南紀 大塔川 黒蔵谷~高山谷下降 2013/8/2-4

沢登り

メンバー:S口L、YT川、K寅

○8/1(木)夜~
8/1夜待ち合わせ~高速道路~翌朝4:00過ぎ川湯温泉着~5:00前仮眠

高速道路は、東名道~新東名道~東名道~伊勢湾岸道~東名阪道~伊勢道~紀勢道という経路で、徹夜運転に強いというYT川さんがほとんど運転。その代り、帰路は私とK寅さんが運転。
翌朝川湯温泉に到着、そのまま大塔川林道へ進み、通行止め柵の手前の広場で1時間半ほどテント仮眠。

○8/2(金) 【黒蔵谷遡行(カンタロー滝(黒蔵瀑)先まで)】
6:30起床~7:30ホイホイ坂林道分岐(駐車)~8:00大塔川林道下降点~8:10黒蔵谷出合~8:40鮎返滝12m~<下ノ廊下>~10:20三連ノ釜~10:50出谷出合~<中ノ廊下>~13:40高山谷出合~14:25CS滝2m~15:15・13m滝下~15:35カンタロー滝(黒蔵瀑)34m下~17:40カンタロー滝上ビバーク地<泊>

起床後、通行止め柵を越えてホイホイ坂林道分岐まで車で行く。大塔川林道を20分ほど歩くと、「突合」と書かれた看板のある黒蔵谷出合付近の大塔川への下降路に着く。明瞭な小道を下り大塔川へ。
黒蔵谷を進んで行くと谷が狭くなり、やがて鮎返滝12mが現れる。鮎返滝付近の餘倉岩(あまりくらいわ)が樹間越しに上方に見える。
鮎返滝は、釜を泳いで渡り、水流左側のスラブに取り付く。今期出かけている関東甲信の沢に比べると水温がずっと温かい。スラブに上がってからは、凹角状の岩を登る。垂直に近いが、フットホールドが豊富にあり岩質もしっかりしている。

P8020011滝の左側に泳いで取り付くYT川さん
鮎返滝を通過すると、下ノ廊下というゴルジュ帯が始まる。淵が連続していて、水面に浮かべたザックを浮き輪代わりにして何度も泳ぐ。短い淵もあれば、20m以上泳ぐようなところもある。ライフジャケットが大活躍。ライジャケの浮力で水の上にプカプカと浮いていられるし、水の流れはほとんど無いようなものなので、必死になって水を掻くこともない。
下ノ廊下を過ぎて、沢が開けると左岸から出谷が出合う。出谷を過ぎると今度は中ノ廊下だ。ここも泳ぎまくる。
中ノ廊下を過ぎて再び沢が開けるとやはり左岸から今度は高山谷が出合う。明後日下降してくる予定の場所だ。

P8020043
高山谷出合を過ぎた後もゴルジュが続く。しばらく歩いていくと顕著な滝が現れる。黒蔵瀑(地形図上のカンタロー滝)の手前にある13m滝のようだ。ここは遡行図のコメントどおり右岸から巻く。
沢床に戻ると今度は目の前に黒蔵瀑34mが迫る。遡行図のコメントには、左岸から巻くとあるので、ルンゼ状に取り付いたのだが、岩はボロボロだし、傾斜はキツい。おそらくもっと手前から取り付く巻き道があったのかもしれない。このルンゼ登攀に時間を要した。ルンゼを登り終え狭い枝尾根の上に出ると、その向こう側に屈曲した黒蔵谷が見える。懸垂下降を交え沢床に降り立つとすでに17時を回っていたので、近くの小さな河原状の場所を今晩の寝床とする。

P8020062カンタロー滝(黒蔵瀑)34m

○8/3(土) 【黒蔵谷遡行~野竹法師970mピーク~高山谷下降(325m地点付近)】
5:00起床~7:00出発~7:10第3支流出合~<上ノ廊下>~7:45斜滝8m下~10:55涸滝35mのある最奥の二俣~11:50野竹法師970mピーク到着~12:30ゴンニャク山方面へ下山開始~13:15高山谷左俣に下降~17時頃325m地点付近ビバーク地<泊>

ゴルジュを歩き出すとすぐに左岸から幅の狭い滝となって第3支流が出合う。やがて上ノ廊下らしきゴルジュに入る。その途中、斜滝8mではYT川さんのリードで水流右側を登って越える。
沢が開けて河原に出るので、上ノ廊下を通過したのが分かる。何か所か石垣の残るところを歩いていく。そんなところをずっと歩いていくと水流が減ってきて、遡行図の「涸滝35m」とある最奥の二俣に着く。ここは正面に見える中間の小尾根に取り付く。最初急な斜面を登って行くとやがて傾斜が緩くなり、目立たない樹林の中のピークに出る。野竹法師(標高970m)だ。あまり展望のない山頂は暑い。

