岩峰基部までたったの30分。

岩峰を越えた頃雲海から太陽が登り、荘厳な北アルプスの景色が浮かび上がる。今までの苦労が全て昇華してしまう程瞳後立山の峰々は美しく、この一瞬の為に山をやっているのだと言っても過言ではない。

バックには爺ヶ岳から槍まで見渡せた

第二岩峰の登攀はビッグワンリード。砂糖状の雪を払いながらリッジを進み、CSに続くルンゼへと進入。快適かと思いきやここもアイゼンの刃が雪下の岩に届く。核心のCSはC4#3を決め、ハンドジャムを効かせて上体を上げるが、その先に手がかりが見当たらない。泥臭くなってしまうが、ワイドの要領で身体にフリクションを使い這い上がる。

ピッケルとスノーバーでアンカーをセットし後続を向かい入れた。

待っているとトレースを上がってくるパーティが目に入った。こんな所で人と出会うなんてと思っていたら、案の定知り合い。

最後の雪稜をダメ押しラッセル。オロが先行して大分トレースを伸ばしてくれて助かる。残り50m。ビッグワントップに変わるが稜線近くなのに腰近くのラッセル。

全力でトレースを引き、遂に山頂に手が届いた。生憎のガスで辺りは見えなかったが、4日目にしてやっと到達したのだ。年越し史上最高の締めくくり。

第二岩峰は土嚢懸垂を交えながら2ピッチ、第1岩峰も1ピッチ懸垂してBCに帰還。

帰幕後、ラジオで紅白を聞きながら、各自持ち寄ったインスタント年越し蕎麦や肉で登頂を祝い寝床についた。

■1/1(日)

シュラフが日に日に濡れてきて寒い。早々に起きてテントを撤収。明るくなる内に風も次第に弱まり入山以来の穏やかな朝となった。

下山中なんと期待していなかった初日の出を拝めた。日の出の後も黙々と赤布を回収しながら下降し大谷原へと下った。

初日の出

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