メンバー:A久L、N島、S藤

●1日目(晴れ)
 6:00 加治川ダム―入渓北股川吊橋-彦左衛門沢-藤十郎沢-18:30 C1
●2日目(晴れ)
 6:00 C1-文四郎沢-入り大石沢-15:30 地蔵カルC2
●3日目(晴れ)
 5:00 C2-鮎倉沢-大高巻き開始-16:40三郎沢C3
●4日目(曇りのち晴れ)
 5:00 C3-胎内尾根(藤七の池)-門内岳-門内小屋出発-北股岳-おういんの尾根下降-16:00湯平温泉小屋C4
●5日目(曇りのち雨)
 5:00 C4出発-8:30 加治川ダム

●1日目
加治川ダムに車をデポし、約3時間半で北股川出合いの吊橋に到達。水量は少なめ。
いつも悩まされるアブも全然いなくて少々拍子抜けする。北股川の下流部は釣師も入るらしく、
登山道から沢床に向かってトラロープが下がる。これをつたって入渓。
右岸からの支流は数段の滝となって落ちており壮観。少し進むと最初の大きな滝(観音滝)にぶつかる。

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ここは登れないので右岸から軽く巻く。その後はしばらく穏やかな渓相が続く。
彦兵衛沢を右岸に見送ると、側壁がにわかに立ち始め、ゴルジュの様相となる。
小滝を越え、2度の短い泳ぎを交えたところで、ゴルジュは深くなり、青滝15mが登場。
前衛の3m滝はA久が空荷で取り付き、全員荷揚げ。青滝はS藤さんリードで右岸の草付交じりのスラブにルートを求め、
ブッシュ帯までロープをのばた。少しヤブを漕ぎ、懸垂無しで沢床に戻ると渓相は穏やかになる。ところどころナメもでてきて気が休まるところ。

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13:30を過ぎた頃に藤十郎沢と出合い、初日最低限のノルマ達成。
出来るだけ進んでおきたいが、地形図ではここから文四郎沢間は両岸が鋭く立ち上がり困難を予感させる。
案の定、ゴルジュが左へ大きく屈曲した地点でスノーブリッジが登場した。
崩壊はしそうにないけど、真下にはトイ状の滝とその上に釜があり、下はすんなりとは潜らせてもらえそうにない。
ロープを出し、S子さんが左岸側壁に登路を開くが、雪崩が運んできた浮石だらけで神経を使う登攀。
この先にもうひとつ雪渓が見えたので、それまでまとめて巻く。
その後、S子さんが懸垂で沢床に下り、先の偵察をするが通過できない淵があるとの事で登り返し、延々ヤブをトラバースし、側壁中のルンゼにあったテラスでC1とした。

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2日目
寝坊して6時出発。少しヤブをトラバースし懸垂で両岸ブッ立ったゴルジュの底に戻る。振り返ると昨日のテン場はすぐそこに見えるのだが、既に3時間近く経過。
文四郎沢は2段の滝となってゴルジュの側壁から落ちている。

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その後も雨が降ると逃げ場のないゴルジュが続く。入り大石沢との出合いで本流は左へ曲がるが、そこには大ガマをもった6mの豪瀑。
その落ち口にもトイ状の滝が続き通行困難な渓相が覗える。
ここは大高巻きを決め込み、入り大石沢側から快適なスラブに50m一杯のばしたのち、ジャンクションピークまで170mほど上げてからヤブ尾根を懸垂一度交えて下降。
下りたところは地蔵カルの大岩壁付近。巨岩が積み重なる中に広い台地状の河原が点在し薪も豊富で絶好のテン場。
見上げる地蔵カルも大迫力で絶好のロケーション。15時半と少し早いが、この先安全な場所はなさそうだしC2予定地ではあるのでここで行動終了にする。
昨日のビバーク地とは快適度が雲泥の差。テン場付近でS藤さんが尺上をあげ、夕食には刺身が並んだ。

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●3日目
5時出発。地蔵カルの岩壁を巻き込むように沢は右へカーブを描く。
ガレと大石、崩れた雪渓をこなすと沢はまた直線的なゴルジュになる。
淵の先にあるCS3m滝はどう見ても取り付けないので巻き。軽く巻くつもりが、前方にもうひとつ滝が見えるので、そいつもまとめて巻く。

