剱岳 小窓尾根 2011/4/29-5/3

アルパイン(雪山)

■メンバー
LS見・K池・S藤D介(記)

■タイム
4/29 9:20 ゲート(工事中につき青年の家前で通行止め)~11:00 馬場島発~14:30 雷岩~15:00 尾根途中幕営点
4/30 4:00 出発~5:40 1600M~13:30 マッチ箱上幕営点
5/1 停滞
5/2 7:00 出発~10:00 三の窓~11:30 長次郎のコル~13:00 頂上~16:30 早月小屋
5/3 8:00 出発~11:00 馬場島~13:00 車

 

登山に興味がないころは(漫画読んだり、ゲームやったり、へらへら遊んでいたころ)年末年始、GWには親孝行代わりに一日ぐらい実家に顔を出していた。普段テレビは見ないのだが、実家では本当にすることがないので、ぬくぬくと猫を抱きながらテレビを見て時間を潰していたものだった。そのテレビでは年末やGWの雪山でいい歳したおじさん、おばさんが、毎年のように遭難していて、父親と「なんでこんなことするんだろうね~雪山なんて危ないって分かっているのに~」と言ったり、「オレ、スキーはゲレンデだけで山スキーはやらねー」などと話していた。

時は移ろい、33歳である。世間的にはいい歳だ。結婚して子供もいてもおかしくないし、GWは海外に旅行に行ったりしてそうな歳だ。でも、33歳の自分はあれだけバカにしていた雪山にいた。烈風吹きすさぶ小窓の稜線で雨に凍えながら膝を抱えていた。いい歳して。

 

初日 4/29

前日の人身事故と渋滞で妙高高原SAでステビバ。ゲート前で車を止めて6kmを歩きだす。今年は登山者の車は少ないようだ。

だらだら歩いて馬場島に。早月川の水はサイダーのように青い、ふきのとうはちらほら。 馬場島からは雪の上を歩く。途中から雨が降ってきた。ザックカバー!をつけ、カッパを着て進む。今日は出来れば1600まで行きたいところだが、前日の遅れ、さらに6kmの歩きのせいでスケジュール通りは難しそうだ。

先行トレースでスノーシューがあったが、雪は締っていていらないように見えるのにかなり上まで履いて頑張っていた。根性だ。一箇所取水口?前で靴を脱いで渡渉。冷たかったが、それ以外に渡渉はなかった。 雨は小雨程度だが降り続いている。雷岩からすぐに尾根に取りつくが、先行トレースがばっちりで、1ピッチ上がって尾根上で幕とする。

先行トレースは左足を跳ね上げるような歩き方で少々変わっていた。翌日会う単独の方のものだったのだろうか?
夕食はS見さんの麻婆茄子。

 

2日目 4/30

今日は天気が持つはず。一時間ほどで1600mにつき先行パーティーに追いつく。神戸から2人、名古屋から2名パーティーが2つ、ぶな。

追いついたあたりから雪稜っぽくなってくる、ロープがいるかな?と思ったところもあったが、近づいてみれば登れそうだ。白馬に行っておいて良かった。ニードルの手前で大阪弁の単独者が引き返してきた。剱尾根を小窓尾根からアプローチで1day登攀を狙っていたらしいが、2時に出てもラッセルが厳しく、時間切れで戻ってきたそう。

上部は風が強く、天気予報より状況は悪いので気をつけた方がいいと言われた。ニードルの懸垂をこなして、ドームに取りつく。雨、風がつよくなってくる。一箇所悪い岩場があり、先行パーティーはかなり時間がかかっていて、完全に追いついて、渋滞になる。

ドームを越えマッチ箱手前のナイフリッジ~雪壁(K池さんリード)でマッチを越える。
このころから落雷がかなり近くで発生、稜線上にテントを張って行動を終了する。

夕食はK池さんのナポリタン。 かなりの強風。ラジオで白馬の雪崩、源次郎の遭難を聞く。

 

3日目 5/1

早朝、テントが動く。明るい。エスパースナノの小フライは本体とテントを4か所及び4隅で止めているが、3か所が風で千切れた。とりあえずフライをテントの下に押し込んで作戦会議。雨、風は結構強い。風が強いため一旦テントのポールを抜く。

自分はそんなに寒くなさそうだったが、他の人は寒そうだ。このまま朝まで耐える…と考えていたが、K池さん案で、破れたフライをテントの中に入れて被る。あったかい。 さらにK池さんは午後になって一人で引越し用の穴まで掘ってくれる。そのあとS見さんが手伝い、自分も少し手伝って、なんとかテントが入って風がよけられる穴を掘り、破れたフライをかけ直す。

夕食はD介特製、サバレッドカレー。 ラジオ、ワンセグでは明日は好天の予報が出た。

 

4日目 5/2

ガスが濃いが、晴れることを信じて準備。7時過ぎから視界が開けてくる、小窓の王がカッコいい。小窓の王まで点々と幕営ポイントがある。どうやら全パーティー行動パターンは一緒のようだ。

40mロープで小窓の王の基部を懸垂3ピッチ。池谷ガリーがそびえる。三の窓は別世界のように穏やかだった。幕営跡もなく真っ白。チンネが近い。 池谷ガリーから稜線をえっちら登って山頂に。 記念撮影もそこそこに、下山を開始する。

早月尾根の雪にハマりながら下山。D介が小屋泊まりを主張し、早月小屋に泊る。 海津正彦さんが来ていたのと、いびきがひどい人がいなくて良かった。

 

5日目 5/3

あとは下るだけ。快晴の中小窓尾根を見ながら、次に登る山を探しながら馬場島に到着。途中ラッキーなことに車に乗れてゲートまでいけた。魚津で寿司を食べて帰京。

いい歳して、雪山である。なんで自分が山に登ってるのかもだんだんわからなくなってきたが、楽しかったことだけは覚えている。それは山なのか仲間なのか。楽しいうちは登ろう。飽きるまでと今は思っている。

 

コメント

15年前ぐらいだったか、小窓尾根に行った記憶はあるのだが、どんなところだったかといわれると、全然思い出せなかった。 とにかく、覚えていない=初めてと同じだ。インターネットや、山岳関係の本で調べた。 実際のところ、勉強したのと、実践では大違いだった。リーダーを務めた身としては反省することが多々ありますが、それは今後の糧にしていきたいと思います。いろいろと思い出ができた小窓尾根、次は北方稜線や、八つ峰、剣尾根。また、雪の剣岳に登りたい。
D介君、K池さん、ありがとうございました。(S見)

GWに小窓尾根!いくつかの山行を重ねてそこに至れたのがまた嬉しい。途中天気に翻弄されつつも無事完登することができ、良い経験だったし自信に繋がったと思う。撤退も容易ではない場所で停滞し天気の回復を待つのは緊張した。同じ雪山でもハイクとバリエーションの違いはここなんだな。春山独特のびしょぬれ対処方も学んだ。そしてガスの間から現れた小窓の頭は荘厳でした。
S見さん、D介くん、楽しかったです。ありがとうございました!(K池)

 

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