下田山塊 鎌倉沢~砥沢川下降 2025/9/22-23

沢登り

○メンバー:L MSO、M松(記)
○タイムスタンプ
22日 曇り 大江大橋付近6:10~入渓点6:25~3段30m滝11:47~150m白滝12:10~白滝上12:31~五兵衛小屋北コル13:40~吉原沢大滝下15:15~500m二俣17:00(C1)
23日 曇りのち晴れ
C1 6:00~金蔵沢7:00~5m曲がり滝10:00~ロンレ沢出合12:40~笠堀ダム右岸14:00~笠堀ダム駐車場17:00


○報告
0日目
当初は4連休を使っての光来出沢の計画だったが、天気が悪く1泊2日の沢に計画変更、そしてさらに転進となった。最終決定は出発の数時間前となり、若干ドタバタでの出発となった。

1日目 曇り時々晴れ
先週までの夏日が嘘のように冷え込み、寒いんじゃないかなと思いながら支度をした。
序盤は浅く水が流れる広めの河原からスタートする。少しずつ沢幅が狭くなり深い場所も登場し、いつの間にかゴルジュに突入する。この山域でイメージする明るいゴルジュ帯とは異なり、側壁は低いが沢幅が狭く閉塞感が強い。また、浸かったり少しだけ泳いだりする場面もあり、寒さのせいで消耗が早く感じた。


ゴルジュをしばらく進むと再び河原に戻り、また少し歩くとゴルジュ再開、といった道のりで、濡れによる寒さとゴーロ歩きでの体温回復を繰り返し進んでいく。途中ヌメヌメそうな5m滝をまいたのと、泳いで取りつき1歩這い上がるのに数分かかって凍えた滝があったのを覚えている。…改めて書いているとこの区間は本当に寒くて辛かった。

沢が南に屈曲してしばらくすると、沢が開けて上流の景色も見えるようになり、滝場が近づいてきたのがわかった。いくつか連漠を超えると30m3段滝に到着する。右岸から岩盤を避け左上して巻き、沢床には降りずに藪をつないでいくと、そのまま150m白滝の巻きに突入する。巻いている途中にようやく白滝が見え始めるが、どこからどこまでが滝なのかよくわからない。巻きで下段を超えたくらいでトラバースしスラブの左壁に降り立ち、緩い斜面にとりついた。そのまま登ったり藪に入ったりしているといつの間にか滝上に着いている。


滝上はすぐに沢幅が狭くなり源頭部の渓相になる。五兵衛小屋北のコルを目指して進んでいくと、5分ほどの藪を経てコルに到着。

そのまま斜面を反対側に下っていくと吉原沢に合流する。藪がかかった斜面を下ったのちしばらく小滝を通過していくと不意に景色が広がり、吉原沢の大滝付近にさしかかったのがわかる。

大滝の1つ手前の滝は右岸を懸垂し、大滝上段を左岸、下段を右岸から2本連結で懸垂した。いずれも残置支点が残っており、安全なものはそのまま活用した。50m2本連結の下降は久しぶりで、ロープの伸縮で数回バランスを崩しそうになりながら下降した。この日は1日を通じて気温が上がらず、懸垂の待ち時間も肌寒くなるほどだった。


大滝を降りてすぐ先に5mほどのCS滝があり、飛び込みもできそうだが少し浅そうでもあったため、念のため懸垂した。降りてみると、飛び込もうと考えていたポイントはとても浅く、間違いなく骨折ルートだったことがわかった。

その後は1か所懸垂がある以外は難所もなく河原歩きとなるが、金蔵沢出合にたどり着く前に日没が近づいたので、適当な河原で幕営した。着替えるといくぶん寒さもおさまり、焚き火をつけリゾット風の夕飯をとると、体も十分に暖まってきた。いよいよ秋になってきたなと実感しながら就寝。


2日目 曇りのち晴れ
1日目は幕営予定の金蔵沢にたどり着かなかったので、早めに出発して距離を稼ぐことにした。参考資料にするようなブログの記録は流石ペース速いなあと思いながら進んでいく。