今度はお隣り高山谷の下降だ。まずは野竹法師からゴンニャク山に至る緩やかな尾根を10分ほど歩く。ゴンニャク山のピークらしきものが目の前に近づいてくると、右手に人の手が入っているらしき植林帯が下に広がっているので、適当なところから真下に向かって下って行く。植林帯の中には何となく踏み跡らしき石がゴロゴロしたところもある。高山谷の左俣(標高380m付近で二俣となる右俣と左俣)を目指して30分ほど下っていくと、水の流れる沢床に歩いて降り立つことができる。高山谷の左俣だ。

P8030073第3支流
高山谷を下降していく。しばらくは顕著な滝はないが、小滝では釜にドボンと飛び込む。落ち口がスラブ状になっているところではウォータースライダーのように滑り落ちて水の中に飛び込む。地形図に記された滝では懸垂下降。
右俣と出合い、地形図上の325m地点付近を今夜の寝床とする。

今回は動物をたくさん見た。前週の中アで花をたくさん見たのとは対照的だ。水が溜まったところにはオタマジャクシがたくさんいて、ガマガエルもけっこういた。イモリも踏みつけてしまいそうになるほどたくさん。鹿もいたし、とぐろを巻いたマムシもいた。翌日歩く山道には管理されている気配のない養蜂箱があり、ミツバチが群れている箱もあった。トンネルではコウモリも。ヤマメやウグイ。アブ、そしてヒル。

○8/4(日) 【高山谷下降~黒蔵谷右岸山道を経て下山】
5:00起床~6:45出発~<八丁涸漉(はっちょうこじか)>~9:20黒蔵谷出合~9:35黒蔵谷右岸山道への踏跡~10:00水平道~10:30長いトンネル~11:35短いトンネル~11:45大塔川との出合~12:00大塔川林道帰着~12:20ホイホイ坂林道分岐駐車スペース帰着

最終日の3日目。河原を歩いていくと、地形図上の八丁涸漉という辺りを通る。途中伏流になっているところがあったので、そこが八丁涸漉なのかどうか定かではないが、帰宅後にインターネットで調べたら八丁涸漉変質帯という特徴的な地質が地面に現れている場所のようだ。
最終日も泳ぎまくり。下降するにつれ水量が増してくるので泳ぐ距離も長くなってくる。途中の滝では左岸を懸垂下降し、釜の水の中に降り立つ。

P8040115
やがて黒蔵谷との出合に着く。一昨日通ったところだ。出合付近には地形図上の山道に至る踏み跡がある。20分ほど急な斜面を登って行くと、水平の山道に出た。この山道を辿って大塔川まで戻る。ところどころ崩壊したところがある。地形図上の386m地点付近を通るトンネルがあり、歩いていくとたくさんのコウモリが驚いたように飛び回っていた。
さらに山道を進んで行くと、もう一つの短いトンネルがあるはずだが、その少し手前で崩壊地を通過する際に山道が不明瞭になる。しかし、途切れた山道をYT川さんの神がかり的なルートファインディングで再発見。崩壊したところのずっと上部に造られた迂回路のようだ。

短いトンネルを抜けて、斜面を下って行くと大塔川との出合に降り立つ。広い河原を歩いて数回浅い渡渉をして林道に戻るのだが、山道を歩くためにすでにアプローチシューズに履き替えていたYT川さんを、K寅さんとS口がおぶって渡渉する。お世話になったYT川さんにせめてこれくらいせねば。林道に出て20分ほど歩くと車を停めたホイホイ坂林道分岐に戻れる。

車で川湯温泉方面に戻り、トンネルを抜けた先の渡瀬温泉へ。露天風呂がいくつもある温泉で疲れた身体を癒す。東京に帰るのだが、来る時と同様長くて大変だった。

P8020050喜寅さん
南紀の名渓に行く機会に恵まれ、また天気にも恵まれ、2泊3日できっちりと遡下降できた。冷たすぎない水で泳ぎを堪能できたし。
下降に高山谷を使うのはおススメだ。黒蔵谷を遡行して、登山道~林道を5時間くらいかけて戻れば1泊2日も可能だろう。しかし長い林道歩きをするくらいなら、2泊3日の行程で高山谷を下降したほうが面白い。

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