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小尾根を越え反対側のルンゼ沿いに2ピッチの懸垂で沢に復帰。すぐにスノーブリッジが出てくるが、右岸側の雪渓と側壁の間をすり抜ける事が出来た。
鮎倉沢との二俣先にはトイ状6m美瀑。しかしツルンと立ってて登れないので、左岸から2ピッチロープを出し、地形図にある彦兵衛滝を越えたあたりに懸垂で復帰。
この先は長大な雪渓。先端部分は薄く、穴もあいて不安定そうなので、しばらくは高巻きし、懸垂で途中に着地。

しばらく雪渓上を進むが落石は激しく散らばってるし、浅い亀裂はあるしで気持ち悪い。
左に屈曲するところから先は雪渓が途切れ途切れとなり、通行困難な暗いゴルジュが続いている。
右岸からロープを出して高巻きに入る。三国沢出合い付近に下りるつもりだったが、
から見下ろすと登れそうにない滝が3つ連続しているし、一度下りてしまうと這い上がれそうにない暗いゴルジュが口をあけている。
ここは三郎沢まで一気に大高巻きと腹をくくる。

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昼前に巻きに入ったが三郎沢は遠く一向に下降点に到達しない。徐々に残り時間を意識し始めた頃、尾根上から上流域が遠望できた。
これまでよりは少し開けた緩いV字谷だが雪渓が断続的に残る。
例年だと彦兵衛滝以降は雪渓が埋めつくし、財布沢までは雪渓歩きに終始するというが、今回に関しては不安定な雪渓の巻きに時間を大幅に食われ、残された日程での完登は厳しい。
一度どハマリしたら期間内での下山があやしくなってしまう。
この大高巻き途中で、これ以降の本流遡行は断念し、エスケープする事を決断。

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唯一の慰めは、普段は雪渓の下で見ることができない三国沢以降のゴルジュの姿を拝めた事か。
さて、そうと決まれば、どの経路で安全圏に戻るかと頭を切り替える。
二つ峰から二王子山に伸びる稜線まであと高度200mまで迫っているが、手持ちの水とそこから延々二つ峰までのヤブ漕ぎはしんどい。
一旦三郎沢へ下り、水のある場所でビバークし、翌日沢筋を二つ峰まで遡行することを選択。
2時間かけ三郎沢とその支流ルンゼの出合いまで下り、ガレ場を整地してC3を構築。この日はタープ無しで、流星群を見上げながら一夜を明かす。
どんな状況でも笑い飛ばして「良いテン場だね。」と言ってくれる面子が何より心地よい。

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●4日目
目の前の三郎沢は150m程の雪渓が埋めている。
終点付近は左右とも斜面に繋がっているようだが、部分的に薄いところや傾斜が急な部分があるので、バイルを出し、スプーンカットを拾いながら登っていく。
先頭を行くA久がスリップしそうになり、バイルの刃先を雪渓に差して数秒後、最後尾を歩くS藤さんの後方10mくらいの所で雪渓の一部が鈍い音を立てて落ちた。
「ヤバイ。早くこの場を立ち去らないと!」残りの雪渓を生きた心地がしない中登りきり、地面に立って始めて引きつった顔を見合わせた。
最後にして最大のヒヤリハット。やっぱり雪渓は極力近づかない事だ。崩落に昼夜は関係ない。

その後、沢はこれまでの厳しさがウソのように草原へと我々を導き、二つ峰直下の藤七の池へ詰めあげた。
胎内尾根を門内岳まで2時間で登り北股岳を経由して、おういんの尾根を下降。湯ノ平山荘では温泉で汗を流し、門内小屋で仕入れたビールで乾杯。

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●5日目
5時に山荘を後にする。懐かしい北股吊橋をわたり8時30分加治川ダムへ無事下山。
さすがは飯豊川本流の最大の支流。北股川は圧倒的な水量による威圧はないけど、
容易に登れないゴルジュが続き、5日間でも登れないなんて、手応え充分の悪渓だった。