2022/11/4 (金)快晴
Lクロスケ(記)、アッキー
[行動経過]
05:30千尋の滝駐車場 ~ 06:50屋久島フリーウェイ取り付き ~ 07: 00登攀開始 ~ 16:45 登攀終了 ~ 17:00 モッチョム岳山頂 ~ 20:00 駐車場

日本の岩場上巻巻末「屋久島」
そのエリア名だけでも惹かれるものがあるのに、10台が続くスラブの!マルチだと!?これは是が非でも行きたい。と思ったのが去年の秋。
これぐらいの難度のルートだとパートナーの選定も自ずと絞れてくる。1年ほど前から頼りになりすぎるアッキーに声をかけ、天候にも恵まれ無事トライすることができた。
前日は雨で下見ができなかったが、登攀当日は快晴で半袖でも暑いほどだった。
日の出を30分ほどすぎて登攀開始。日が暮れる前に終わるかどうか、それが問題だ。
1P目 5.7 クロスケ

奇数ピッチを希望してクロスケリードから。草付きのルンゼ。難しくはないが泥で足が滑って地味に怖い。
2P目 10d アッキー

このルートで最も難しいグレード。適度なピン感覚。意図されたムーブで登らないと途端に難しくなる。たまに探りながら見事フリーで突破。さすがアッキー。フォローも1度足を滑らせたがなんとかフリーで抜けられた。
3P目 10b クロスケ

浅いコーナー。いや、浅いなにもないコーナー。右の手足と左の手足全てスメアで登っていくという超おっかない出だし。怖すぎてエイドしちゃいました。。
4P目 5.8 アッキー

このグレードになると途端にピンがなくなる。ザラザラした表面にスメアで登る感じのスラブ。最後は草付きに突っ込む。すでに足が痛くなってきた。
5P目 10a クロスケ

ルート上で唯一のクラック。フィストが決まらないぐらい広いが、クラックの外にホールド多数。短く切る。
6P目 5.9 佐藤

ハング下のトラバース。開放感があって気持ちいい。途中でルートを見失うが、カンテを回り込んだあたりのスラブを詰めて草付きに突っ込む。スラブから草付き突っ込みがち。
7P目 10c クロスケ

草付きから岩に出てスラブ。小さめの突起を拾いながら丁寧に一息ずつ吐きながら標高を稼ぐ。直上してはピンに近づくためトラバースする、というセンスのない登り方をしてしまった。40mは長い。ノーテンで抜けたら「ナイス!」の声かけ。嬉しい。
8P目 10a アッキー

草付きを右から回り込んでからスラブ。泥を慎重に落としてからスメア系のスラブ。スラブの登り方も岩質で違うなと感じる。もうそろそろマジで指先が痛いので、時間をかける登りができなくなっている。
9P目 5.9 クロスケ

ザ、スラブ。足痛くなかったら歩くように登れそうだが、とにかく指先がそろそろ限界。粒を踏む登りではなく、なるべく面で登る努力をする。
10P目 10c アッキー

ルート2番目の核心。後半戦に40mの10c、しかもスラブ。ボルトが22~3本あり、ここのために25本ほどのヌンチャクを持ってきた。リードはきちんとフリーで抜ける。カチとツブが続く。集中力が切れてくる。喉が渇く。ここまでくると自然と踏める足はわかってくる。直感だけで踏み込む。最後の1mまで「いけ!」と心の声を出しながら立ち上がっていった。そろそろスラブがしんどい。
11P目 5.7 クロスケ

傾斜が緩くなったスラブ。弱点らしい部分をついて右上気味に。プロテクションが急に取れず、グレードが優しくなっても全く気が抜けない。疲れた。
12P目 5.9 アッキー

先ほどより少し急なスラブ。何もない系。プロテクションの感覚は6mに1つとか。最後の最後に痺れるピッチだった。一刻も早くシューズが脱ぎたいので、なりふり構わず超急な階段をダッシュで駆け上がるように登った。
最終ピッチの終了点だけ立木使用。ここから15分ほど藪を漕いでモッチョム岳山頂へ。山頂からは夕日が綺麗に見えている。

なんとか暗くなる前に抜けることができた。やり切った達成感と脱力感。集中してたので空腹感はなかったが、軽量化を意識して水を2人で2Lも持っていなかったので喉の渇きは最高潮だった。
下山も結構長い。途中の水場でたらふく浴びるように水を飲んで、ヘッデン頼りに降りていく。駐車場についたのは20時。この島でまだ飯は食えるだろうか。と港に向かうと居酒屋の電気が煌々と輝いていた。祝杯を交わして思う存分屋久島名物を頂いた。
疲れすぎてその日はすぐ就寝。翌朝熱いと噂の尾ノ間温泉につかり、のんびりと瀬切エリアと西ノ浜へボルダリングに出かけた。マルチと違ってボルダリングはなんて快適なのだろうか。
感想(クロスケ)
スラブ好きとしては絶対に行きたいルートにいけてとにかく嬉しいです。内容もちょっと草付きが多いものの素晴らしいスラブだったし、やはりこのロケーション、スケール共に褒める言葉しか思いつかない。屋久島にいる間、モッチョム岳を見るたびに「かっけぇ」と呟いていました。ほんと、一緒に登ってくれたアッキーには感謝しかありません。途中パートナー解約されそうだったけど…。チームOSを狙ってたのに自分がエイドしてしまったことが本当に悔しい。屋久島はフリーウェイ以外にも気になる岩がたくさんあるので、またぜひ訪れたいです。今季の岩シーズンハズレが多かったのでここ一番で達成できて本当によかった。
感想(アッキー)
屋久島フリーウェイはマルチピッチクライミングに興味を持ち始めた頃に岩と海の近さ、南国な雰囲気が印象的で登ってみたかったルートでした。今回登ってみてモッチョム岳のハングを避けながら岩の弱点をついたルート取り、延々と続くほどよい難しさの花崗岩スラブ、フリークライミングを前提とした支点間隔、地球と屋久島の丸さを感じられる絶景と素晴らしい内容でした。あまり積極的に落ちるのは避けたい支点なのでぜひ充分な実力を身に付けて登ってみてほしいです。
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