序盤から浸かる場面も時折あったが、昨日と違ってドライレイヤーのタイツを仕込んだからか、1日目より沢が明るいからなのか、寒さはいくぶんましだった。基本は河原なので順調に進み、明るく開放的、しかも水も澄んでいる極上の渓相を楽しみながら下っていく。支沢のスラブ滝を見送り、やがて光明沢手前のゴルジュ帯に入る。屈曲部は確かに水勢が強かったが、出合付近にある淵以外は浸からずに通過できる。


ここから先はゴルジュがちになるが、開けた渓相のためか1日目ほどの圧迫感はなかった。
やがてロンレ沢手前のゴルジュ最狭部に入る。このあたりは岩の造形も一段とすさまじい。
トイ状の3段ほどの斜滝はトイ状を降りて途中から釜にドボン、というのが一般的だが、増水しているためかホワイトウォーターになっている。よくよく見ると岩盤に水があたっているだけで浅いようにも見えたが、リスク回避で右岸の岸壁を登って巻くことにした。MSOさんが進んで残置をかけてくれるが、序盤は斜めに引っ張られることになり振られそうになったため、フリクション頼りのゴボウ登りになった。2段ほど登ったところから懸垂で降りると、その先は淵になっている。屈曲するたびに土砂の堆積があり足がつくので休憩場所になるが、河原までの最後の直線部は20mほどの足のつかない泳ぎ。浸食され複雑な形に削れた両岸ゴルジュに感嘆しながら、さすがに寒さを感じながら泳ぎきる。


河原に着くと水深も足首程度になるが、バックウォーターまではもうしばらくある。
この先ダムに戻るルートとしては、ロンレ沢遡行~登山道、あるいは砥沢川をそのまま下降しダム湖渡渉~湖岸道通過の2通りの選択肢があるが、定石通りダム湖に向かうことにした。
流木が漂うバックウォーターが近づいたくらいで枝沢から左岸に上がり、かすかな踏み跡をたどる。巻きの傾斜と藪が鬱陶しくなってきた頃にダム湖に到着し、渡渉ポイントの選定に移った。
澄んだきれいな沢、壮大なひらけた山々と対照的にダム湖は茶色く濁っておりモチベーションが著しくそこなわれるが、MSOさんにけしかけられロープを括り付けて対岸に向けて出発。ビレイループに取り付けた50mロープが幾度となく足に絡みつき(10周以上していた)、途中から足の疲労で沈むんじゃないかと焦りながら、なんとか顔は浸けないように進むとやがて到着し、そのまま後続を引っ張る。全力で手繰っているとぷかぷか近づいてきて、カメラを向けるとピースしていた。


ここからは湖岸道になるが、序盤は不明瞭で踏み跡を探しつつ適当に進む。
ジョロウグモの巣に10回以上遭遇したのだが、突然眼前に10cm以上のクモが出現し、時折粘着性の高い黄色い網に突っ込むのは心臓に悪い。毛虫に刺されたし、ヒルもいたし、アブなしでも虫害が多かった…。
湖岸道はダム湖沿いに続くので、流入する沢があるとしばらく沢の方向に進むのだが、この屈曲が意外と大きく、記録にもある「水泳ショートカット」も踏襲しながら進んだ。やがて踏み跡が判別できるようになると、藪を漕いだり、時折まとめてつけられている赤布をたどりつつ進むことになる。藪だけでなく進路を阻む大きな枝まであるので、かなり昔に廃れた古い道だと思いつつも、明らかに道がなさそうな場所にもしっかり道がのこっており、不思議に思った。また、先ほどまで泳ぎで震えていた割には湖岸道は暑く、夏の通過は暑がりには不可能に近いと感じた。

結局記録通り3時間ほどかかってダムに到着した。夕闇が迫る一歩手前で、車の回収を待っていると気温も下がってきた。ダムの管理人さんとも話をしたが、意外にも怒られることはなく、しきりに感心された。
最後は温泉だけ入り、食事は省いて帰郷した。

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