メンバー:Y川、A澤(JECC)

今年は谷川との巡り合わせがいい。先週は幽の沢を登ることが出来たのだけど、今週は滝沢リッジを計画できるような天気予報になった。雪稜ルートとしては大クラシックルートであるけど、近年はあまり登られていないような気がする。3年前にオムスビ岩まで行ったが敗退してしまったので、ずっと目の上のたん瘤みたいな存在で気になっていた。

谷川はこの3月の週初めに30㎝程の降雪があった後、晴天にめぐまれていた。だから、週末の一の倉沢の雪は安定していると判断していた。まあ、スラブ登攀ではないので、雪崩の心配はあまりしなくていいけど、むしろ日曜日の天気を心配した。が、それほど悪くならないようなので、気が楽になった。

3/5 晴れ
ロープウェイを3時に出る。登山センターで米子不動で会った沼田山岳会のS野さんに会う。聞いたことないルートを狙っているようだ。一の倉沢の出合まで1時間ほど。すでに、一の倉沢に入っているパーティーのヘッドランプが前の方に見える。一の沢に入るのかと思ったら、滝沢の方を目指している。同じところを目指してるのかと勘繰る。
アプローチはトレースもあり潜らないので、夏より楽だ。先行パーティーは滝沢スラブに行くらしい。氷瀑の下に2つのランプが点灯している。今年は雪が少ないので、滝沢の氷瀑がしっかり出ている。我々は滝沢リッジの取り付きに向かった。3年前の同じ時期に来ているので、取り付きはだいたい分かっていた。明るくなるのを待って、登攀を始めた。

滝沢の氷瀑

滝沢の氷瀑


最初の1ピッチ目がスラブの露岩と草付きの壁で少し悪い。2ピッチスタッカットで登ったあと、時間短縮のためオムスビ岩の上までコンテで登ることにした。3年前に来ているので、様子が分かっていた。オムスビ岩は右を巻けてA1で登る必要はない。オムスビ岩上に11時20分着。オムスビ岩の上はテントが張れるスペースがある。3年前より、2時間早く到着した。たぶん、我々が登ったラインはリッジの右寄りと思う。

リッジを登っているとき、滝沢の氷瀑を登る4人が確認できた。最初、先に着いていたパーティーは登るのかと思っていたら、下山を始めた。そのあと来たパーティーと合流するとまた滝沢に戻って行った。オムスビ岩からはその4人が3スラを登っているのが見えた。近い将来の自分を投影しているかのようだった。
それにしても、陽が当たりはじめたら、滝沢本谷から雪崩が発生した。雪崩のドドドと言う音がすごい。となりの滝沢本谷が雪崩ているのに、よく平気で3スラを登れるものだと感心した。私なら、即撤退している。その後何回も滝沢本谷は雪崩ていた。

オムスビ岩からドームまでながい稜が続く。難しくはないが、雪が付いて読めないのでスタッカットで登攀。馬乗りになったりしながら、リッジを越えて行く。ランナーはブッシュで取れる。
たぶん、ホルンピークと思われる岩稜を最初右に行くが、行き止まる。懸垂支点がある。滝沢側を懸垂して回り込むためのものだろうかと思案する。左側から稜が登れるように見えたので、引き返すことにした。
左側のブシュの岩稜に取り付く。アックスを草付きに決めて、嫌なところを越えると大して難しくない。今日中にドームの下まで行けると思っていたが、週初めに降った雪で思いのほかスピードがあがらない。3スラを行くパーティーは我々より高いところを登っていた。すぐにでも、ドームの下まで行けそうに見えたが、手こずっている様子にも見えた。

夕方からガスがかかり、ドームが見えなくなった。そして辺りは暗くなり冷えてきた。今日中にドーム下まで行く予定は諦めるしかなくなった。ならば、ビバークする場所がほしい。しかし、横になってビバークできるような場所がない。もう座れるならどこでも良くなった。たぶんホルンP4の岩の基部だったと思う。残置ハーケンがあり、ここでビバークすることにした。イボイボハーケンが草付きに効いて、支点を補強した。
ビバークはザックに腰かけて、ツエルトを被っただけ。それでも、外気を遮断できるので、酷い寒さにはならない。コンロを手に持って湯を沸かし、夕食を取った。夕食を食べ終わって7時半。これから朝までが長かった。眠れない一夜を過ごした。

 ロープウェイ 3:00
 一の倉沢出合 4:00
 滝沢リッジ取り付き 5:00~5:30
 オムスビ岩上 11:20
 P4手前   17:30

滝沢リッジ

滝沢リッジ

3/6 晴れ
翌朝5時半。ガスがかかって視界はないが、辺りが明るくなり、登攀を準備する。リードはガスの中に消えて行った。私がリードのところまで行くと、ガスが晴れ視界が開けた。ドームの黒い壁が前方に見える。
3ピッチでドームに辿り着いた。ドーム下の雪稜は支点がとれないので、緊張した。ビレはスタンデングアックスビレだけとなる。なかなか素晴らしい景観で雪稜のラインがドームにカーブしながら伸びている。雪稜登攀ならではの美しい雪山を見ることができた。
ドームは雪が少ない所為か、壁との間にシュルントが開いている。要注意。ドーム下はテントが張れるようなスペースがある。9時半着。3スラパーティーのトレースが壁の右側に見えた。ただ、そのトレースに合流するまでが悪そう。雪壁は急だし、壁との間はシュルントが開いていて下り気味のトラバースに躊躇する。
岩場を越えてトレースに合流することを考える。岩場を登って、下降を試みる。あと一歩で雪面に足が着くところで、落ちちゃいました。情けない。登り返してトレースに合流する。合流して5mほど登った所がAルンゼへの下降点だった。25m程の懸垂だった。Aルンゼには3スラパーティーのトレースがくっきり残っていた。

もう陽が登りはじめ気温が高いこともあって、いたるところから雪崩の音が轟いていた。Aルンゼは雪崩ないとは思うが、トレースがあるうちに使わないと、消えてしまいかねない。側壁から結構氷片が落ちてきている。急いで、Aルンゼを登る。
トレースを辿ると、3スラパーティーのビバークした跡があった。Aルンゼの最後の岩の基部でビバークしたらしい。我々よりずっとマシな場所でビバークしていた。トレースを辿って行き、ドーム稜に出たところで休憩したあと、国境稜線に飛び出した。11時すぎ。A澤さんと握手。

 P4手前 5:30
 ドーム 9:30
 国境稜線 11:00
 

ドームと最後のリッジ

ドームと最後のリッジ

今回の登攀装備は60mダブルザイル1本。個装がアイスアックス2、スクリューの代わりにスノーバー1本とハーケン2枚、カム2、アルパインヌンチャク5を用意した。
アブミは一応1個用意したが、使う所はなかった。特別に難しい箇所はないのであまり装備は要らないと思う。
草付きにアックスを刺して登ることが多いので、ピッケルよりアックスの方が良いと思う。
あと、リッジの上部では、スタンディングビレになるので、スノーバー等は必要。
オムスビ岩からドームまでの間は良いテントサイトはないが、ホルンPの下とその手前に平な場所があった。