メンバー:A久L、S津

山伏尾根は湯沢の大スラブの左のスカイライン。天をつく山伏ドームが目を引き湯沢の頭へ突き上げる岩稜。
そこへダイレクトに導くラインがラクダの窓沢。
巨大な湯沢のスラブに目を奪われ、忘れられたような存在だけど、その二つのルートは個性的かつ魅力的。
登山大系でも沢と岩を継続して紹介してあり、地形図を広げるとルートを繋げて頂上を目指すことは必然的なラインに思えた。

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出合から見上げると、沢はフタコブラクダの背のような2つの岩稜に挟まれた窓に向かって500m以上一気に駆け上がる。
沢という名だけど全般にスラブの様相で水は岩を滴り伝う程度。傾斜はかなり立っている。
そもそも、沢登りの出合でルートを見上げるような事はあまりない。沢というよりやはり岩のルートに見える。

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出合から磨かれたトイ状の滝に阻まれ小さく巻くが悪い草付きに神経を使う。
水量が少なくヌメル滝をいくつか登ると幅広の壁のような滝が現れ、
これをこえると白く美しい長大なスラブが待っている。急傾斜を一歩一歩確実に登るが振り返るとすごい高度感で肝を冷やす。
でもここでロープを出すようだと恐らく時間切れで完登は無理だろう。このルートを登る資格はない。

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その後、地形図のコンターが混み滝場となるが、スラブゆえ滝と滝の境が判然とせず、一つの巨瀑なのか多段の滝なのか遡行図をつけるのに悩む。
その滝場は高度差100m以上にわたっていて、ルートファインティングも難しく数ピッチの登攀となったが、
途中で夕刻を迎えた為、核心部のど真ん中でツエルトを張り、快適とは言えない傾斜した岩のくぼみで夜を明かした。

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翌朝は明るくなると同時にロープをだし、核心部をクリア。最後の滝を越えると山伏尾根上までは快適なスラブ登りとなった。
尾根に上がり込むと山伏ドームが前方に聳え立つ。右には湯沢、左には本名穴沢の大スラブに囲まれ、壮大な空間を醸し出している。
いよいよドームの登攀。登山体系にはチムニー、カンテの快適な2ピッチとあるが、部分的にヤブが邪魔をする。
しかし不快かというと、まわりに人の気配は全くなく山をひとり占めしてる感は抜群で気分は良い。
荷揚げを挟んで3ピッチでドームの頭へ。あとは色づき始めた紅葉と湯沢の大伽藍の絶景を楽しみながら岩稜をつめ湯沢の頭へと抜けた。

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流行りのルートでもないけど、ここを登りたい!という衝動を、沢とか岩とかスタイルを区別することなく自由にラインを引き頂を目指す、
そういう登山の原点を思い出させる好ルートだった。